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元MLB204勝右腕が大谷翔平を絶賛「世界中のどこでも(二刀流が)できる」

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
かつてはドジャースのエースとして活躍していたオレル・ハーシュハイザー氏(写真:ロイター/アフロ)

 MLBで通算204勝を挙げたオレル・ハーシュハイザー氏から見ても、大谷翔平投手は特別な才能を持った選手に映ったようだ。

 ドジャーズ視察団が先週末から日本ハムの試合に顔を見せていることは、各メディアが報じている通りだ。彼らは日本ハムのスケジュールに合わせるように、22、23日とオリックス戦にも姿を見せ、23日の試合前にブルペン入りした大谷投手の投球に食い入るように目を光らせていた。

大谷投手の投球を見守るドジャース視察団
大谷投手の投球を見守るドジャース視察団

 今回の視察団で最も注目すべき存在は、編成部門の責任者であるアンドリュー・フリードマン野球運営部門球団社長(米国の場合社長職が複数人いるケースもあり、編成本部長と訳されたりする)だろう。チームはシーズン最多勝記録を塗り替える可能性があるほど順調な戦いを続けているとはいえ、まだシーズン終盤に向けたトレード市場も動いておりシーズンの中でもかなり重要な時期だ。にも関わらずフリードマン氏自ら足を運び大谷投手の視察に訪れているのだから、その気合いの入りようは尋常ではないと言わざるを得ない。

 フリードマン氏とは前田健太投手の入団会見などで以前から面識があったので、何とか本人から直接話を聞き出そうと思ったのだが、挨拶は交わしてくれたものの質問に応じてもらうことはできなかった。もちろんタンパリングに関わる可能性もあり、この時期にメディアに気軽に対応できるはずもないので仕方ないところではあるのだが…。

 ところで今回の視察団の中に特異な存在の人物がいる。オレル・ハーシュハイザー氏だ。彼はドジャースのフロントに所属しているわけではなく、ドジャース専属のTV解説者を務めている立場だ。ドジャースの場合数人の解説者が交代で担当しており、ちょうど仕事に空きがあったので視察団に加わったということらしい。

 ハーシュハイザー氏といえば、MLB在籍18年間で通算204勝を挙げ、オールスター戦出場3回、1988年サイヤング賞、1988年ワールドシリーズMVPに輝いた大投手だ。これまで大谷投手の投球はビデオで何回か見た経験があるらしいが、ブルペンとはいえ実際の投球を見たのは今回が初めてだったらしい。投球終わりにメッツ時代の同僚だった吉井理人投手コーチと談笑しているハーシュハイザー氏に少しだけ話を聞かせてもらった。以下彼のコメントを要約したものだ。

 「素晴らしい投手だね。間違いなく日本球界でトップクラスの投手だと思う。二刀流?彼なら世界中のどこでもできるよ。日本のプロ野球はレベルが高く、彼以外にも好きな選手がたくさんいる。自分は日本の野球にすごく関心を持っているので今回も来日した。自分が1980年代に日米野球に参加していた頃より、はるかに発展を遂げていると感じた。そんな選手の中でも彼は目覚ましい活躍をしているんだ」

 まだ大谷投手はMLB挑戦するかどうかすら決まっていない状況であり、さすがにハーシュハイザー氏も当たり障りのない内容でしか答えてはくれなかった。ただハーシュハイザー氏の目からも、大谷投手が投打ともにMLBレベルにあると見えていたことだけは間違いなさそうだ。

 シーズン終盤に向けMLB球界から大谷選手に注がれる関心はまだまだ加熱していくことになりそうだ。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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