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【長野県軽井沢町】水と山の神様に会いにいく。千ヶ滝の水源を見守る「御影用水五社宮」を訪ねて

akariフリーエディター(軽井沢町・御代田町)

よく晴れた冬の朝は、普段行かない特別な場所を歩いてみたくなります。今日は軽井沢セゾン美術館近くにある「千ヶ滝・里池」のまわりを歩きました。

透明度が高く透き通る里池。水面に映る冬の風景
透明度が高く透き通る里池。水面に映る冬の風景

人懐っこいかも。つがいでこちらに向かってやって来ました
人懐っこいかも。つがいでこちらに向かってやって来ました

水路にかかる橋から。浅間山からの伏流水がサラサラ流れています
水路にかかる橋から。浅間山からの伏流水がサラサラ流れています

「千ヶ滝」からの山の水がこの里池で一旦落ち着くのでしょうか、静かで美しい水辺の景観が楽しめます。

そしてここには「御影用水五社宮」という小さな神社があります。

この場所、山と水の神様に会えるようで好きなんです。

「御影用水五宮」には、浅間山の伏流水を里に届けるという江戸時代の一大事業「御影用水」開削を先導した柏木小右衛門の碑をはじめ、御影用水を見守る神様の祠が並んでいます。

ちなみに以前の記事で「御影用水温水路」の風景を紹介しましたが、ここ千ヶ滝・里池(神社の前)が御影用水の上堰(取水口)となっていて、軽井沢・追分・御代田町・御影新田(小諸)へと農業用水を届けているようです。

さらにその事業を後世に伝えた「千加瀧潼碑」も祀られていました。

石に刻むんですよ、昔の方は。偉業を。

伝えなければ!という強い熱意がないとできないですよね。

しかし、石メディアの息の長いこと。

2022年までしっかりと残るなんて素晴らしいです。

碑にはこのようなことが書かれていました(案内板の私訳なので間違っていたらすみません!)。

「荒れた地を嘆く日々。浅間山の山麓に千ヶ滝というところがあって、この潼の水は漂っている。ではそこから山野を切り開いて、荒れた土地に湖水のように水を導き、すみずみまで行き渡らせるような用水をつくろうではないか。領主の理解もあり、志を同じくするものが力をあわせて、用水・新田開発に取り組んだ。はじめの道を作る仕事に、千人の農夫が集い、一年もたたないうちに人力でこれを掘り仕上げた!」

御影用水事業に私財を投げ打ったという柏木小右衛門さん。最後の締めくくりが泣けました。

「流水万物を潤すこと雨のごとく、暮らしを楽にし、人々を繁栄させ民意の安定に尽力したこと、春の恵みのようである」

素敵すぎるリーダー。

そして、もうひとつ驚きの発見がありました。

社の横に並ぶ2つの不動尊
社の横に並ぶ2つの不動尊

左は千ヶ滝の水源を守る「不動尊」。御影用水完成後に建立。震災で損傷したものを再建してここに移転されました。

驚いたのはこの右に並んでいる「瀧不動明王」。

なんと、背後は火焔ではなくて、滝を背負っているのだそう!火ではなく水です。

千ヶ滝の水源西南急斜面、巨岩下の湧水内に埋没していたのを2000年に発見されたそうです。

制作者も制作年も不明なようなので、いつから湧水の中にいらっしゃったのか。。。

無事発見されてよかったですね。

季節の移ろいも人の行いもしっかり伝えてくれる水の聖地。また来ようと思います。

御影用水五社
〒389-0111 長野県北佐久郡軽井沢町長倉
(Googleマップ)

「御影用水温水路」の冬の風景

フリーエディター(軽井沢町・御代田町)

東京から長野に移住して10年ほど。東京と軽井沢の2拠点生活のあと、現在は軽井沢の西側「信濃追分」に仕事場を設け、本に関わる仕事をして暮らしています。趣味は散策。古本と着物と温泉、浅間山麓の風土が好きです。

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