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明るく、泣ける言葉とメロディ 関西発の3人組・メロフロート「歌を一人ひとりにきちんと届けたい」 

田中久勝音楽&エンタメアナリスト
左からDJ KAZUMA、Yu-Ki(Vo)、KENT(Vo)
『ON THE ROAD 2』(9月26日発売/通常盤)
『ON THE ROAD 2』(9月26日発売/通常盤)

その飾らない、ストレートな言葉は、聴く人の心を潤し、背中を押してくれる――ゆず、コブクロ、いきものがかり……ストリートライヴで多くの人の心をつかんだアーティストは、メジャーという大きな舞台に場所を移してからも、聴き手を魅了し続けている。関西出身の2ボーカル+1DJのメロフロートは、全国でストリートライヴを行い、等身大の言葉とメロディで、道行く人の足を止め、音楽を届けてきた。そして2015年7月にメジャーデビュー。目の前の人に歌を確実に伝える、変わらないスタイルで、着実にファンを増やし続けている。昨年9月には「これまで」の軌跡と「これから」を提示した1stアルバム『ON THE ROAD』をリリース。そして1年後の9月26日に、進化した姿をみせるべく2ndアルバム『ON THE ROAD 2』をリリースした。このアルバムに込めた思い、メロフロートが目指す“場所”を、Yu-Ki(Vo)、KENT(Vo)、DJ KAZUMA(DJ)に訊いた。

最新シングルは、敬愛するFUNKY MONKEY BABYSの名曲のカバー

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メロフロートの最新シングルは7月に発売した「悲しみなんて笑い飛ばせ」だ。ご存知、FUNKY MONKEY BABYSの名曲のカバーで、尊敬し、追いかけてきた存在だ。「元々と僕とKENTでやっていたのですが、そこにKAZUMAが入るか入らないかのタイミングの時、3人でやるきっかけになった曲がFUNKY MONKEY BABYSの「恋の片道切符」でした。手応えを感じて、3人でやっていこうと思わせてくれた曲で、このスタイル、ジャンルの音楽をやるうえでは、やはりFUNKY MONKEY BABYSはずっと追いかけていました」(Yu-Ki)。

一貫して前向きな言葉を紡いでいる。聴き手の背中を、やさしく押してあげる歌詞とメロディがメロフロートの真骨頂だ。FUNKY MONKEY BABYSの影響を認めつつ、彼らの“経験”から出る言葉だという。「ストリートライヴを中心にやっていたので、その経験から選び抜いた言葉、メロディです。ストリートでは、いかに目の前の人に直接しっかり届けられるかが全てです」(Yu-Ki)。

全国でストリートライヴ。「「ダイジョウブ」という曲をお客さんに向かって歌いながら、自分達も励ましていた」

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2015年3月から「全国都道府県路上ライブツアー」をスタートさせ、47都道府県を回り、グループとしての足腰を鍛えた。3日間でCDを100枚手売りして、売り切らなければ次の場所へはいけないというルール=ハードルを自らに課した。「誰もやっていないことをやろうと思って、始めました。3日間でCD 100枚売り、その売上げから交通費、宿泊費、食費を捻出しなければいけないのですが、どの土地も初日は絶望的な状況でした。初めて行く場所で、ゼロから作り上げて行くので、頑張っても10枚とかしか買ってもらえませんでした」(Yu-Ki)。「オリジナルとカバーを混ぜたセットリストで歌って、でもカバー曲では僕らのことを伝えきれないので、最後にオリジナル曲を歌うようにしていました。インディ―ス最後のシングル「ダイジョウブ」という曲をよく歌っていましたが、全然大丈夫ちゃうわーと(笑)。でもその曲があったからこそ、やってこれたと思っています。ほんまにきついなと思ったときも、自分たちの楽曲に励まされて頑張れました(笑)」(KENT)。「達成感が毎回あるんですよ。100枚達成すると3日ごとに小さな達成感が。一日35枚頑張って買ってもらおうという、毎日小さな目標をしっかり立てながら3人で頑張りました。あの達成感はやめられない感じで、甲子園で勝って、みんなでワーッて指を一本空に向けて指す、あの感覚です(笑)」(DJ KAZUMA)。

達成することの積み重ねは自信につながり、その後の活動の礎になった。一方で冷静に“次”にやるべきをことをしっかりと見い出していた。「ひとつの県で3日間しか時間がなかったので、とにかく自分達の目標を達成するために動いていた感じが大きくて。しっかり目の前の人に歌を届けたいという気持ちは、一番前にあったはずでした。でも目標を達成したいという気持ちのウエイトの方が大きかったんかなと思って。だから、違った感覚で向き合っていたら、また違う反応があったのかもしれないと思いました」(Yu-Ki)。

「1stアルバムにはこれまでとこれからの自分達を詰め込み、2ndアルバムでは新しいことにチャレンジできた」

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2012年に結成、活動をスタートさせ、1stシングル「ミチシルベ」をリリース。ライヴを重ね、全国でストリートライヴを行い、2015年7月にシングル「夢のカケラ」でメジャーデビューを果たした。そして9月にはZepp Namba(約2,500人)でのワンマンライヴを成功させた。徐々に認知を広げ、昨年11月に発売した6thシングル「僕は走り続ける」は『BORUTO-ボルト- NARUTO NEXT GENERATIONS』のエンディングテーマに起用され、ヒット。アニメの世界観と、自分達がメジャーデビューしてからの思い、決意を詞に投影させ、どこまでも前向きな曲を作り上げた。この曲が収録されている2ndアルバム『ON THE ROAD 2』が9月26日に発売され、好調だ。名刺代わりの一枚として、3人のこれまでとこれからを提示した1stアルバムは『ON THE ROAD』で、その一年後、さらに進化し成長を遂げた3人の“自信”が形となったものが『~2』だ。

「1枚目を出してからの一年は、グループ的にも、人間的な部分も含めて、とても大切だと思う」

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「1stアルバムから一年経って、2nd アルバムには、自分たちが大切にしている、夢に向かう気持ちや、前向きな気持ちをもちろん入れたいと思いましたが、ちょっと挑戦した作品にしたいなと思って。一枚目から二枚目につなぐ、自己紹介の作品ではもったいなと思っていて、それは一枚目で感じてもらって、その流れを汲んだ上で挑戦、新しいことができた作品だと思っています。1枚目を出してからの一年ってすごく大事だと思っていて、それは人間的な部分も含めて」(Yu-Ki)。「歌詞がちゃんと前に出るトラックにしたいと思って、歌声も個性があるのでそれをより出したいと、曲調も今までにはない感じのものを作りました」(KENT)。「挑戦、諦めへん気持ちを伝えたいと思いました。もちろん誰にも挫折する瞬間はあるし、でも自分達はどんな時も突き進んできたので、その経験を最大限伝えたいと思いました。自分達のことを一番出せるのはライヴで、歌っている姿で励まされて、明日からの生きる元気をもらったと言ってくださる人が多かったので、収録曲の「NEVER GIVE UP!!」のMUSIC VIDEOはライヴ映像にしました」(DJ KAZUMA)。「諦めたくなる瞬間も数えきれへんほどあるじゃないですか。それも一生懸命やっているからこそ諦められへんというか。諦めるのは簡単と言いますけど、実は一生懸命やっていればいるほど諦めるのは難しかったりするじゃないですか。でも諦めるという選択は間違っているのかというと、そうでもなくて、そこから新しい道に行くのも一つの正解だと思います。「NEVER GIVE UP!!」の歌詞に<「まだやれるだろ」って奮い立たせろ>という一節がありますが、聴き方によって、聴き手の状況によって、どっちの道を選択しても、奮い立たせてもいいんちゃうかなっていう思いを込めました」(Yu-Ki)。

歌詞は“MELOFLOAT”名義になっているが、3人の思いを言葉にしているのはYu-Kiだ。メンバーも全幅の信頼を置いている。三人三様の個性、表現の仕方もそれぞれで、同じ言葉を使ったとしても、違うニュアンスになってしまう。Yu-Kiの言葉がメロフロートの言葉になっている。「自分がそう感じているからこそ、人に伝わり、共感してもらえると思ってやってきました。でも例えば今はそう思っていなくても、過去に感じていたことを、経験として歌詞にしても、その言葉を必要としてくれる人がいるんだということをメジャーデビューして感じました。だからひとつひとつの作品に関して、悩む時間も増えました」(Yu-Ki)。

「歌い続けていきたい自分達の原点の曲「ミチシルベ」」

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1stアルバムに収録されていた代表曲のひとつ「ミチシルベ」が『ON THE ROAD 2』にもアコースティックバージョンが収録されている。思い入れの強い曲をひとりでも多くの人に聴いて欲しいという思いからだ。「ミチシルベ」は自分達の原点の曲であり、求められているというのをすごく感じている曲でもあります。19歳の時、始めて作った曲で、ずっと歌い続けているからこそ、大人になっていく中で、味を変えて提供していけると思っていて」(Yu-Ki)。

ストリートライヴを重ね、多くの経験をし、多くの人に出会い、その瞬間全てが血となり肉となり、メロフロートというグループが形成されていった。だから『ON THE ROAD』という言葉はメロフロートのコンセプト、テーマともいえる言葉だ。「目の前の人にきちんと伝える」というスタンスも変わらない。ひとつひとつの言葉をグッドメロディに乗せ、一人ひとりに伝えていく。

メロフロート オフィシャルサイト

音楽&エンタメアナリスト

オリコン入社後、音楽業界誌編集、雑誌『ORICON STYLE』(オリスタ)、WEBサイト『ORICON STYLE』編集長を歴任し、音楽&エンタテインメントシーンの最前線に立つこと20余年。音楽業界、エンタメ業界の豊富な人脈を駆使して情報収集し、アーティスト、タレントの魅力や、シーンのヒット分析記事も多数執筆。現在は音楽&エンタメエディター/ライターとして多方面で執筆中。

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