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Apple Musicは音楽メディアの世界を変える?

神田敏晶ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント

KNNポール神田です!

本日、Appleは米国の開発者会議で、定額音楽ストリーミング配信サービス「Apple Music」の2015年06月30日に世界100ケ国レベルで開始すると発表した。

Apple Music

http://www.apple.com/jp/music/

MUSIC2015年6月30日から90日間無料!
MUSIC2015年6月30日から90日間無料!

月額10ドル切りで6月30日から開始 Appleが新たな音楽ストリーミングサービス“Apple MUSIC”を発表!:WWDC 2015

6月30日から価格が最初の三か月が無料で、月額9.99ドルで提供。6人以内の家族プランもあり、月額14.99ドル。Android版は秋から提供する予定。

10ドルで3000万曲聞き放題 米アップル月末スタート

楽曲は三千万曲以上をそろえ、聞き放題。最初の三カ月間は無料の試用期間とする。アップル製品だけではなく、基本ソフト(OS)がウィンドウズのパソコンなどでも利用できる。

Apple音楽プラットフォーム戦略の歴史

2001年、AppleはiPod発売当初、mp3による違法コピーの万全に防ぐ大義名分と共に、iTunesでクローズドな再生環境でのデバイス・プレイヤーとダウンロード販売というビジネスモデルで参入。

日本ではケータイの「着メロ」でダウンロード販売が普及していた(1999年imode開始)。

2007年、iPhone発売で、音楽も3Gでダウンロード購入が可能となる。

2014年、iTunes MusicMatchで所有曲をクラウドで管理可能 年間3,980円

2015年、6月30日 Apple Music で月額ストリーミングサービス開始 (月額1250円(10ドル)程度、3000万曲)

Apple Musicのアドバンテージ

音楽産業の再発明としてのプロモーション戦略。

◯斜陽化する音楽産業の最後のトライが月額配信サービス。

SpotifyやLINEなどの月額課金ビジネスの隆盛もAppleにとっては市場を温める必要性がない。

◯アップルは、1年間でiTunes MusicMatchで顧客の持っているCDデータを集約してきている。個人の再生率などのデータも保有している。レコード・レーベルにとって、重要なデータをアップルは年間3,980円もらって収集できている。誰がどんなジャンルの曲をどれだけ持っているのかを知っている。これは映画でいうところのNetflix同様のアドバンテージがある。誰がどのシーンで脱落するのかを知った上でコンテンツを作ったり、誰がどの映画を次に見るのかというデータを映画会社以上に知っているからだ。

◯肌身はなさず持ち歩いているiPhoneなどで、Appleは、個人がどの曲を聞いているかがわかる。今度は毎月1250円、年間1万5,000円、2年で3万円、5年で7万5,000円、10年で15万円の収益もある。パッケージを流通させないので、15〜50%の利益を確保した上でも、残りはコンテンツホルダーへ一曲単位で、還元させることのできるプラットフォームとなることも考えられる。JASRACのような統計的な包括契約によるバックリとした分配でなく、明確なデータを元に分配が可能となる。BtoB向けのサービスも展開できる可能性も秘めている。

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◯3ヶ月間無料という、体験型サービスで、9月末日までAppleアカウントを持つユーザーがサービスに触れる機会を持っている。Appleは潤沢の資金を元に、世界100ケ国以上のユーザーに90日間、3000万曲を与えるとどんな聞き方をするのかのリサーチができる。

◯Appleの提供するラジオ局が登場

http://www.apple.com/jp/music/radio/

膨大なユーザーデータを元にAppleがキュレーションするラジオメタファーチャンネルがスタートする。これは今までのインターネットラジオ局、FM局にとっても脅威かも。

音声であればニュースチャンネルもありだろう。

◯アーティストとファンを結ぶConnect

http://www.apple.com/jp/music/connect/

写真、音楽、動画、アーティストはコアなファンに向けていろんなコンテンツを提供できる。

例えば、ライブがあった当日のライブ音源をコアなファンにだけ販売するなどの、コンテンツの新たな販売方法が可能となるだろう。

◯広く公開されているアーティストの販売促進支援 アーティストアカウント

http://www.apple.com/itunes/working-itunes/connect/

https://itunesconnect.apple.com/WebObjects/iTunesConnect.woa

iTunesで音楽を配信しているアーティストは誰もがアカウントを作れ、自身の音楽のプラットフォームを維持できる。これは、アーティストが自分の音楽チャンネルメディアを持つことを意味する。

筆者の知人のアーティストのアカウントもすぐに作れる。

ジョニー藤本孝博のアーティストアカウント画面
ジョニー藤本孝博のアーティストアカウント画面
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◯Siriによる楽曲コミュニケーション

なかなか、日本語でSiriを使うのは難しいが、音楽を限定してのコマンドや質問であれば、対応のレスポンスは確実に向上するだろう。さらに秋からのiOS9では、「プロアクティブアシスタント」でユーザーの行動に応じた音楽をレコメンドしてくれそうだ。

◯2015年iOS9でバッテリーの持続時間は3倍になる予定。

気になるバッテリの容量が3倍になれば…。ハナシ半分として2倍でもかなりユーザーの音楽接触時間は伸びる

昨日の発表されたばかりのAppleMusicだけど、Appleの点としてのサービスが収束されてきた。詰め将棋のように音楽産業のまわりを固めてきた様子が伺える。

ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント

1961年神戸市生まれ。ワインのマーケティング業を経て、コンピュータ雑誌の出版とDTP普及に携わる。1995年よりビデオストリーミングによる個人放送「KandaNewsNetwork」を運営開始。世界全体を取材対象に駆け回る。ITに関わるSNS、経済、ファイナンスなども取材対象。早稲田大学大学院、関西大学総合情報学部、サイバー大学で非常勤講師を歴任。著書に『Web2.0でビジネスが変わる』『YouTube革命』『Twiter革命』『Web3.0型社会』等。2020年よりクアラルンプールから沖縄県やんばるへ移住。メディア出演、コンサル、取材、執筆、書評の依頼 などは0980-59-5058まで

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