1月5日は「囲碁の日」:人工知能(AI)よりも「人間の脳」の活性化に効果的な囲碁
1月5日は「囲碁の日」である。日本棋院では「打ち初め式」が行われた。
■米国IT企業も注目する人工知能(AI)での囲碁プログラミング
最近ではGoogleやFacebookなどによる人工知能(AI)のディープラーニングを活用した囲碁プログラムの開発への注目が高い。
囲碁には着手の選択肢が無限に近い。チェスが10の50乗、将棋が10の71乗に対し、囲碁は10の171乗でパターンがあるそうだ。これら無限大の囲碁の着手パターンを人工知能(AI)が学習することによって、強化され精度が高まっていく。そしてGoogleやFacebookなどは囲碁のプログラミングを通じて得た人工知能(AI)のノウハウを活用して、例えば画像認識の精度を上げていくなど検索やソーシャルメディアでのサービスに反映していくのだろう。このように人工知能(AI)を応用した囲碁のプログラミング開発はこれからもっと積極的に開発が進んでいき、近い将来人間と対戦しても人工知能が勝つ日が来るかもしれない。
■大学の授業でも「囲碁」戦略脳の育成に向けて
人工知能(AI)を活用しての囲碁のプログラミング開発が本格化しそうであるが、囲碁は「人間の脳」の活性化を促すといわれ、実証的研究が進んでいる。
囲碁を通じて思考力、分析力、先見性、創造性の発達を促すと言われている。また集中力や忍耐力を養うことや平衡感覚の育成、大局的な物事の見方ができるようになることからも囲碁は注目を集めている。さらにコミュニケーションの効用もあり、良好な対人関係の形成にも役立つ。
このような囲碁の持つ効用が高く評価されて、現在、日本では23の大学で囲碁が単位のとれる正課の授業として採り入れられている。例えば青山学院大学では「囲碁で養うロジカルシンキング」と言う授業科目で、戦略的なロジカルシンキングを身につける講座を開講している。学生の応募者も非常に多く、応募者250名から受講生を50人に絞り込むほど人気講座になっている。小中学校における囲碁も授業が拡大しており、全国で100校近く10,000人を超える生徒が囲碁に触れる機会を持っている。
■ボケ防止にも良い「囲碁」
また囲碁はシニア向けの脳の活性化を促すといわれている。囲碁が脳の活性化に役立つ実証的な取り組みも進んでいる。囲碁が認知症予防や高齢者の健康増進に役立つという『囲碁療法』に注目が集まっているとのこと。囲碁による健康寿命の実現は医療・介護費の大幅な削減に繋がるものと期待されており、日本棋院では今後、社会福祉囲碁団体などとも協力して、シニア層にも囲碁の普及を図ろうとしている。そのツールとして2015年秋には「入門・初心者」向けの囲碁コースも開設している。人間の脳は高齢化とともに退化していくが、囲碁で脳を鍛えることによって、認知症予防や健康増進が期待されている。
■2020年の東京オリンピックに向けて「囲碁」普及
囲碁が「人間の脳」にとって有益なことは日本だけでなく、世界中で注目されており、現在では東南アジアや欧米でも人気がある。日本棋院では2020年の東京五輪に向けて、日本の伝統文化としての囲碁の普及に取り組んでいる。世界棋戦では日本の代表として一丸となって戦うナショナルチーム「GO碁ジャパン」が2年前に結成され、着実にその成果が現れている。現在、世界アマチュア囲碁選手権が日中韓で持ち回り開催されており、2020年前には日本で開催予定であることもあり、これを中心とした「ジャパン碁コングレス」構想を企画している。
囲碁は、人工知能(AI)によるプログラミングの開発と、人工知能が人間に勝つかどうかということが注目され始めているものの、囲碁は子供からお年寄りまでの「人間の脳」の活性化にとっても極めて有効であることが実証されことに関心が高まることが期待される。