【レヴォーグ試乗記】若手自動車ライターがCOTY受賞車をチェック!
スバルレヴォーグといえば、2020-2021年日本カーオブザイヤーを受賞した話題性の高いモデルです。各方面でも評判は上々ですが、実際のところはどうなのか気になる方も多いでしょう。「乗ってみなきゃわからない!」ということで、業界で最年少?と思われる筆者が街乗りから高速道路、ワインディングに至るまで実際に運転してチェックしてみました。
文・写真:西川昇吾
第一印象は「ペダルタッチが抜群に良い!」
どんなクルマにも走り始めの第一印象というものがあります。レヴォーグを運転して最初に驚かされたのはペダルタッチの良さです。回生ブレーキやハイブリッドなどが増えた現代のクルマはペダルの操作感覚が軽くて機械的と感じることが多いですが、レヴォーグのペダルタッチはアクセルもブレーキも比較的重めです。しかし、単純に重たいのではなく操作しやすい適度な重さになっているのが特徴と言えます。ワイヤースロットルに慣れ親しんだ世代の人にとっては自然と思えるペダルタッチです。
アイサイトXはとても自然な運転支援
そしてレヴォーグで話題の機能といえば高度運転支援システムアイサイトXです。渋滞時ハンズオフアシストやカーブ前速度制御、料金所前速度制御などがこのアイサイトXで新たに加わった機能と言えます。
実際にアイサイトXを自動車専用道路で使用するとその制御の自然さに驚かされます。時速50キロ以下の渋滞ならば何も不安なく、ステアリングから手を放すことができますし、料金所手前やカーブのあるジャンクション前でもまるで人間がブレーキを踏んでいるかのように徐々に減速します。また、以前から装備されているツーリングアシストも前車の加減速に合わせて滑らかに速度を調整します。
これだけ精度の高い運転支援システムが約400万円のクルマに装備されているというのは、とてもコストパフォーマンスが高いと言えます。自動車専用道路で運転支援機能をフルに使いこなせば、長距離移動時の疲労が圧倒的に少ないのを誰でも実感できることでしょう。
ワインディングでは気持ちいい運転フィーリングを実現
そしてもう一つ印象的だったのがワインディングでの気持ちよさです。スポーツモードなどを選択し、ワインディングで速度を上げていくと程よいロール感でコーナーを駆け抜けていきます。コーナーを曲がるのがとても楽しくなる乗り味です。エンジンのトルク感も良く、ターボラグとは無縁の自然なフィーリングで車体を引っ張ってくれます。
何よりワインディングで最も印象的だったのが、4輪駆動の制御です。ステアリングフィーリングの気持ちよさを犠牲にすることなく、フロントタイヤがしっかりと路面を掴んでいる安心感があり、コーナー立ち上がりではそれを強く感じることができます。「曲がる4駆」であることをワインディングでは強く認識させられました。
しかしながら欠点もある
ここまでレヴォーグの良かった点を述べてきましたが、決して欠点がない訳ではありません。いくつか欠点もありますが、最大の欠点と言えるのは燃費です。アイサイトXを試すために高速道路を主体に試乗しましたが、それでもメーター上の平均燃費は13km/L丁度といったところ。短距離ながら街乗りで計測すると10km/Lを下回ります。ライバル車種の存在を考えると少しこの燃費は厳しいでしょう。
また信号待ちなどでブレーキペダルから足を離しても停止制動力を保持してくれるオートビークルホールド(他メーカーではオートパーキングホールドなどとも言う)やアイドリングストップのスイッチが分かりやすく物理スイッチになっていないのも使いづらいです。ナビの設定画面からこれらの機能のオンオフができるのですが、実際に機能させるまでにはいくつかの画面を経なければいけません。良く操作するこの2つの機能はすぐに操作できる物理スイッチにすべきでしょう。
また荒れた路面での低速域での振動も気になりました。乗り心地が悪いという訳ではありません。しかし、何度も補修工事を行った古いアスファルトなどにありがちな、路面の継ぎはぎや、大きなうねりがあるシチュエーションでは気になります。凸凹など連続する入力が原因となる振動のおさまりが悪いという印象です。
今後の熟成も楽しみ
あらゆる場面でレヴォーグを運転してみましたが、とてもコストパフォーマンスに優れたモデルだと感じました。約400万円という価格で、精度の高い最新の運転支援システムを備えながら、ワインディングでの気持ちよさや抜群のペダルタッチなど運転の楽しさも確保しているのが最大の理由です。
また、欠点も述べましたが、レヴォーグはまだ登場して1年未満のクルマ。今回疑問に感じた面もこれから見直されていき、より商品力の高い魅力的なモデルへと進化していくことでしょう。スタート地点が高いポイントにあるので、これからの熟成に期待です。