PGAツアー会長がPIFとの統合発表のデッドライン「延期」を発表も前向き姿勢に希望!? #ゴルフ
日本は、すでに2024年を迎えているが、米国では日付けが新年に変わる以前の2023年12月31日の午後5時を回ったころ、PGAツアーのジェイ・モナハン会長は選手たちにメモを回した。
12月31日はPGAツアーとリブゴルフを経済的に支援するサウジアラビアの政府系ファンド「PIF(パブリック・インベストメント・ファンド)」との統合に関する詳細を発表するデッドラインに定められていた。
しかし、選手たちに回されたメモの内容は、統合関連の決定事項の詳細ではなく、最終的にはデッドラインの延期を伝えるものだった。
メモには「3つのポイント」が記されていた。
まず1つは、PGAツアーは資金提供のパートナーとして、PIFのみならず、SSG(ストラテジック・スポーツ・グループ)とも新たな契約を結ぶ方向で調整を行っており、その交渉はほぼ完了に近い段階にあること。
2つ目のポイントは、12月31日に設定されていたPIFとの統合に関する発表のデッドラインを延期し、2024年も引き続き討議を重ねていくことを伝えた。
しかし、モナハン会長は「PGAツアーとDPワールドツアー、PIFは、積極的に生産的に討議を進めている」として、デッドラインの延期は交渉が暗礁に乗り上げているからではなく、前向きだからこそ、さらなる時間が必要であることを強調していた。
そして3つ目は、PGAツアーが目指すゴールを今一度、要約した形で、こう記されていた。
「PGAツアーが目指しているゴールは、PGAツアーとDPワールドツアーがPGAツアー・エンタープライズへのインベスターとなるSSG、PIFと手を取り合って1つになること。そして、プレーヤー、ファン、スポンサーのためのゴルフというゲームを作り上げることだ」
昨年6月にPGAツアーのモナハン会長はPIFのヤセル・ルマイヤン会長と水面下で交渉を行い、統合合意を電撃的に発表したが、PGAツアーの選手たちから「僕たちは何も知らされていない。何も聞いていない」と激しい批判にさらされた。
以後、PGAツアーの理事会、選手会が主体となり、タイガー・ウッズも理事の一人に加わって、「みんな睡眠を削って頑張っている」と明かすほど積極的にPIFとの統合に向けて討議を重ねてきた。
だが、PGAツアーのスター選手だった世界ランキング3位のジョン・ラームが12月7日にリブゴルフへの移籍を発表したことで、PGAツアーの立場や将来への見通しは「一変した」と推測されており、「その調整に追われているはず」「デッドラインの12月31日は延期せざるを得ないのではないか」と見られていた。
そんな噂が広がる中、理事の一人であるウッズは「デッドラインは12月31日に設定されている」と、あくまでも期日を守る意思を示していた。
だからこそ、モナハン会長は日付けが12月31日のうちにメモを選手たちに回したのだろう。しかし、結局、メモの中身は現在の進捗状況を伝えるにとどまり、肝心のPIFとの統合に関する詳細発表は「延期」とされていた。
だが、モナハン会長が記した通り、これは2024年も前向きな姿勢で討議を進め、いい報告をするつもりだという意思表示である。
米ゴルフ界も、PGAツアー関係者も、2024年に希望を抱いてニューイヤーを迎えようとしているのだと信じたい。