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パナソニックの両ウイングはなぜトライが取れる? ロビー・ディーンズ監督語る。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
元来は「相手に触られない」を目指していた山田。力強さも体得。(写真:田村翔/アフロスポーツ)

 日本最高峰のトップリーグで一昨季まで3連覇していたパナソニックは、2季ぶりの王座奪還に向け、現在、開幕2連勝中。8月25日は埼玉・熊谷陸上競技場で、キヤノンを43-8で下した。

 この日は山田章仁、福岡堅樹という日本代表の両ウイングが計3トライを奪取。時に持ち場を離れながらボールをもらう姿勢で、スコアラッシュをおぜん立てした。試合後、ロビー・ディーンズ監督が布巻峻介キャプテンとともに会見に出席。背景を語った。

 以下、共同会見時の一問一答の一部(編集箇所あり)。

ディーンズ監督

「まずはボーナスポイント(相手より3トライ差以上をつけると、リーグ戦の勝ち点が1、加算される)を得て勝利できたことが嬉しい。熊谷6連戦の初戦。我々にとって意味のあるゲームでした。その試合を勝ててよかった。最終スコアは開いたので、快勝と思われるかもしれませんが、最初の20分間は厳しい戦いを強いられました。そこを選手たちが我慢したことで、最終的な得点差があのようになったのだと思います。今回はメンバー発表後に選手の入れ替えがあって、準備が難しかったのですが、ゲーム直前に出ると言われた選手たちが、よく頑張ってくれた」

布巻

「今季は熊谷で試合があるなか、スタートを勝利で飾れてうれしく思います。最初は厳しい戦いを強いられた。ちょっと僕らがふわふわと入ってしまったのかな、と。相手に主導権を握られたそうになった。そこの時間帯は、今後ないようにしていきたいです。ただ、そのなかでも修正できて、勝ちに繋げられた。そこには自信を持っていいと思います」

――どこでアドバンテージを掴んだか。

布巻

「アタックでは最初の最初に簡単に相手にボールを渡してしまったりして、相手を楽にさせた。途中からボールキープを意識して、フェーズを重ね、我慢してスコアまで行く。そこはお互い、我慢の戦いだったと思います」

ディーンズ監督

「我々の得たチャンスは、ほとんどものにできた。特に両ウイングは半分程度のチャンスを完璧なスコアに繋げてくれた。それが大きかった。ずっと最初の20分間、相手に攻められて相当なプレッシャーを受けていたので、スコアボードを少しずつでも広げてゆく戦いが必要だと思っていました。それと、毎週、毎週スクラムが改善していて、そこでプレッシャーをかけられるようになった。スクラムが自分たちの武器として相手にプレッシャーを与えられるようになった」

――改めて、両ウイングのチャンスへの反応について。

ディーンズ監督

「もちろん、いま出ている2人の持っているスピードが抜きんでている。ただそれだけではなく、彼らの持っている生来の勘、トライを取る嗅覚が優れている。それと、周りの選手が、彼らに少しでもチャンスを与えたら、チームに大きなものを与えてくれる、と、いうことを知っているうえで、彼らにどうボールを渡すかを考えてプレーしているんじゃないかと思います。

 またチームとして、どういう時にパスをするか、しないかについて、非常に練習を重ねている。それがしっかりと形になって出るなか、いい時に、いいタイミングで彼らにボールが回っている。それも得点に繋がっているのかなと思います。

 いまの話をまとめますと、いつ前に進めるか、いつ展開するかの判断が、チームとして上がっていると思います」

――若い選手が活躍していますが。

ディーンズ監督

「間違いなく彼らは成長していますし、どう動けばチームに価値を与えられるかをわかってプレーできるようになっていると思います。選手が入れ替わっても自分たちの形を崩さずプレーを続けられたし、それも成長の証です」

 チームの攻撃の枠組みを全員で共有した先に、フィニッシャーの躍動がある。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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