自律神経失調症の「原因」とは?『繊細さん』が自律神経を崩さないための5つの習慣
こんにちは、精神科医しょうです。
私は普段、精神科での外来を行い、6万人以上インスタやvoicyのフォロワーさんに対しHSP気質に関する発信、書籍の出版を行っています。インスタにも遊びにきてね(外部リンク)
「繊細さん」と呼ばれるHSPは、感受性がとても強く、ストレスを溜め込みやすい人が多い傾向があります。
ストレスや緊張状態が慢性的に続き、常に気が休まらない状態になると、次第に心身が消耗し、自律神経のバランスが乱れてしまう可能性があります。
自律神経のバランスが乱れると身体のだるさ、頭痛、手足のしびれ、不眠などさまざまな症状が発症する恐れがあり、症状が重くなると『自律神経失調症』を引き起こすかもしれません。
この記事では、自律神経失調症とHSPの関係、繊細な人が自律神経を崩さないための習慣について説明します。
自律神経失調症とHSPの関係
HSPの人は、過敏性や感受性の高さから他の人よりもストレスや不安を感じ取りやすいと言われています。
ストレスによって交感神経が活発になり、そのストレスが長期化するとやがて交感神経と副交感神経のバランスが崩れて自律神経失調症が引き起こされます。
自律神経失調症になると、倦怠感や睡眠障害、疲れが取れないなどといった身体症状のほか、イライラや不安感、情緒が不安定になるなどの精神的な症状が現れます。
HSPはストレスを溜め込みやすく、真面目な性格の人が多い傾向があります。
そのため、気付かないうちに自律神経のバランスが崩れてしまう恐れがあるので、適度にストレスを解消したり正しい生活習慣を心がけるようにするなど、日頃から注意が必要でしょう。
自律神経を崩してしまう原因
ストレスが多い環境に身を置いている
自律神経が崩れてしまう原因には、「精神的・身体的ストレス」が多い環境に身を置いていることが挙げられます。
人間関係の悩みや仕事のプレッシャー、常に不安や緊張などにさらされている環境では精神的な負担が大きくかかります。
たとえば、職場での人間関係がうまくいかない、不機嫌な上司が職場にいる、ミスをすると怒鳴られる、パワハラやセクハラなどが多発しているなどといった環境で仕事をしていると、仕事に行くだけで大きなストレスになります。
また、事故やケガ、音、光、温度など外部からの刺激は身体的なストレスになり、自律神経が乱れる原因になります。
精神的・身体的ストレスが過剰になると、交感神経と副交感神経の切り替えが上手くいかなくなり、自律神経が乱れます。
不規則な生活習慣を送っている
慢性的な睡眠不足や食生活の偏りなどの不摂生を続けていると、自律神経の乱れを引き起こす可能性があります。
通常、睡眠をとっているときは副交感神経が優位に働くのですが、交感神経が活発になっていると睡眠不足になりやすく、寝ても寝た気がしないという状態に陥ります。
昼夜逆転した生活を送っている、休日に長時間の昼寝をしている人は、交感神経と副交感神経の切り替えがうまくいかなくなる恐れがあるので注意が必要でしょう。
交感神経は身体を興奮状態にさせる活動的な神経なので、この状態が続くと自律神経のバランスが乱れる原因になります。
また、トランス脂肪酸を多く含むインスタントラーメンなどの食品を頻繁に食べたり、糖分や塩分、カフェインなどを大量に摂取することも自律神経の乱れにつながります。
ホルモンの影響や疾患による自律神経の乱れ
女性の場合、ホルモンバランスの変化によって自律神経の乱れが生じやすくなることがあります。
女性の身体はエストロゲンという女性ホルモンが働いており、精神を安定させたり身体を健康に保ったりするとても大切な役割を持っています。
しかし、40代半ばから閉経に向けて卵巣の機能が低下していき、エストロゲンの分泌量が減っていきます。
閉経を迎えるころにはエストロゲンが激減してしまうので、それに伴ってホルモンバランスが崩れやすくなるのです。
エストロゲンが減少すると、多汗や身体の痛み、めまいなどいわゆる更年期障害が発生し、精神的にもイライラしやすくなったり憂うつな気分になったりします。
また、病気の疾患によって自律神経が乱れるケースもあります。
甲状腺機能亢進症や甲状腺機能低下症では、自律神経失調症と同じように、動悸や発汗、身体のだるさなどの症状が見られます。
高血圧症も自律神経による血圧の変動が大きく作用しており、腰痛やめまいなどの症状が見られることがあります。
このように、疾患によるものが原因となって自律神経が乱れる場合があるので、他に原因がないか調べることが大切です。
繊細な人が自律神経を崩さないための5つの習慣
食事の時間と栄養バランスを見直す
寝る前にお腹が空いたからといって食事をしてしまうと、食べ物を消化するために胃腸が働き始め交感神経が優位になってしまうので、寝つきが悪くなったり眠りが浅くなったりします。
睡眠の質が低下して肥満にも繋がるので、寝る前に食べる習慣がある人はなるべく遅くならない時間帯にずらすなど食生活を見直しましょう。
夜勤などで遅くなり、どうしても寝る前に食べなければならないときは、雑炊やおかゆ、味噌汁やうどんなど胃の負担にならないものを食べてください。
食べ物は、気持ちをリラックスさせる効果がある「セロトニン」を作り出すために必要なトリプトファンが多く含まれたものを食べるようにしましょう。
トリプトファンはバナナや大豆食品、乳製品、魚などに含まれており、自律神経のバランスを整えるために大切な役割を担っているのでこれらの食材を積極的に摂取するようにしましょう。
また、ビタミンCやビタミンB6、ビタミンD、たんぱく質、炭水化物をバランスよく摂取することも重要です。
質の良い睡眠をとる
自律神経を整えるためには、質の良い睡眠をとることを心がけましょう。
睡眠時間は人それぞれなので、自分にとって適している時間を決めることが大切です。
睡眠時間があまりにも少なかったり、逆に寝過ぎてしまっている人は生活を見直しましょう。
また、昼寝は15〜20分ほどにして、疲れていても夕方付近には寝ないようにしてください。
午後にたくさん眠らないようにするには、昼休み中に日光浴や軽いストレッチをすることが有効です。
寝るときはリラックスした状態を保つために、スマホを遠くに置いて部屋を暗くしましょう。
カーテンの隙間から漏れる光や隣の物音が気になる場合は、アイマスクや耳栓をすることがおすすめです。
自分に合ったストレス解消法を見つける
自律神経を崩さないためには、自分に合ったストレス解消法を見つけて実践することが大切です。
特に、敏感な気質を持つHSPは心身共にストレスが溜まりやすいので、日常の中にリラックス法を取り入れたりストレスが蓄積されないように工夫したりすることが必要でしょう。
ストレス解消法には、音楽を聴く、映画を観る、アロマを焚く、間接照明を使うなど、感覚器官を使う方法がおすすめです。
また、散歩や森林浴、軽い有酸素運動やエクササイズなどもストレス緩和に適していると言われています。
HSPの場合、さまざまなことを深く思考する傾向があるので、自分の感情や考えを紙に書き綴ると頭の中がすっきりしてストレス解消に繋がるでしょう。
環境に合わせたグッズを取り入れる
人の身体は環境に適応する機能が備わっていますが、冷房や暖房によって体調を崩したり、猛暑が続いて夏バテになるなど、寒暖差や気温によって自律神経の働きが乱れます。
その結果、体温調節機能がうまく働かなくなり、食欲不振や胃もたれなどさまざまな不調を引き起こします。
自律神経を崩さないようにするためにも、環境に合わせたグッズを取り入れることが大切です。
暑さ対策や汗対策に、塩分タブレットを持ち歩いたり、冷感アイテムを使うようにしましょう。
日光が強く気温が高い日は、紫外線対策として日焼け止めクリームを塗る、帽子や日傘を積極的に取り入れることも大切です。
エアコンの冷房で室温を下げると体調を崩してしまう恐れがあるので、なるべく冷風が当たらない場所に移動するようにしましょう。
また、エアコンには除湿モードがついており、湿度を下げるだけでも過ごしやすい室内環境を作ることができます。
ぬるめのお湯に浸かる
自律神経を整える方法として、湯船にゆっくり浸かりリラックスすることがおすすめです。
お湯の温度を38くらいに設定して入浴することで副交感神経が優位になり、緊張がほぐれてリラックス効果があります。
1日の疲れをしっかり取りたいときや、長めに入ってくつろぎたいときは38を意識してみましょう。
逆に、熱めのお湯は交感神経が優位になり、心身が活発になってしまうので避けた方が無難です。
また、交感神経が優位になりやすく、寝つきが悪いといった睡眠の悩みを抱えている人は、リラックス効果のあるハーブやアロマ、カモミールやネロリ、ラベンダーの入浴剤や精油を使用するのがおすすめです。
精油は一回の入浴につき2〜3適ほど垂らして、香りを感じながらゆったり湯船に浸かりましょう。
まとめ
ストレスを溜め込みやすいHSPの人が自律神経を整えるためには、食事や睡眠、適度な運動をするなど生活習慣を見直す必要があります。
特に外部からの刺激を遮断するための対策や、寒暖差で体調を崩さない工夫をすることが大切です。
HSPは環境によって体調が左右されることが多いので、自分が快適に過ごせる室内環境を整えていきましょう。
私のブログのテーマは、「他人軸でなく自分軸で気楽に生きる」です。
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