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今春から早大大学院に。恵俊彰が語る“人生の逆算”

中西正男芸能記者
今春から早稲田大学大学院に通っている恵俊彰さん

今春、早稲田大学大学院スポーツ科学研究科に合格し仕事と大学院生としての日々を両立させている恵俊彰さん(57)。TBSテレビ「ひるおび!」のメインキャスターを務めるなど多忙な中で新たな一歩を踏み出しましたが「大学院での学びを仕事に還流させることは考えていない」と言葉に力を込めます。その真意、そして、人生を逆算した上で考える今のリアルとは。

違うつながり

 大学院を意識したきっかけは「ひるおび!」に出ていただいている青山学院大学駅伝部の原晋監督だったんです。

 一緒にご飯を食べたりする中で大学院の話を聞くようになって、自分も60歳を前に、何かやっておきたいなという思いもあり受験を決めたのが去年のことでした。

 僕は高校しか出ていないもので大学院を受けるにあたっての審査を受けたり、書かなきゃいけない論文を準備したり、そういうことを半年ほどかけてやり、そこから面接と入試を経てこの春の入学になりました。

 基本的に授業があるのは火曜から土曜まで。社会人でお仕事がある人が多いので6限、7限が中心で、18時15分から21時25分頃までは大学で授業を受けているというのがルーティンというか、今の生活の流れです。

 夕暮れ時に早稲田に行くと、たくさん学生さんがいる。校舎のコンビニでおにぎりを買って食べているだけで気分的には新鮮でウキウキになってます(笑)。

 あと、やっぱり人との会い方というか、一緒にいる時の感じがいつもとは違うんですよね。普段、一緒にいる人の多くは仕事でつながってる人なんですよ。でも、大学院で会う人とは仕事のつながりはない。

 それぞれがここに来たいから来ている人たちで、雑誌の編集をされている方や、スポーツ施設を経営されている方だとか、企業の経営者の方だとか、それぞれの世界で活躍されている人が来てらっしゃる。そして、そういう人と同級生として触れ合う。これが面白いんですよねぇ。

 これまでの仕事ではなかった感覚を味わっています。授業をどこの席で受けるかも自由ですけど、なんとなく後ろの方の席に自分は座るのかなと思っていたら、意外と教室に入ったら一番前に座ってたり(笑)。そんな自分に驚くのもありますし。

仕事に生かそうとは考えない

 よく「仕事もしながら大学院、すごいですね」とか「大学院で学んだことをお仕事に生かす。立派なことですよね」みたいなことを言っていただいたりもするんです。

 でも、実際にはただただ楽しいだけで大変さはほとんど感じてませんし、何より「大学院での学びを仕事に生かそう!」という気持ちは一切ないんです。

 極端なことを言うと、ゴルフに行ってるみたいな感じで、ただただワクワクするからやっている。本当にそれが今の思いなんです。

 先ほども少しお話をしましたけど、今年58歳でもうすぐ60歳という年齢も見えてくる。これまで先輩たちが60歳になるところをたくさん見てきました。関口宏さん、三宅裕司さん、明石家さんまさん、渡辺正行さん…。それぞれの形で60歳という節目を迎えてらっしゃいました。

 じゃ、自分はどうなのかと。そう考えると、ちょっとカッコつけすぎかもしれませんけど、今日の次が明日。明日の次が60歳。その次の日が60歳と1日目。そんな感じでやってることは常に変わらない。同じ歩幅で60歳という節目を越えていた。そんな方が自分には向いているのかなとは感じています。

 座右の銘というと大げさになっちゃいますけど、好きな言葉がパスツールという細菌学者の方の言葉で「偶然は準備ができてない人を助けない」というのがあって。この辺は好きなシリーズで(笑)、イチローさんは「確かな一歩の積み重ねでないと遠くには行けない」とおっしゃっている。

 日々「ひるおび!」みたいな番組をやらせてもらっているのもそうだと思うんですけど、僕は性分的には一歩ずつというのが合ってるのかなと。

人生の逆算

 とはいえ、これは事実として人生の残り時間みたいなことは感じる年齢になってきたなと思います。残りを逆算するというか。

 人生80年、90年と言っても、じゃ、いつまで元気にやりたいことができるのか。ゴルフをやって、20代の人と飛距離を比べたりできるのか。そう考えると、そんなに時間はない。死ぬ前日まで元気でいられたらいいですけど、そうじゃない確率の方が高いですから。

 例えば80歳で死ぬとして72歳まで健康だったとしても、あと14年。はるか先のことじゃなく、もう見えてるんですよ。だったら、残りの時間を少しでもイキイキと暮らしておきたい。

 今回の大学院もそうだと思いますし、大学院を終えたらまた次の大学院的なことを探すのかなと思います。一歩一歩同じ歩幅で歩みつつ、やりたいことはしっかりとやる。

 なんとも、まとまりのない話で(笑)、欲張りでもあるのかもしれませんけど、それが今の自分のリアルな形なのかなと思っています。

(撮影・中西正男)

■恵俊彰(めぐみ・としあき)

1964年12月21日生まれ。鹿児島県出身。ワタナベエンターテインメント所属。サラリーマン生活を経て、87年、タレント養成所のオーディションに合格し芸能界入り。89年に石塚英彦とお笑いコンビ「ホンジャマカ」として活動をスタートさせる。TBSテレビ「ひるおび!」のメインキャスターを務めるなどレギュラー多数。今春から早稲田大学大学院に通い始める。

芸能記者

立命館大学卒業後、デイリースポーツに入社。芸能担当となり、お笑い、宝塚歌劇団などを取材。上方漫才大賞など数々の賞レースで審査員も担当。12年に同社を退社し、KOZOクリエイターズに所属する。読売テレビ・中京テレビ「上沼・高田のクギズケ!」、中京テレビ「キャッチ!」、MBSラジオ「松井愛のすこ~し愛して♡」、ABCラジオ「ウラのウラまで浦川です」などに出演中。「Yahoo!オーサーアワード2019」で特別賞を受賞。また「チャートビート」が発表した「2019年で注目を集めた記事100」で世界8位となる。著書に「なぜ、この芸人は売れ続けるのか?」。

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1999年にデイリースポーツ入社以来、芸能取材一筋。2019年にはYahoo!などの連載で約120組にインタビューし“直接話を聞くこと”にこだわってきた筆者が「この目で見た」「この耳で聞いた」話だけを綴るコラムです。最新ニュースの裏側から、どこを探しても絶対に読むことができない芸人さん直送の“楽屋ニュース”まで。友達に耳打ちするように「ここだけの話やで…」とお伝えします。粉骨砕身、300円以上の値打ちをお届けします。

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