【ジャパンカップ展望】話題の3強、安定の友道勢、仏の刺客…番狂わせはある?
話題の3頭に割って入る馬はどれか!?
11月29日、JRA東京競馬場で第40回ジャパンカップが行われる。
今年の見どころは芝GI8勝でラストランとなるアーモンドアイと無敗の3歳三冠馬2頭の対決だ。さらに他の12頭だって勝利や少しでも高い着順を狙っている。有終の美を飾りたい女王と2頭の三冠馬対決の話題が繰り広げられる中、空気を読まずに番狂わせを演出する馬はどれだろうか!?
まずは話題の3頭について検証し、次にその他の狙い馬をあげていく。
■2018年ジャパンカップ 優勝馬アーモンドアイ
女王アーモンドアイ、この中間も順調
芝GI8勝のアーモンドアイ(牝5、美浦・国枝厩舎)が人気の中心になるのは間違いない。
先日、このジャパンカップをもって引退・繁殖入りすることが発表され、今回がラストランとなる。2018年にもこのジャパンカップを制しており、東京の中距離戦は彼女が最も得意としているコース。気になるのは、前走の天皇賞(秋)からの中3週というローテーション。レース間隔が詰まるのは毎回全力でしっかり走る彼女にとっては決してプラスではないが、この中間も順調なので乗り切ってくれると筆者はみている。
■過去記事
女子高生が年上男たちをなぎ倒す!三冠牝馬アーモンドアイが驚異的レコードでジャパンカップを制覇
牡馬三冠コントレイル、レース当週に状態は一気に良化
2020年の中央競馬では、無敗の三冠馬2頭の誕生が大きな話題となった。
牡馬クラシック三冠を制したコントレイル(牡3、栗東・矢作厩舎)は1週前追い切りで併せ馬で後れをとり、菊花賞での激走の疲れが残っているのではないか?と不安視された。しかし、競馬当週の追い切りでは動きが一変し、格段に良化。馬体も1週前の段階ではさみしい印象を受けたが、かなり回復している。
菊花賞ではゴール手前で後続馬に詰め寄られた点も気になる。春の皐月賞、日本ダービーと比べると明らかにギリギリの勝利だったが、これについてはコントレイルと2着のアリストテレスの距離適性の差と考えれば合点はいく。
初の古馬対決。ジャパンカップのメンバーは一筋縄ではないかないが、今のコントレイルなら戦えるのではないか。
■2020年菊花賞 優勝馬コントレイル
牝馬三冠デアリングタクト、斤量の利を生かせるか
無敗で牝馬三冠を達成したデアリングタクト(牝3、栗東・杉山厩舎)はとても面白い。秋華賞後も順調に調整されており、状態について不安視する声は聞かない。
3歳三冠レースは、牝馬→牡馬の順で行われるため、ジャパンカップに向けては牝馬のほうが1週間レース間隔を広げられる利があるのもいい。
アーモンドアイがジャパンカップを制したのは3歳秋。斤量53キロと、古馬牡馬57キロとは4キロ差があるのも魅力的。父のエピファネイアも2014年のジャパンカップを制しているが、鞍上のスミヨン騎手が「自分が乗せてもらった日本馬の中で一番強い」と絶賛するほど力強いレースをみせた。
筆者はデアリングタクトがアーモンドアイとの世代交代の一番手とみている。
■2020年秋華賞 優勝馬デアリングタクト
ディープインパクト産駒はカレンブーケドールら5頭出走
今年のジャパンカップに出走するディープインパクト産駒はコントレイル、マカヒキ、ワールドプレミア、カレンブーケドール、グローリーヴェイズの5頭。
カレンブーケドールは昨年のジャパンカップは2着に健闘。当時は3歳牝馬で、斤量53キロの利を大いに生かした。オークスも2着と東京芝2400mを得意としているのが特徴だ。調教だけで仕上がるというよりはレースを走って状態が上がっていく叩き良化型なので、今回が叩き2戦目とローテーション的にもかなり面白い。
ただし、アーモンドアイと同厩舎なだけに、"空気を読まずに"勝ちにいくか?と言われると微妙だ。
■2019年ジャパンカップ 優勝馬スワ―ヴリチャード(2着馬カレンブーケドール)
グローリーヴェイズは昨年の香港ヴァース(GI)を含め重賞3勝はすべて芝2400mであげている。関東馬なのに珍しく東京競馬場での出走経験がないのが若干気がかりだ。東京競馬場は長い直線や坂、左回りが特徴。そういったコース特性は持前のスタミナでカバーできるはず。気になるのは、東京競馬場の大レースでは独特の高揚感のある雰囲気に馬が敏感に反応するケースだが、今年のジャパンカップに限っては観客数も少ないので影響はないのかもしれない。
筆者は人気が集中するであろう3頭以外の筆頭ではこのグローリーヴェイズを推したい。
■2019年香港ヴァース 優勝馬グローリーヴェイズ
友道勢、5年連続ジャパンカップ掲示板なるか!?
友道厩舎は2020年度も獲得賞金額(平地)10億円を突破した。友道厩舎の安定度は目を見張るものがあり、ジャパンカップについては特に成績が良い。
2016年のシュヴァルグラン3着(勝ち馬はキタサンブラック)以降、昨年まで4年連続でジャパンカップの掲示板をキープし続けている。
今年のジャパンカップで友道厩舎からの出走馬はマカヒキ、ユーキャンスマイル、ワールドプレミアの3頭。マカヒキはダービー馬でコース適性が高いし、ユーキャンスマイルは相手なりに堅実にGIでも上位に健闘している。ワールドプレミアについては、休み明けだが「いつも全力で走るタイプ」(友道厩舎大江助手)だし、いきなりでも結果を出せる状態にあり、侮れない。
■2017年ジャパンカップ 優勝馬シュヴァルグラン
こちらもラストラン、外国馬はフランスから芦毛馬が1頭参戦
昨年はゼロ頭だった外国馬だが、今年はフランスからウェイトゥパリス(牡7、A・マルチアリス厩舎)が参戦する。このコロナ禍という状況で、1頭でも外国馬の参戦があるのはジャパンカップの意義を考えれば喜ばしい限りだ。
外国馬の優勝は2005年(優勝馬はアルカセット)以降、いない。
ウェイトゥパリスはイタリアでデビューし5歳でフランスに移籍。今回、同馬に騎乗するミルコ・デムーロ騎手の弟であるクリスチャン・デムーロ騎手らを背に中・長距離戦に出走していた。
そして、今年6月のサンクルー大賞(仏サンクルー競馬場、芝2400m)で7歳にして初めてGIを勝利した。武器は鋭い末脚だ。
芦毛は年を重ねるごとに毛色が白くなっていく。ジャパンカップ当日のパドックではその真っ白な馬体に多くの競馬ファンが魅了されることだろう。なお、ウェイトゥパリスはこのレースを以て競走生活は引退し、アイルランドのクーラーゴンスタッドで種牡馬入りする予定。アーモンドアイ同様、無事ラストランを終えて新たな道に進んで欲しい。
■ウェイトゥパリスを繋養予定であるクーラーゴンスタッドのTweet
【この記事は、Yahoo!ニュース個人編集部とオーサーが内容に関して共同で企画し、オーサーが執筆したものです】