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WRX S4を試乗チェック!現行唯一のスバルWRXの実力は?

西川昇吾自動車ライター/自動車系MC

2023年現在、スバルのフラッグシップモデルとして位置しているWRX S4。STIがラインアップから消えた今、唯一のWRXモデルとなっています。現在のスバル車の中で最もスバル車らしさが溢れているこのモデルを実際に試乗チェック。現代のスバルらしさとは何なのか?改めて考えてみました。

伝統の水平対向ターボ

スバルと言えば水平対向と4WD、高性能モデルならばそこにターボという図式が長年の伝統となっています。長らくスバルのスポーツモデルに搭載され、モータスポーツシーンでも活躍しているEJ20エンジンはラインアップから消え、このWRX S4では新世代の2.4LエンジンFA24が搭載されています。

スペックは最高出力275PS/5800rpm、最大トルク375Nm/2000~4800rpmとなっていますが、実際に運転して見るとスペック以上のトルク感を感じます。2000rpm以下でも通常の走行ならば軽々とこなし、加速をすると中間域を中心にフラットトルクに優れていて、どこからでもしっかりと加速してくれます。

加速時にはあまり気が付かないかもしれませんが、思い返すとトランスミッションも素晴らしい仕事をしていると感じます。採用されたスバルパフォーマンストランスミッションはシームレスに変速しながらトルクを常に途絶えさせない印象。シフトダウン時もブリッピングしながらシームレスに変速してくれます。

4WDとは思えないノーズの入りの良さ

これまでのWRXにも感じられたポイントである、4WDとは思えないノーズの入りのシャープさはこのS4にも息づいています。ステアリング操作に対してリニアに反応してくれて、思った通りに曲がってくれます。また、ノーズの入りはシャープですが、4WDシステムの制御もあってか、スタビリティの高さは抜群。まさにオンザレール感覚でコーナーを駆け抜けていくフィーリングは低速域でも運転していて楽しいし安心感があります。

全てが自然な操作系

運転していてあらゆる操作が自然でコントロールしやすく、運転がストレスフリーという印象がします。その理由は現代のクルマの中でトップレベルに各種アシスト類のフィーリングが良いからでしょう。ステアリングからのインフォメーションが感じ取りやすい電動パワステ、ブレーキ・アクセル共にとても自然なペダルタッチと運転に関する操作系のフィーリングがとても自然です。この点は回生ブレーキが無いというのも影響しているはず。運転支援システムも充実していて、(アイサイトXはトップレベルに自然な支援!)高速道路でも低回転で巡行できるので、運転に関するストレスフリーさも相まって長時間運転していても疲れが少ないのが印象的でした。

ネックは燃費

ある程度覚悟はしていましたが、このクルマのウィークポイントはやはり燃費性能です。市街地からバイパスの多い郊外、高速道路まで色々なシチュエーションで走行しましたが、市街地では良くて8.0KM/L、バイパス中心ならば10.0KM/L、高速道路ならば12.0KM/Lといった具合でした。

水平対向エンジンは燃費的に不利とは言え、ハイオク指定でこの燃費性能は購入時の足枷となる場合もあるでしょう。このクルマを購入する人ならばあまり燃費性能は気にしないかもしれませんが、覚悟はしておくべきです。

運転が楽しい快速ツアラー

約1500キロ、様々なシチュエーションでWRX S4を乗りました。長距離移動で快適なGT的な性能が高いながら、ワインディングでも思い通りにストレスなく動いてくれて、このクルマを一言で表すと「運転が楽しい快速ツアラー」だと感じました。

STIほどの刺激はないですが、歴代WRXに通ずる楽しいシャープなステアリングフィーリングは健在で、フラットなトルクのエンジンと優れた4WDシステムで素晴らしい加速を実現。スバルらしさ、WRXらしさを残しながらも大人になった…そんな印象を受けました。

自動車ライター/自動車系MC

こう見えても1997年生まれ。富士スピードウェイ近隣で生まれ育ち、大学で自動車に関する学習をする傍ら、自動車ライターとしての活動を始める。現在は、新車情報はもちろん、自動車に関するアイテムや文化、イベントの取材記事も手掛けるほか、車両紹介動画やe-MotorsportsイベントMCを中心に自動車系MCとしても活動中。自動車が好きな1番の理由は「工業製品として個性が豊富なこと」そのため古い車も新しい車もどちらも大好き!愛車はマツダロードスター(ABS無)で、定期的に愛車でサーキット走行をし、ドライビングの鍛錬も忘れない。「書けて、喋れて、走れるモータージャーナリスト」目指して奮闘中!

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