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好調レッズを勢いづかせる21歳主砲はすべてがハイスペックな大谷翔平並みのチート級選手だった!

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
走攻守すべてで抜群の身体能力を有しているエリー・デラクルーズ選手(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

【好調レッズを支える昇格したばかりの21歳の若き主砲】

 6月に入ってからの大谷翔平選手の打撃爆発でチームに勢いがつき始めたエンジェルスだが、彼ら同様にチーム状態が上向き始めているのがレッズだ。

 現地時間6月17日のアストロズ戦に10対3で快勝し、連勝を今シーズン最長の7に伸ばすことに成功。通算成績を36勝35敗とし、4月4日(3勝2敗)以来となる勝率5割超えを果たしている。

 ナ・リーグ中地区のペナントレースでも、首位ブルワーズに0.5ゲーム差まで肉薄。5月下旬まで地区内で最下位争いをしていたチームとは思えない躍進ぶりだ。

 そんな好調レッズ内で、大谷選手のようにチームに勢いをもたらす存在になっているのが、21歳の若き主砲エリー・デラクルーズ選手ではないだろうか。

【デラクルーズ選手が昇格後のチーム成績は9勝2敗】

 MLB公式サイトによれば、デラクルーズ選手は今シーズンの若手有望選手トップ100人の中で堂々4位に入っており、チームの将来を託されているレッズが最も期待を寄せている選手だ。

 シーズン開幕こそ3Aに配属していたが、出場38試合で12本塁打を放つなど期待通りの活躍を見せ、6月6日に満を持してメジャー初昇格を果たしている。

 昇格当日に行われたホームのドジャース戦から先発起用されているのだが、いきなり4番で起用されていることからも、チームの期待の高さが窺い知れるだろう。

 それ以降も4番で起用され続けているデラクルーズ選手だが、彼が昇格してからのチーム成績が9勝2敗と絶好調。やはりチームのカンフル剤になっているのは疑いようがないところだ。

【早くもメジャーで本領を発揮するチート級の身体能力】

 実はこのデラクルーズ選手、単にチーム内での存在が大谷選手に類似しているだけでなく、ハイスペックな身体能力を備えたチート級選手という点でも大谷選手に引けを取らないのだ。

 簡単にプロフィールを紹介すると、身長は大谷選手を上回る196cmで、走攻守すべてを兼ね備えた大型内野手だ。公表体重が90kgとなっているように見た目はかなり細身なのだが、彼のパワーはすでにMLBトップクラスだと認識されている。

 まだ公式戦出場が10試合しかなく、選手のデータを集積しているMLB公式サイト「savant」でも十分なデータを公開できていないのだが、デラクルーズ選手が出場2試合目で放ったメジャー初本塁打の打球速度は114.8mphを計測しており、この球速はMLBでトップ5%に属しているという。

 走塁スピードに至っては、さらに突出している。ある試合で味方打者の二塁打で一塁から一気にホームに生還した際、その所要時間が驚異の11.48秒を計測している。

 またここまでの平均走塁スピードは31.0ft/s(単位は秒速フィートで約34.0km/h相当)となっており、これはMLB全体のトップ1%に属しているものだ。デラクルーズ選手もメディアのインタビューに対し、ジョーク交じりに「世界一速い」と応えるほどのスピードだ。

【パワー&スピードともにアクーニャJr.選手とほぼ互角】

 ちなみにデラクルーズ選手よりも前からパワーとスピードを兼ね備えた選手として認知されているのが、ブレーブスのロナルド・アクーニャJr.選手だろう。

 つい先日もMLB史上初めて出場70試合で「15本塁打&30盗塁」に到達する快挙を成し遂げ、話題を集めている。

 そんなアクーニャJr.選手と比較しても、デラクルーズ選手は最高打球速度(116.7mph)でやや劣っているものの、走塁スピード(28.0ft/s)では圧倒しており、将来的にはアクーニャJr.選手の強力なライバルになっていくのではないだろうか。

 また現在は三塁もしくは遊撃を任されているが、これまでの最高送球速度は97.5mph(約157.0km/h)を計測しており、自慢の俊足と合わせれば、今すぐにでもMLB屈指の外野手として活躍できそうだ。

 野球選手としてあらゆる分野でこれだけのハイスペックを揃えているのだから、チート級選手という表現が決して大袈裟ではないことが分かってもらえるだろう。

【ナ・リーグ新人王レースで台風の目になる?】

 さらにデラクルーズ選手の特筆すべきところは、スイッチヒッターだということだ。

 今もMLBにはガーディアンズのジョシュ・ベル選手やナショナルズのジェイマー・キャンデラリオ選手などのスイッチヒッターが存在しているが、かつてのチッパー・ジョーンズ選手やマーク・テシェイラ選手のようなリーグを代表するような強打者は出現していない。

 デラクルーズ選手の身体能力を考えれば、若き日のジョーンズ選手のような活躍を期待できる素養は持っているだろう。

 もちろん公式戦10試合しか出場していない21歳の選手に、過度な期待をするべきではないと思う。だがデラクルーズ選手のチートぶりを知ってしまうと、どうしても期待を膨らませてしまうし、2ヶ月遅れでの参戦とはいえナ・リーグの新人王レースで台風の目になりそうな気がする。

 今後はデラクルーズ選手のプレーにも、是非関心を寄せてほしいところだ。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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