WBCでわかった 改めて見直されるべき 日本の「安い、美味しい、安心安全な食事」
3月16日、WBCの準々決勝で日本代表(侍ジャパン)はイタリアを9-3で下し、準決勝に進出した。
試合前日、イタリア代表選手が、日本の水原一平通訳の手配で寿司店を訪れたことが話題になったが、今回のWBCでは、改めて、来日した選手や記者たちが、日本の「安くて美味しい食事」に驚愕しているようだ。
日本人にとっては「当たり前」の食事に、なぜ彼らは感激するのか。
コンビニのサンドイッチも「美味しい」
今回のWBC、一次リーグ(プールB)が行われた東京では、何かにつけて食べ物が注目された。
選手たちが試合の合間にラーメンや寿司を食べに行ったこともそうだが、佐々木朗希投手が死球を与えたチェコ選手に謝罪に行く際、「ロッテのお菓子」を持参したことも大きく報道された。
その心遣いだけでなく、美味しさにチェコ選手が感激したことに、逆に驚かされた日本人も多かったことだろう。
日本人にとって、ロッテのお菓子はいつでも、どこでも買えるもので、「美味しい」のはもちろんだが、日常的に食べているので、「美味しい」と改めて思う機会はあまりないからだ。
選手たちだけでなく、取材にやってきたメディアも、日本の食についてリポートした。中でも積極的だったのが、アメリカMLB公式記者のマイケル・クレア記者だ。
クレア記者は13日、自身のツイッターで叙々苑の焼き肉弁当について「最高の食事」と紹介した。
クレア選手はほかにも日本のおせんべい『歌舞伎揚』やスナック菓子の『じゃがりこ』などを紹介。15日には記者席で食べたイチゴと生クリームのサンドイッチを取り上げ「今回の旅行のトップ3に入る」とまで絶賛した。
コンビニで買ったと思われるサンドイッチで、特別な高級サンドイッチではないようだったが、そこまで感激したことに、日本人として、うれしい気持ちになった人は多いだろう。
高品質でコスパ最強な日本の食べ物
筆者のこれまでの記事でも書いてきたが、こうした「日本人とって身近で、いつでも食べられる食べ物」こそ、日本のインバウンド業界にとっても、大きな強みであり、見直されるべきことだ。
筆者がよく取材している中国人観光客も、来日後の食事として、「寿司」は「定番」なのでもちろん食べに行くが、「いちばん食べたいもの」といえば、イタリアのフレッチャー選手が食べたラーメンだったり、日本のヌートバー選手が「いちばん好き」という焼き肉だったりする。
クレア記者が賞賛した叙々苑の焼き肉弁当は、東京ドーム内で販売されていた『カルビ弁当』(3200円)だったようだが、高級なお肉を使用していながら、3200円で食べられることも、外国人観光客にとって「驚き」であり「お得」と映る。
つまり、日本の食べ物は高品質なのに、コスパがとてもいいのだ。
逆にいえば、海外では、それだけの品質のものは、もっと高いお金を払わなければ買うことができない。
スナック菓子にしてもそうだ。
以前、来日した中国人観光客は「コンビニで売られているスナック菓子は100~300円くらいでしょう?その安さには驚かされる。しかも、日本の食べ物はどれも安全。品質や製造過程などを心配しなくていいのが、本当にすばらしい」と話していた。
日本人はふだん、食べ物を手にとって「これは安全だろうか?」と思う人は少ないと思うが、中国人からすれば「安いものは安全性が心配」と感じる。
中国にも美味しい食べ物がたくさんあるが、安い料理には不安を感じてしまう場合もあるからだ。
その点、日本の食べ物は、美味しいだけでなく、とても安い。そして、安全だということを外国人は高く評価している。
むろん、日本では、物価があまりにも「安すぎる」ことが問題、という別の問題も存在することは確かだ。
だが、たとえ値段が少々上がっても、「この美味しさなら納得だ」と思う外国人観光客は、日本人が想像する以上に多いことだろう。
コロナ後、本格的に訪日外国人観光客を迎え入れる上で、そうした点を日本人が再認識したり、冷静に「日本の強み」を考えたりすることは、重要なことではないだろうか。今回のWBCで改めてそう感じさせられた。
参考記事: