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M550iを試乗チェック!530PSのスーパーサルーンの実力は?

西川昇吾自動車ライター/自動車系MC

5シリーズファミリーのトップに位置するM550i。530PS、1500万円弱という超弩級のこのセダンは5シリーズという枠を飛び越えて、Mモデルに属するM5に肩を並べているのではないかと思わせるモデルです。M5ではなく、M550iを選ぶ理由はどこにあるのか?このスーパーサルーンを実際に試乗し、その真価を体感してみました。

文・写真:西川昇吾

スペック上のM5との違い

4.4LV8ターボエンジンが生み出すパワーは530PS、最大トルクは750Nm。まるでスポーツカーのようなエンジンが搭載されていますが、実はこのエンジンM5とほぼ一緒と言えるエンジンです。排気量から最大トルクまで一緒でスペック上、異なるのは最高出力。M5は通常モデルが600PS、よりスパルタンなコンペティションなら625PSとなっています。最高出力発生回転数もM550iが5500rpmとなっているのに対し、M5は通常モデル、コンペティション共に6000rpmと500rpm引き上げられています。

スペック上から分かる両車の大きな違いとしてはこれくらいで、車重も10kgほどM550iが重たい(1950kg!)程度。それでいて500ほどの価格差があるのですから、その差といった部分も気になるところです。(残念ながら、M5を試乗したことはないですが…)

Mと530PSを忘れる街乗り

乗り始めの第一印象はとても乗り心地が良くジェントルだということ。バリバリMな演出が施されたエクステリア&インテリアからして「少し固めだろうな」と予想していましたが、車内伝わってくる振動や乗り心地の感触はコンフォート性能の高い高級サルーンそのもの。街乗りで乗る限りエンジンのトルク特性もとてもマイルドで、入ってくるサウンドもさほど大きくなく、500PSオーバーのクルマを運転していることを忘れてしまうほどでした。

高速道路は得意中の得意

高速道路で流れに沿って巡行すると、M550iの優しい顔の部分が本領を発揮します。高速域でも入ってくる振動や騒音はとても少なく、2975mmというロングホイールベースもあって直進安定性も抜群。高速移動での長距離運転はかなり疲労度が少なく済みます。新東名の120キロ巡行でも8速ATとの組み合わせもあってか、かなり低回転で巡行しているため、とても穏やかな印象。サポートが張り出したMモデルらしいシートも座っていて違和感だと思うポイントがなく、これほどまでに高速での長距離運転で疲労度が少ないクルマはそうそうないと言えます。

ワインディングはコンフォートモードの方が吉?

ワインディングに入り、スポーツモードを選択すると先ほどまでの乗り心地が一変してハードな乗り心地に。確かにステアリングの応答などはシャープになり、切り始めは楽しい印象がありますが、日本のワインディングでは少し硬すぎるという印象を受けました、突き上げ感が強く、ゆっくりと荷重をかけていきたいといったシーンで、角が付いたような雰囲気が気なります正直に言って、日本のワインディングならばコンフォートモードで十分と言えます。突き上げ感も激しく、ワインディングを楽しく走ろうとはあまり思えません。コンフォートモードの方が適度なロール感があり、ワインディングは楽しく感じます。自身で好きな設定を作り上げることもできるので、ワインディングを走るときはサスペンションのみコンフォートモードにし、ステアリングやエンジンはスポーツモードをチョイス。これが筆者が思うワインディングでのベストセッティングだと感じました。

スペックを忘れる気持ちよさがあるエンジン

エンジン低速域ではとてもジェントルなエンジンですが、スポーツモードにするとスロットルレスポンスに優れ、ターボだというのを忘れるほど自然な吹け上がりで、回すのが楽しくなってしまうほど。トルク特性も過激な印象がせず、530PSのターボという印象はあまりなく、上まで回しても扱いやすい印象。このキレイに上までよどみなく回るエンジンと、安定感抜群ながら良く曲がるシャシーは2トン近いクルマとは思えないほどワインディングを楽しむことができました。まるでスポーツカーを運転しているかのように、黙って運転に夢中になってしまうほどでした。

ジェントルで懐が深い

一連の試乗を通して感じたのは、基本はジェントルな懐の深いスポーツサルーンだということ。通常時の快適性はとても高く、エンジン特性から運転もしやすく優しい印象です。しかしひとたびアクセルを踏み込めばサウンドと加速感で非日常な体験を味わえることは間違いないです。M550iは非日常の運転の楽しさと日常域での快適性を高い次元で両立しています。ガンガンにサーキットを走るという訳でないのであれば、M5よりもM550iの方が良いのではないかと思いました。

自動車ライター/自動車系MC

こう見えても1997年生まれ。富士スピードウェイ近隣で生まれ育ち、大学で自動車に関する学習をする傍ら、自動車ライターとしての活動を始める。現在は、新車情報はもちろん、自動車に関するアイテムや文化、イベントの取材記事も手掛けるほか、車両紹介動画やe-MotorsportsイベントMCを中心に自動車系MCとしても活動中。自動車が好きな1番の理由は「工業製品として個性が豊富なこと」そのため古い車も新しい車もどちらも大好き!愛車はマツダロードスター(ABS無)で、定期的に愛車でサーキット走行をし、ドライビングの鍛錬も忘れない。「書けて、喋れて、走れるモータージャーナリスト」目指して奮闘中!

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