パナソニック対神戸製鋼の全勝対決は雨中ドロー!再戦はリーグ決勝までお預けに
【4年ぶりに実現したパナソニック対神戸製鋼】
今シーズンのトップリーグは、まず前半戦として2つのカンファレンス(ホワイトとレッド)に分かれリーグ戦を戦ってきたが、すでに全チーム6試合を戦い終え(日野とキヤノンは新型コロナウイルスの影響で1試合中止)、いよいよ1試合を残すのみとなった。
そんな前半戦のクライマックスになったのが、偶然にも先週末に両カンファレンスで実現した全勝対決だった。レッドはサントリーとクボタ、ホワイトはパナソニックと神戸製鋼との間で、カンファレンス1位を懸けた熱戦が繰り広げられた。
特に注目を集めたのが、パナソニック対神戸製鋼ではないだろうか。両チームともに2019年ラグビーW杯で活躍した日本代表選手が多数在籍し、昨シーズンも新型コロナウイルスのためシーズン途中で中止に追い込まれるまで、この2チームだけが全勝を守っており、間違いなく現在のトップリーグを象徴する強豪チーム同士だ。
しかも両チームが相まみえるのは2016-17シーズン以来だったこともあり、ファンの注目を集めるのに十分な対決となった。
【悪天候ながら8523人のファンが集結】
ファンの注目の高さは、その入場者数にも表れている。
会場となった神戸総合運動公園ユニバー記念競技場は、午前中から強い雨が降り続く最悪のコンディションだったのだが、続々とファンが集結。最終的に8523人を数えている。これは、トップリーグ全体でも今シーズン2番目の入場者数だった(1位は前述のサントリー対クボタの8747人)。
まず悪天候の中でこれだけのファンが集まったことだけでも驚異的だが、もし新型コロナウイルスによる入場制限がなされていなかったら、果たしてどれだけのファンが集まったことだろうか。
このスタジアムは神戸製鋼が本拠地としており、神戸製鋼のファンが集まるのは当然のことだが、群馬県太田市を本拠地にするパナソニックのファンも、神戸製鋼のファンに負けないくらいの数の人たちが観戦に訪れていた。
【雨の影響を受けながらも意地と意地のぶつかり合い】
いざ試合が始まると、やはり雨の影響を避けることはできなかった。ボールハンドリングが難しくなり、両チームともに本来の展開ラグビーを仕掛けることができない試合内容が続いた。
それでも一方がリードを奪うと、すぐにもう一方が追いつくという、まさに両チームの意地と意地とがぶつかり合うような緊迫した試合展開となった。
前半は両チームともペナルティゴールを決め6対6で折り返すと、後半開始直後に神戸製鋼がこの日最初のトライを奪い、パナソニックを引き離しにかかったが、後半12分に今度はパナソニックがトライを奪い返し、再び同点に戻すと、お互い追加点を奪えないまま試合終了となった。
結局80分間の試合時間で、どちらか一方がリードを奪う場面はわずか22分間だけ。これを相撲で例えるならば、多少の押し合いはあったものの、ずっと四つに組んだまま両者一歩も引かずに水入りしてしまったようなものだろう。
残念ながらこの1戦で雌雄を決することはできなかったが、十分に見応えのある試合だったように思う。
【再戦が実現するとすればリーグ決勝戦】
試合後両チームの首脳陣や選手たちからは、やはり雨の影響で思い通りのプレーができなかったという言葉が繰り返された。
その中でパナソニックのロビー・ディーンズ監督が語った言葉は、両チームすべての気持ちを代弁していたように思う。
「非常にタイトな試合でした。この試合を通じてこれといったハイライトになるシーンがなかったかもしれませんが、難しいコンディションの中で両チームともに競った試合になりました。
もちろん天気が良ければお互いもっといい試合ができたと思いますが、今日は両チームともにフラストレーションが溜まる試合だったと思います。
今後お互い高いパフォーマンスを維持していければ、また高いところで再戦できると思います。それを楽しみしています」
すでに両チームは、リーグ最終戦を待たずにカンファレンス1位もしくは2位が決まっており、4月17日から始まるプレーオフトーナメントには別々のブロックに入ることになる。
つまりディーンズ監督が語った「高いところで再戦できる」というのは、リーグ決勝戦を意味している。改めて万全のコンディションの中でリーグ王の座を争いたい。そんな思いが詰まっている言葉ではないだろうか。
まず両チームは、リーグ最終戦でカンファレンス1位の座を目指すことになる。レッドを全勝1位で通過することが予想されるサントリーとの対戦を遅らせるためにも、1位通過は重要になってくるからだ。
いずれにせよ両チームの再戦は本当に実現するのか、楽しみでならない。