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西山朋佳女流三冠(29)棋聖戦一次予選突破まであと1勝! 準決勝で小山怜央四段(31)に快勝

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 10月17日、棋聖戦一次予選▲西山朋佳女流三冠(29歳)-△小山怜央四段(31歳)戦がおこなわれました。(持ち時間各1時間)


 10時に始まった対局は12時17分に終局。結果は111手で西山女流三冠の勝ちとなりました。


 西山女流三冠は14時からおこなわれる一次予選決勝に進出し、谷合廣紀四段と対戦。勝てば自身2度目の一次予選突破、二次予選進出となります。


棋士編入試験受験組の対戦

 西山女流三冠は2020年、女性として初めて棋聖戦一次予選を突破しました。


 21年、23年にも一次予選決勝に進出。棋士となってなんら不思議ではない実力の持ち主であることは、すでに明らかでしょう。西山女流三冠は現在、棋士編入試験を受験中です。

 一方の小山四段は過去に棋士編入試験を突破して棋士となりました。

 小山現四段と西山女流三冠は過去に公式戦で2回対戦しています。

 1回目は2021年3月、竜王戦6組準々決勝。当時アマだった小山さんが快進撃を見せ、西山女流三冠にも勝ってベスト4にまで進みました。


 2回目は2023年12月、竜王戦6組2回戦。このときは棋士となって1年目の小山四段が勝ちました。


西山女流三冠快勝


 本局は西山女流三冠が先手で、向かい飛車に振ります。対して小山四段は居飛車で、左美濃に構えました。

 44手目、小山四段が中央で歩を突っかけます。局後、小山四段はこの仕掛けを悔やんでいて、感想戦ではこの手に代わる順が検討されていました。

 45手目、西山女流三冠は銀取りに歩を突き出して反発。小山四段はこの手をうっかりしていたそうです。

 西山女流三冠は相手の動きにうまく対応。駒を盤上の要所に進め、次第にリードを奪います。

 74手目、小山四段は飛金両取りに銀を打ち込みます。対して西山女流三冠は「両取り逃げるべからず」の格言通り、どちらの駒も逃げず、桂の成り捨てから華麗な攻めを炸裂させて優位を確かなものとしました。

 終盤、小山四段も自陣に角を2枚打ちつけて粘ろうとしますが、西山女流三冠は粘る余地を与えません。攻防ともに見込みのなくなった小山四段が投了し、111手で西山女流三冠の快勝となりました。


将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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