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【目黒区】ただ今ボランティアガイド修行中、今回は浄真寺から自由が丘のコースを案内してみた

Chikuwa地域ニュースサイト号外NETライター(東京都目黒区)
九品仏にある「浄真寺」

(一社)めぐろ観光まちづくり協会の会員であり、目黒区内の観光スポットを案内する観光ボランティアとして修業中の私。なかなかスケジュールが合わず、「ボランティアガイドレベルアップ研修」に参加できなかったのですが、久しぶりに参加することができました。

今回は東急大井町線「九品仏駅」からスタートし、自由が丘巡るコースを模擬ガイド。浄真寺・トモエ学園記念碑・トレインチ自由が丘・自由が丘熊野神社を訪れました。

私がガイドを担当するスポットは「トモエ学園記念碑」「トレインチ自由が丘」です。普段よく訪れている場所ですが、知らないこともたくさんあり、とても勉強になりました。

それぞれの見どころをダイジェストでご紹介していきましょう。

奥沢城跡にある「浄真寺」は、九品仏という駅の名前の由来にも

最初に訪れたのは東急大井町線・九品仏駅から徒歩約1分のところにある「浄真寺」。浄土宗のお寺で、正式名称は「九品山(くほんぶつ) 唯在念佛院(ゆいざいねんぶついん) 淨眞寺(じょうしんじ)」といいます。

江戸時代初期に珂碩上人(かせきしょうにん)が、吉良氏が築いた奥沢城の跡地を賜り創建したお寺です。

往古の面影を残す3万6千坪の境内には、たくさんの東京都指定文化財の他、豊かな緑が生い茂る日本庭園が広がっています。今回の研修で訪れた日は「盂蘭盆会」の法要が行われていました。

弥陀如来と二十五菩薩がお祀りされてる「仁王門」の「紫雲楼」が特別開帳

浄真寺の「仁王門」上にある「紫雲朗」
浄真寺の「仁王門」上にある「紫雲朗」

1793年(寛政5年)の建立である仁王門。その上層部は「紫雲楼」と呼ばれ、普段は扉が閉められています。
しかし、盂蘭盆会ということでここが御開帳されていました。

中には阿弥陀如来と二十五菩薩がお祀りされており、これらの仏様に迎えられて三仏堂に向かうという演出です。この紫雲楼から中は浄土(彼岸)であるということを示しているそうです。

浄真寺で毎年5月に「二十五菩薩来迎会(らいごうえ、通称:おめんかぶり)」行事(無形民俗文化財)が行われており、個々にお祀りされている二十五菩薩は来迎の真髄を示現するものとなっています。

奥沢城の「鷺草伝説」が残る池泉庭園「鷺草園」

浄真寺は奥沢城跡に建てられていることから、敷地(境内)を囲むように土塁が残されるなど、その痕跡があちこちにあります。

中でも本殿「龍護殿」の脇にある「鷺草園」は奥沢城主・大平出羽守の娘・常盤姫と世田谷城主・吉良頼康の恋物語に縁があるもので、夏場には鷺草が咲くことで有名です。
鷺草は世田谷区の花でもあります。

「鷺草伝説」はいくつかのストーリーがあるようですがその一つをご紹介。

奥沢城の城主・大平出羽ノ守の愛娘・常盤姫が、世田谷城の7代目城主・吉良頼康公の10人目の側室となりご寵愛を受けます。このことに嫉妬した他の側室達の計略で無実の罪を着せられた常盤姫。

死を決意し、奥沢城にいる父あてに遺書を書き、幼いころからかわいがっていた白鷺の足に結び付け、解き放ちました。

ちょうどその頃に衾村(ふすまむら)で狩りをしていた頼康公が、白鷺を射落とすと足に文が結ばれているのを発見。急ぎ城に戻るも常盤姫はすでに息絶えていたそうです。

亡くなった白鷺の血の跡からは鷺に似た白く可憐な花が咲いたとのこと。常盤姫の運命を偲び、この花を鷺草と名付けたというお話です。

世田谷区民なのに、知らなかったエピソードなのでとても勉強になりました。

「九品仏」という駅名の由来でもある九体の阿弥陀如来像

浄真寺には3棟の仏堂があり、9体の阿弥陀仏を3体ずつ安置する全国的にも珍しい形式となっています。

浄土宗の「観無量寿経(かんむりょうじゅきょう)」の中で解かれている「九品(くほん)」にちなみ、極楽浄土へ往生する時の9つのパターンを示しているそうです。

「上品(じょうぼん)」「中品(ちゅうぼん)」「下品(げぼん)」と3棟の仏堂があり、それぞれをさらに「上生(じょうしょう)」「中生(ちゅうしょう)」「下生(げしょう)」に分けることで九階位となっています。

阿弥陀如来仏の手のポーズ(印相)がそれぞれ異なっていることなど、注目ポイントをいろいろガイドしていただきました。

最後に浄真寺の開祖である珂碩上人のお墓にお参りして浄真寺を離れます。

【浄真寺概要】
住所:東京都世田谷区奥沢7-41-3

自由が丘の「愛犬王」と呼ばれた平岩さんの私邸「白日荘」跡へ寄り道

浄真寺の後は「自由が丘 デュアオーネ」の敷地内にある「トモエ学園記念碑」に向いました。と、ここでベテランボランティアガイドの井上さんがぜひ知ってほしい、ということで寄り道。

動物文学の祖・平岩米吉さんの私邸「白日荘」があった場所に案内してくれました。現在、白日荘があった場所は「ザ・パークハウス 自由が丘ディアナガーデン」となっています。

「ザ・パークハウス 自由が丘ディアナガーデン」
「ザ・パークハウス 自由が丘ディアナガーデン」

平岩米吉さんは「愛犬王」と呼ばれたイヌ科動物の研究者であり、シートン動物記を日本に紹介した人物。特にイヌ科の寄生虫病であるフィラリア治療の道を開いた方でもあります。

愛犬家の方にとって平岩さんの功績はとても偉大、ということですね。

「白日荘」は都会の住宅地で驚くほどの生物多様性が保持されていたことから、マンション建築の際、周囲の公開緑地に在来種の低木などが移植されるなど、今も樹齢100年を超える樹木が大切に残されています。

【平岩米吉さんの記念碑がある場所】
ザ・パークハウス 自由が丘ディアナガーデン
住所:東京都目黒区自由が丘3-12-1

黒柳徹子さん縁の「トモエ学園記念碑」をガイドする

「自由が丘 デュアオーネ」に設置されている「トモエ学園記念碑」
「自由が丘 デュアオーネ」に設置されている「トモエ学園記念碑」

トモエ学園は黒柳徹子さんの母校。「窓ぎわのトットちゃん」の舞台としてご存じの方も多いですよね。

42年ぶりに続編「続 窓ぎわのトットちゃん」が10月に発売。さらに映画「窓ぎわのトットちゃん」も封切られ、まさにタイムリーなスポットです。

「トモエ学園記念碑」は「旧・ピーコックストア自由が丘店」の入口向かって右手にあったもので、建て替えに際し、自由が丘商店街振興組合が一時保管。2023年11月24日(金)に再設置されました。

この記念碑はタイムカプセルとしての役割も担っており、中には黒柳さん直筆のお手紙や校歌の楽譜、写真なども。
しかし残念ながら、内部に水が入り込み、損傷が激しく、かろうじて判読できたものをデジタル化して現在はクラウド上で保管。

再設置した記念碑内にアクセスできるQRコードを埋め込んでいます。ガイドではトモエ学園の歴史や自由が丘駅誕生のヒミツなどをお話ししました。

【トモエ学園記念碑概要】
自由が丘 デュアオーネ
住所:東京都目黒区自由が丘2-15-4

続いてのガイドは目黒区と世田谷区にまたがる場所にある「トレインチ自由が丘」

東急線・車両基地の名残りがある「トレインチ自由が丘」
東急線・車両基地の名残りがある「トレインチ自由が丘」

模擬ガイドの2か所目は東急大井町線の車庫跡地にある東急グループの商業施設「トレインチ自由が丘」です。こちらは目黒区と世田谷区にまたがる場所で、2006年にできた施設。

東急大井町線の線路沿いにあります。建物の脇には留置線の名残りを見ることができます。2017年8月に1度目の大幅リニューアル。さらに2022年11月にも2度目の大幅リニューアルを行いました。

2022年のリニューアル後は、1階が商業施設、2階はオフィスやレンタルスタジオなどになっており、屋外スペースでは週末にマルシェや展示会などのイベントが行われています。

「トレインチ自由が丘」はSDGsに配慮した施設。2階オフィスのトイレ網棚やミーティングブースの扉などに、田園都市線8500系車両の廃材などを利用するなど、さまざまな取り組みがなされています。

鉄道ファンにとってもちょっと面白い施設ですね。

【施設概要】
トレインチ自由が丘
住所:東京都目黒区自由が丘2-13-1 および 東京都世田谷区奥沢5-42-3

8月31日(土)・9月1日(日)には例大祭も行われる「自由が丘熊野神社」

最後に訪れたのは、自由が丘・緑が丘の鎮守として地元から親しまれている「自由が丘熊野神社」です。
創建は鎌倉時代頃といわれており、御祭神は「速玉之男尊(はやたまのおのみこと)」「伊弉冊命(いざなみのみこと)」「泉津事解之男尊(よもつことさかのおのみこと)」。

鎌倉時代以降、「蟻の熊野詣」と呼ばれるほど崇敬を集めた熊野本宮。目黒地域からも参拝の記録が残されており、信仰の厚い土地の名士たちが、熊野本宮の御神霊を拝受して祀ったといわれています。

実は知らなかったのですが、自由が丘熊野神社には隠れハートがあり、縁結びの御利益に効果があるといわれているそうです。
本殿の上、中央部分にハート型が描かれており、ハートを見つけると恋愛運がアップするといわれているとか・・・。

上写真にも写っているのでよーく目を凝らして探してみてくださいね。

自由が丘熊野神社では毎年、9月の第1日曜日とその前日に例大祭が行われています。2024年は8月31日(土)と9月1日(日)です

お祭りのクライマックスでもある神輿の練回しや、神社の神楽殿に鳴り響く「目黒ばやし(目黒区・無形民俗文化財)」に心躍る2日間。今年もまた自由が丘の町が熱く活気づきそうです。

【自由が丘熊野神社概要】
住所:東京都目黒区自由が丘1-24-12
問い合わせ先:03-3717-7720

9月11日(水)に「目黒清掃工場とエビスビールミュージアムを巡るまち歩き」を開催予定

長く暮らしてきて、たびたび訪れているスポットばかりなのに、知らない事がまだまだたくさんありました。
自分はまだまだ駆け出しなので、今後も研鑽が必要だと痛感した研修会です。

めぐろ観光まちづくり協会では年に数回、まち歩きを実施。直近では9月11日(水)に「目黒清掃工場とエビスビールミュージアムを巡るまち歩き」を開催予定です。

申し込み締め切りは8月26日(月)まで。つい先日、リニューアルオープンしたばかりの「YEBISU BREWERY TOKYO」も見学するそうです(ビールの試飲等は含まれていません)。

私はオープニングとガイド付きツアー「YEBIS the JOURNEY」も取材させていただきましたが、ヱビスビールの魅力だけではなく、目黒区と関わりの深い歴史などについても知ることができてとても楽しめました。

噂の「ラッキーヱビス」が隠れている場所も1か所だけ知っています。ぜひ、皆さんも街歩きに参加して、「YEBISU BREWERY TOKYO」内にある「ラッキーヱビス」を探してみてはいかがでしょうか。

■取材協力
めぐろ観光まちづくり協会

地域ニュースサイト号外NETライター(東京都目黒区)

コピーライターからWebライターへ転身。アロマセラピスト・整体師としても時々活動しています。趣味はカンフー(八卦掌・長拳)と古代史(関裕二先生のファン)。目黒区の魅力やおもしろいところを発信していきます。取り上げて欲しい目黒の穴場や情報もぜひお寄せください!

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