4代目バチェラー黄皓氏に聞く仕事論(後編)
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黄皓さんが2020年に会社を設立してサービスを提供している「MIRROR FIT.」は、自宅をジムにできる新しい取り組みです。Android搭載の大型デバイスを通して、プロのトレーナーによる本格的なトレーニングをいつでもどこでも受けられます。また、AIがウエストやヒップなどの部位を3Dでボディスキャンするので日々の状態や変化を確認することができます。黄皓さんはこの製品をどのように開発したのでしょうか?
<ポイント>
・ビジネスのヒントはお客様がもっている
・「忙しくて会えない」というのは優先順位が低いだけ
・採用ミスはなぜ起こるのか?
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■ビジネスアイデアの見つけ方
倉重:会社を立ち上げられて今6年です。ミラーフィット株式会社はいつごろから始めているのですか?
黄:ミラーフィット株式会社は2020年の7月末に設立しました。今表面上はすごくうまくいっているので、周りから「昔からこういうものを考えていたのですか?」と聞かれます。僕が思い付いたわけではなく、事業をしている過程でユーザー様からいただいたフィードバックを愚直に実現していった結果なのです。
例えばジムを作ったきっかけは、僕が「ダイエットしたい」と思ってパーソナルジムに行ったことです。費用が100万くらいかかると言われたときに「人生が変わるなら高い投資ではないけど、もう少し安くできるのではないか」と思いました。人生を変えたくても、高額なジムに投資できない人はたくさんいます。僕が2/3の金額、もしくは半額でやりたいと思ってつくったのが、最初のパーソナルジムでした。
そこに体験者が来て、10人中3人が入会してくれました。でも、残りの7人は「まだ高い」と言います。人生を変えたいのにお金がネックになってやめてしまうのは、すごくもったいないではないですか。そこでパーソナルトレーニングとエステを3万円で受け放題のサービスを作りました。
倉重:その値段で回るのですか?
黄:回ります。会員が元々50人しかいなかったのに、このサービスで一気に1,000人になりました。今全国で展開しています。そのサービスで10人中7、8人が入会するようになりましたが、まだ3人は入りません。またはせっかく入ったけれどもやめてしまう人がいます。
なぜかと聞いたら「忙しいから続けられない」ということだったのです。どうしたらその忙しい人たちをサポートできるかと考え、ジム付き、エステ付き、ホワイトニング付きのマンションを1棟プロデュースしました。パーソナルトレーニング付き、エステ付き、ホワイトニング付きというマンションで、家賃込みで12万ぐらいです。駒沢駅から徒歩4分のところに出しました。
倉重:マンションの中に、ジムがあるのですか。
黄:マンションの1階にあるので、家を出るときと帰るときに必ずそこを通ります。それを作ったら竣工前の1カ月で全て満室になりました。これも大変バズって、Twitterなどでも15,000イイねが付きました。この事業は最高だと思う一方で、全世界に広げようとすると資本的にも大変です。
倉重:1棟建てるだけでかなりお金がかかりますよね。
黄:それなら部屋の中にジムを作ろうと思って、オンラインに目を向けました。当然YouTubeですでにたくさんのチャンネルがあります。実際に使ってみて思ったのですが、あれでは痩せません。まず自分の動きが分からないから飽きますし、コミュニケーションがないので続きません。どうしようかと思って世界を見たときに、鏡を使って自転車運動するペトロンというものがありました。
それをヒントに、日本の住宅に適したハードウエアは何か考えたのです。自転車は邪魔になるから絶対に要りません。日本は坪単価1万5,000円と言われます。置いておくだけで1万5,000円するようなものは不可能です。既存のものをリプレースしようと思ったときに、大きなインターフェースで反射するのは鏡でした。
倉重:アイデアは、どのようなときに思い付くのですか?
黄:ビジネスアイデアは自分で考えるというより、お客さんにニーズを聞くのです。「なぜジムに行かないのですか?」「行く時間がないのでしょうか?」というふうに。人が欲しいものをどう提供できるのかしか考えていません。
倉重:黄さん流の新規事業の作り方は、まずお客さんの声を聞くことですか。
黄:ユーザーインタビューにしかヒントがないと思います。そうやって作ったのがMIRROR FIT.です。これなら天候は関係ないし、荷物が要りません。移動時間も一切かからないし、5,980円で家族全員が毎日使えます。家族3人でジムに入ったら、3万円かかりますよね。
倉重:今事業は順調ですか?
黄:これに関してはお金も相当かかるので初期からエクイティ調達をしています。僕は他人に生殺与奪の権利を握らせるのが嫌だと思って、自分の資本でずっとしてきました。今回初めて外部資本を入れているのです。お金もそうですが、イントラとして社会に広げていくに当たって、1人の力では無理だと思いました。ここはエクイティ調達という資本コストの高い選択肢を使いながら、スピードを重視しました。
倉重:どこかと組んでいるのですか?
黄:いろいろな事業会社さんや、VCさんからのご出資をいただきながら、僕自身も1億近く入れています。本当に命がけです。開始して1年半たったので、あと3~4年でなんとか上場したいです。上場がゴールというよりは資本コストを集めて、もっとやりたいことがたくさんあります。
倉重:その後の展開なども、言える範囲でありますか?
黄:まずはオンラインフィットネスという形で、家の鏡というインターフェースからオンラインのサービスを提供していきます。鏡の前でする行動はたくさんあります。
例えばヘアメイクや化粧、ファッションの試着等のサービスを全て入れ替えていきたいのです。
倉重:自宅の鏡の前で試着などもできるのですか。
黄:カメラが皆さんの体を計測して、ボディーサイズを出すこともできますし、運動が正しくできているかどうか、AIがスコアリングしてフィードバックを出してくれます。
使わないときは鏡として使えて、運動したいときはパーソナルトレーニングができて、それ以外のときはYouTubeも見られます。
倉重:鏡の再定義ですね。
黄:鏡は3,000年前から地球上に存在していて、全ての人が毎日使っています。本質的に鏡がうっとうしいと思う人は誰もいないのです。鏡のイノベーションを行うことでその空間をアップデートできると思います。
倉重:それは壮大ですね。いろいろな事業展開ができそうです。
黄:正直いってあまりリスクのない事業はいくらでもあるのですが、あえていばらの道を進んでいる感覚があります。
倉重:そのための仲間の集め方も変わりましたか?
黄:今会社にいる子たちは全員転職組です。確実性がないのですが、僕と同じワクワクを、みんなに持っていてほしいと思っています。僕は別に全員が上場に向けて頑張ってほしいとは思っていません。「このプロダクトが好きで広めたい」という想いだけあってくれればいいのです。ここでキャリアを積んで、より大きな会社に行くことが目的でも僕は構いません。「同じ方向に向かうことで目的を達成できる」という人を僕は集めているだけです。
倉重:新卒の方を採用するとき、黄さんの判断基準はありますか?
黄:情熱があるかどうか、自分の言ったことを必ずやりきれるかどうか、僕の指示以上に自分で考えて行動できるかどうかです。スキルは全く求めていません。できないことを「できない」と分かってしまう賢い子より、「どうやったらできるのか」を試行錯誤しながらPDCAを回せる人が欲しいのです。
先ほど僕のビジネスアイデアの考え方とも近いのですが、僕は「これはできない」というのが嫌いです。「できないからやめよう」ではなく、「どのようにしたらできるのだろう」ということしか考えていません。一発で実のある提案ができなくても、PDCAを回しながら試行錯誤できる子のほうがいいと思います。
中途採用ではある程度の経験や実績、スキルを見ますが、新卒に対しては本当に情熱です。
倉重:今まで雇った人と、揉めたことはありますか。
黄:僕は3社経営していて150人の社員が会社にいますが、正社員が退職したことは一回もありません。
倉重:すごいですね。採用のミスマッチがないということですか?
黄:もちろん「辞めたい」と言われることはたくさんあります。例えばジムの社員も、僕が車を買ったりすると、「車なんて買わずに税理士を入れてくれ」とSNSで文句を書いたりするわけです。僕がオークションで絵を落札すると、SNSに不満を投稿されたりします。そのような彼も気付けばうちで一番長く働いています。「合わないからお前は要らない」という発想には至りません。
どのようにしたら一緒に働けるのか、どうやったらここで働くことが君にとってプラスになるのかを考えます。かといってお金の使い方は俺のリスクでしていることだから、文句を言われる筋合いはありません。「俺は変わらないけれども、どうやったら君にとってメリットのある状態を作れるか」ということは話し合います。
『バチェラー』を見ていただければ分かると思いますが、「だったら結構です」とは言いません。
■恋愛と仕事の線引き
倉重:『バチェラー』の話も出たので聞きたいのですが、恋愛と仕事の線引きはどのように両立していますか。
黄:仕事をおろそかにしてまで恋人との時間を作るということはありませんが、経営者になってくると、時間の作り方、スケジュールの組み方は自分次第です。
さすがに仕事を途中で抜けることはありませんが、例えば「土日はこちらの仕事を頑張ったから、次の水曜日は空けさせてもらう」というふうに彼女と遊びに行く予定は自分で組みます。大事なものがあったら自然とがんばりますよね。
やはり時間を作れないのは、優先順位がシンプルに低いだけの話です。人間24時間みんな平等にあるので、仕事する以外にも排泄をしてご飯を食べる時間は絶対取ります。会わないということは、それより優先順位が低いだけなのです。「忙しくて会えない」という言い訳は、シンプルに全ての行動より優先順位が下なだけなのです。
倉重:耳が痛い男子もいるのではないでしょうか。今までお話を伺ってきて、すごくいろいろなことを考えていらっしゃるし、頭の回転も速いと思うのです。黄さんが意識されている仕事術などをぜひ若い人に伝えられたらと思うのですが、どうでしょうか。
黄:僕はちょっと特殊です、マルチタスクで視野が広く、同時にさまざまなことが処理できることが強みなのです。その代わり処理スピードは遅いのです、「これをやるぞ」といって奥深くまでプログラミングすることはできません。僕に足りないものは一つひとつをきっちりこなす能力です。そこは僕より得意な人に任せます。
倉重:足りないものを任せられる人と一緒に仕事をしているのですね。
黄:仕事術で大事なのは、自分は何が得意で何をしている時間が一番パフォーマンスを発揮できているのかを認識することです。足りないものは外で補ってしまえばいいと思います。
倉重:自分の強みをきちんと知るということですね。弱点を克服するのは時間がかかる割に成果も出ないで、強みを伸ばす方が生き残れる確率が高いと思います。私も細かい事務作業や日程調整などは苦手なので秘書にお願いしています。その方が効率が良いんですよね。そもそも若い人は自分の強みに気づいていないこともありますからね。
黄:会社にいると自分の強みではないところで働けと言われるケースがあるので、それは難しいと思います。「若手はこれをやらなければいけない」という会社の決まりはくだらないと思います。得意なものは、得意な人がやればいいのです。
アメリカの大学はとにかく強みを伸ばしますが、日本は教育の場でも仕事の場でも平均点が高くなることを望みますよね。強いところだけをひたすら伸ばせばいいと思います。
倉重:自分の中で強みを見つけるのが大事ですね。
黄:強みはすぐに見つかるものではないと思います。何年か働いている中で、あるとき「今の自分は一番パフォーマンスが高い」と感じる瞬間があるはずです。
メキシコのときもそうだったのですが、日々の仕事は全然楽しくないから手が進まないのに、好きなことをしているときはパフォーマンスを無限に発揮できます。寝ずにやれるくらい夢中になれます。仕事でもそのような環境を自分で作りたいのです。
倉重:「好きなことが見つからない」と悩んでいうる若い方にアドバイスをお願いできますか?
黄:よく「悩みを抱えています」と言う人がいますが、悩み自体は超ポジティブだと思っています。悩まない人間は簡単にいうとアホなのです。危機感や自己成長意欲が欠如しています。だから悩んでいるという事実は客観視するとチャンスです。
悩んでいる時点できちんと現状に危機感と不安を覚えているので、成長の糧になります。今の自分を分析して、どの状態にいければ悩まないかを、冷静に一回考えます。
悩まない状態をゴールだとして、今悩んでいる地点がスタートだとしたら、ゴールへ向かう道と手段を洗い出しましょう。あとはシンプルに、「Just do it」なのです。
倉重:非常にロジカルです。ありがとうございます。最後に黄さんの「夢」をお伺いしたいと思います。
黄:僕は親にすごく感謝しています。今の素地があるのは親のおかげだと思っています。
この感謝に最低限報いるためには、「この人生が死ぬほど楽しかった」と思える状態を作ることです。僕の夢は「生まれてきてよかった」と思えて、死ぬときの走馬灯にワクワクする映像がたくさん流れていく人生を送ることです。その過程で人や社会が幸せになり、自分が満足できる生活があると思います。それを一生かけて突き詰めていくだけです。
倉重:今、「夢の最中」ですね。
黄:よく「10年後の自分はどうなっていますか」と聞かれますが、10年後の自分は絶対にイメージしません。キャリアと違って10年後の自分をロジカルに書きだしてしていくと、僕の性格では無駄を省いて達成しようとしてしまうのです。人生は想像もしていなかった無駄が楽しかったりします。ここだけは逆算しないようにすごくざっくりとらえています。10年後の自分はまぶしすぎてよく見えません。
倉重:さすがバチェラー、最高のシメです。ありがとうございます。ここからは参加者からの質問コーナー、よろしいでしょうか。
■質問コーナー
A:私は仕事の中で若い子の採用に苦戦をしています。採用ミスがどうしても起きるのです。人材をどのように調達し、採用ミスにつなげないようにしていけばいいでしょうか。HR系のプロセスの考え方などを聞きたいと思います。
黄:求める人材が100パーセントいることはまれなのです。例えば100人採用しなければいけないときに、求められているスキルを持っている学生は運が良ければ20~30人です。
最初からスキルがある人は「採れたらラッキー」と思っていただきたいのです。今の若い子たちは良くも悪くも賢いので、SNSでいろいろな選択肢や価値観を吸収しています。彼らには無限に選択肢があるのです。
彼らに業務をさせようとすると、「タスクだ」と認知されてしまうのです。たまたまタスクが好きな人や得意な人はやりがいを感じて楽しいと思いますが、そうではない子たちはモチベーションが下がります。
そこでは彼らのメリットを提示してあげるべきだと思うのです。メリットが給料だけとなると当然働いてくれません。だからこそ今はフリーランスや転職などの選択肢が無限に存在するわけです。
会社のニーズではなく、「私たちはこれが達成できれば、あなたのニーズもかなえてあげます」と示さなければなりません。
スキルだけではなく、志向の提案をしてあげるといいと思っています。「この単純な業務をこなすことで、あなたは何を得られると思いますか?」と聞いて、その答えの一歩先まで提案できると学生のやる気が出てきます。
僕も採用面談で「あなたがうちに何を求めて入りたいのかお金以外で教えてください」と聞いています。
倉重:非金銭報酬で、どのようなものが出てくるのですか。
黄:やりがいや仲間意識、次につながる実績です。逆に言うと、僕がメリットを提供できないと思えば、「ごめんなさい。それはちょっと提供できなさそうです」と言います。採用ミスというのは、お互いの期待と提供できるものを事前にすり合わせていない状態です。
倉重:きちんと最初から動機をすり合わせておくことが大事ですね。
黄:働くところを自分で選べる今、お金だけ提案されても「いやいやいや」となるわけです。新卒もみんなそうなのです。人生の選択肢はリクルートで働くことだけではありません。「採用してやるぞ」と上から目線で考えるのではなくて、「あなたに私たちは何が提供できるでしょうか」と聞いて考えるのです。
A:きちんと個人に合わせたメリット提供をして、仕事の意味付けをしてモチベーションを上げて、エンジンを最大化させていくというマネジメントだと思いました。
倉重:誰も辞めていないのは、すごいです。そのような会社は、なかなかありません。
黄:逆にいうと、全ての社員に合わせるのは不可能なのです。今自分たちが提供できるキャリアは、ここなのだと考えた上で答えています。恋愛と一緒ではないですか。「私はこのようなことができる」「あなたはこのようなことができる」と。マッチングの考え方と一緒だと思います。
A:「すり合っているな」と思って入社した後に、「やっぱり違った」ということは発生しないのですか。
黄:それは俺が悪かったとなります。基本的に超自責思考なのです。社員にSNS上で、めちゃくちゃ誹謗(ひぼう)中傷を受けても僕はそれを「やめろ」とは言いません。書かれている俺が悪いのです。他責にすると自己改善ができません。だったらその子がうまくできていない原因は何か、どうやったらできるのかを考えます。
B:黄さんの話を聞いていると、すごく従業員の方々からも支持されています。マネジメントのスキルも突き抜けられていると感じました。それはどこかで習得したり、学んだりしたわけではなく、天性のものなのですか。
黄:経営学を学んだことはないし、人心掌握術も知りません。でもベースには「僕が大好きなみんなに嫌われたくない」という想いがあるのです。本質的に嫌われたくないから彼らにもメリットがある状態を作りたいと思うわけです。
とは言え、嫌われたくないから誰かにいい返事をして、それが他の人の不平不満につながるようなことは絶対しません。前提にあるのは「みんなが大事だから願いをかなえてあげたい」という想いです。
その中で聞き入れるべきことと、聞き入れるべきではないことは、会社の代表として線引きはします。そこの線引きが多分人よりちょっとうまいのかもしれません。
倉重:「社長はこんなに大変なのに、なぜ分かってくれないのだ」というストレスはありませんか?
黄:当然人間だからあります。でも寝たら治るので引きずりません。社員にもめちゃくちゃ怒りますが、すぐに「はい、この話は終わり」と言って、1時間後に普通に「カフェに行こう」と誘います。
うちに来てくれている人には、「僕のために働いてくれている」という感覚があります。「このような小さな会社に勤めてくれて、本当にありがとう」からスタートしています。だから大切にしたいという気持ちがあるのです。
倉重:最後の質問をいいですか。
C:お客様への不満の聞き方を教えていただきたいです。ジムを退会した方には「もっとこのような事業があったらうれしいですか」「不満は何かありますか」と聞いていらしたのですか。
黄:お客様にはジムをやめる瞬間が存在するわけです。そのやめる瞬間に何が起きたかを分析するのが一番良いです。転居などの不可抗力なのか、自分の意識で辞めたのかという答えはユーザーさんしか持っていません。継続してくれているお客様に対するアンケートは一生懸命インセンティブを付けて取りますが、退会されたお客様へのアンケートが一番大事です。
倉重:退会理由をきちんと聞くわけですね。
黄:ユーザーインサイトについて僕らが「きっとこうだろう」と考えるのはマスターベーションです。答えを知っているのはユーザーです。本当の理由を教えてくれるユーザーは、意外と多くはありません。だからこそ本当の理由を聞くためだったら、いくらでも利益を提供するべきなのです。
例えばペルソナだと思っていた人がやめてしまったとします。なぜか理由を聞くと、「プログラムに飽きてしまう」とか「意外と使っていませんでした」という答えが返ってきます。「なぜ毎日置いてあるのに使わなかったのですか?」と聞いたら、「接点が少なかった」「コンテンツに価値がないと思ったから」という答えが出てくるので、とことん深掘りします。悪口を言ってもらっている状態がベストです。
倉重:そこにこそ費用をかけるべきということですね。今日はお話しして非常に面白かったです。まだまだ話し足りないのですが、あっという間にお時間になってしまいました。どうもありがとうございました。
黄:ありがとうございました。
(おわり)
対談協力:黄 皓/HUANG HAO
RILISIST株式会社設立(代表取締役社長)
Shanghai Transport China Logistics International Co., Ltd(代表取締役社長)
ミラーフィット株式会社設立(代表取締役社長)
早稲田大学卒業後、総合商社の三菱商事株式会社へ入社し、デジタル家庭電化製品、自動車用部品、工業プラント施設向けの鉄鋼製品のトレーディング業務に従事。メキシコでの海外駐在も経て退社。その後、家業であるShanghai Transport China Logistics International Co., Ltdの代表に就任し、国際物流の事業を経営しつつ、RILISIST設立を設立し、現在は全国で約15店舗のパーソナルジム兼セルフエステの受け放題サロンを経営。20年にはミラーフィットを設立し、自社開発のスマートミラーデバイスを活用した、新しい形のオンラインフィットネス事業を展開。「ジムに通いたいけれども時間がない」「毎日続けられない」といったユーザーのペインを解消するだけでなく、トレーナーの新しい働き方を叶えるプラットフォームを目指していく。