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「世界最高クラス」は本当か? WH-1000XM5を購入した理由と、ファーストインプレッション

三浦雄介ライフスタイルブログ〈starnote*〉運営

この記事は、2024年9月に筆者のブログに掲載したものをベースに、Yahoo!ニュース向けに再編集してお届けします。

ヘッドホンが欲しい

「やっぱり欲しい!」

元も子もないけど、これが購入した理由です。欲しいものは欲しいときに買わないと意味がないし、欲しいものを使うという体験に投資するようなものなんですよ。

最近はずっとワイヤレスイヤホンばかり使っていて、ヘッドホンって出番が少なかったんです。だってAirPods Proの便利さは捨てがたいし、WF-1000XM5の音質で十分じゃないですか。

それでもたまにヘッドホンを使いたくなる場面が来るんだよね。耳の中に突っ込んで音を聞くんじゃなくて、耳を優しく包み込んで深みのある音を奏でるヘッドホンは魅力的だし、やっぱり心地よい。

そんなこんなで、数年前に購入したBeats Studio3 Wirelessをちょこちょこ使っていたのですが、イヤーパッドがボロボロになってきました。公式には修理に出さないと交換してもらえなさそうで、28,400円もかかりそう。いやこれ新品買った方がよくないか?

まあ確かに、かなり昔にはBeatsヘッドホンのイヤーパッドを自分で交換したこともあります。しかし、純正パーツじゃないからふかふかの着け心地を得ることはできなかったんです。純正パーツを売ってくれればいいのにね。

それに、Beats Studio3 Wirelessはバンドサウンドだと低音が弱く、聞いていて気持ちのいい音ではなかったんです。EDMを流すと元気いっぱいのサウンドを奏でてくれるので、設計思想として想定しているジャンルがピンポイントなんですよね。そして僕はそこから外れた音楽を聴いていると。

こんな状況だったらもう新しいヘッドホンを買ってしまおうと。バンドサウンドを元気に鳴らしてくれるヘッドホンを!

どのヘッドホンを選ぶ?

明確な予算はなかったけれども、ターゲットは5万円くらいのワイヤレスヘッドホン。ざっと以下のようなモデルが選択肢に入りました。

  • Beats Studio Pro
  • AirPods Max
  • ソニー WH-1000XM5
  • ゼンハイザー MOMENTUM 4 Wireless

Beatsのヘッドホンは2つ続けて買ってきたのでそろそろ卒業したいし、これまでの傾向を踏まえると音質に不安がありました。だから積極的に取りたい選択肢ではない。

あとAirPods Maxはめちゃ高いので今はいいかなと。イヤーパッドが磁石でくっついてるからメンテナンス性は最高なんですけどね。値段だけがネック。

となると、「ソニー WH-1000XM5」もしくは「ゼンハイザー MOMENTUM 4 Wireless」から選ぶことになるのかな。

確かにソニーのイヤホンWF-1000XM5にはとても満足しているし、そのヘッドホン版と思えば買いかもしれない。前機種のWH-1000XM4を試聴したときは印象よかったんだよな。

一方、ゼンハイザー製品は使ったことなくて、音の傾向がなかなか分からなかったんです。評判がいいのは理解してるけど、ソニーで満足できればそれでいいような気がした。

WH-1000XM5を買ってしまった

そして、買いました。ソニーストアのクーポンを使うとAmazonと変わらない価格になったので、迷わずソニーストアで購入。3年保証が付いてきます。

購入したのは1か月以上前のことで、それ以来すごく気に入ってしまって毎日のように使っています。ここではファーストインプレッションもお届けできればと。

WH-1000XM5とは?

WH-1000XM5は、ソニーのプレミアムライン「1000X」シリーズのヘッドホン最新モデル。

卓越したノイズキャンセリング性能と豊かな音色を奏でてくれる音質を兼ね備えており、Bluetoothマルチポイントにも対応し性能面も申し分なく、あらゆる面で隙のない1台に仕上がっています。「これを買っておけば間違いない」と言えるヘッドホンです。

また、この第5世代ではデザインも刷新され、従来モデルの面影も残しながら現代的な見た目にリファインされました。机の上に佇んでいるだけでその場の雰囲気がよくなるような、完成されたデザインですね。さすがソニー。

カラーバリエーションは2つで、僕が買った「ブラック」と、もう1色「プラチナシルバー」があります。どちらを買うか迷いましたが、マットブラックな質感に惹かれてこちらにしました。とてもかっこいいですね。

ハウジング部分はプラスチック製であるものの、さらさらとマットな質感でかなりクオリティ高く仕上がっています。ヘッドバンドとイヤーパッド部分は柔らかな合皮でできていて、肌触りも心地よいです。

また、さりげなく入ったソニーロゴがかっこいいっすね。ブラックモデルにはカッパー色のロゴが入ります。

イヤーパッドはふっかふかでとても柔らかいです。丁寧に取り扱いたくなるほど繊細で、このヘッドホンのクオリティの高さがひしひしと伝わってくる部分のひとつ。

豊かな音の世界が広がる

音楽をかけると、その音質の良さはすぐに分かります。音の深み、広がり、重厚感。どれを取っても、「ああ、いいヘッドホンを使って音楽を聴いているんだなあ」と謎の安心感が生まれるほど。

後述するイコライザで低音を強めているので、パンチのある低音が心地よく、重厚感がすごいです。そして音楽のジャンルを選ばずにきれいな低音を奏でてくれるところに、Beats Studio3 Wirelessとは真逆の印象を抱きました。

音の傾向は同シリーズのイヤホン「WF-1000XM5」と似ていますが、耳を覆っているというヘッドホンの特性上、やっぱり音がより広がっているように聞こえるし、音に深みがあります。体験としてとても心地よいので、5万円前後の価値は十分にあると思いました。

ただ、敢えて指摘するならば、解像感に関しては今ひとつな印象を受けました。音楽を聴いていて不快になることは決してありませんが、音の粒が少しだけ粗いような気がしたので、もう少し解像度が上がれば申し分なし。今のままでも全然いいけども。

自分好みの音にカスタマイズ

ソニーのヘッドホン・イヤホンは専用アプリを通して各種設定ができます。このWH-1000XM5ももちろん可能で、Bluetoothで接続すると設定画面に入ることができます。

特に気に入っているのはイコライザー機能。プリセットされた8種類のイコライザに加え、自分好みのカスタムイコライザを2つ作ることができます。

僕が使っている「Bass Boost」では、その名のとおり低音を強調することができ、それがとても心地よいのですよ。

iPhoneの標準イコライザーで低音を強調するものにすると他の音域が篭もって聞こえるようになるのですが、この「Bass Boost」はそんなことはありません。すごくよくできたイコライザーだと思います。

自分以外の存在を消し去る

ソニーのヘッドホンといえば、やっぱりノイズキャンセリング性能。

このWH-1000XM5も十分な性能を有していて、オンにするとたちまち自分以外の存在を消し去るがごとく、辺りが一切の静寂に包まれます。「世界最高クラス」を謳っているだけある。本当にすごい。

ヘッドホンを装着してオンにするだけで、まさに自分だけの空間を作り出すことができるのです。家の中はもちろん、たとえ空港でも、ファミレスでも、しんとした静寂に包まれるのでしょう。ただ集中したいときは音楽を流さなくてもOKなので、学生時代にこれがあったら快適だっただろうなあ。

ただ、家の中ではたくさん使っていますが、まだまだ外は暑いので通勤中は使えていないのです。これから涼しくなったら使ってみようと思いますが、まあWF-1000XM5と同じように電車の中でも十分な威力を発揮してくれることでしょう。

そしてもちろん外音取り込みモードも搭載しています。僕の場合だと、基本的に外音取り込みモードで使って、能動的に周囲のノイズをカットしたいときはノイズキャンセリングをオンにするような運用としています。

ノイズキャンセリングをオンにするには、左側のハウジングに搭載されている専用のボタンをクリックするだけです。押すごとに外音取り込みモードとノイズキャンセリングモードを行ったり来たりするように設定していますが、この挙動はアプリから自分好みにカスタマイズ可能。

その他、声を発すると音楽を一時停止にする「スピーク・トゥ・チャット」機能や、タッチセンサーに触れている間は音量が絞られて周囲の音を聞ける「クイックアテンションモード」機能も、前モデルから引き続き搭載しています。

電源ボタン(左)ノイズキャンセリングボタン(右)。2つのボタンはサイズが異なるので、手で触れるだけでどちらのボタンか見分けがつきます。
電源ボタン(左)ノイズキャンセリングボタン(右)。2つのボタンはサイズが異なるので、手で触れるだけでどちらのボタンか見分けがつきます。

タッチセンサーでスマートに操作

右側のハウジングにはタッチセンサーが搭載されており、タップだけでなくスワイプ操作も可能になっています。

そのため、タップでの再生・一時停止はもちろん、横スワイプで曲送り・戻し、縦スワイプ音量上下といったように、ヘッドホン単体で最低限のコントロールができます。最近のヘッドホンだと普通かもですが、ユーザーとしても便利な機能です。

賢いなと思ったのは、タップ操作が割り当てられている再生・一時停止。これシングルタップではなくて、ダブルタップする必要があるんです。シングルタップには機能が割り当てられていないので、不意に触れてしまったときに誤操作を誘発しないような設計になっていると。細かいところの配慮や作り込みがすばらしい。

Photo: Sony
Photo: Sony

たっぷり30時間使えて充電も高速

充電は右側のハウジングにあるUSB-C端子を使います。これはUSB PD(Power Delivery)にも対応しており、3分の充電で3時間再生できるとのこと。

また、満充電すると、ノイズキャンセリングをオンで最長30時間、オフで最長40時間も使うことができます。公式情報としてはこのとおりなのですが、体感的にも充電頻度はとても少ないので助かっています。

「世界最高クラス」はダテじゃなかった

実際に使ってみると、「世界最高クラス」と謳われたノイズキャンセリング性能はダテじゃなかったです。ソニーは本当にすごい製品を世に出してくれました。

一方、音質についてはたぶん世界最高クラスではなくて、まだまだ上がいるのだと思います。こだわったらキリがないし、個々人の好みもあるので、なかなか一概には言えない世界です。それでも僕は5万円前後のヘッドホンとしては十分な音質だと思いました。

というのも、ノイズキャンセリング性能と相まって、音楽を聴いていて楽しいんですよね。没入感がすさまじくて、レコーディング中のアーティストが目の前にいるような感覚になります。そういうユーザー体験的な意味でも「世界最高クラス」と言えるかもしれません。

総括すると、このWH-1000XM5、非常におすすめでございます。5万円でこの体験ができるのなら、ぜひ日常生活に取り入れてみるのもいいです。

そして、おそらくいつかはM6が出るのだと思いますが、きっとM5との差分は大きくないはずなので、一度購入すると長く使えるかもしれません。僕もそのつもりで大枚をはたいてみたので、ぜひあなたもこちら側に来てみませんか? 楽しい世界が待ってますよ。

ライフスタイルブログ〈starnote*〉運営

長崎出身、横浜在住。2015年より趣味でライフスタイルブログ〈starnote*〉を運営、2021年よりYahoo!ニュースエキスパートクリエイター。薬学部6年制課程を卒業後、博士(薬学)を取得。霞が関のお役所で働いた後、現在は渋谷の医療IT企業で遠隔医療の仕組みづくりに携わっています。

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