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凡打の山で大阪ガスに敗れた小虎。投手では白仁田、西村が復調気配

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター

いつまでも鳴尾浜は寒いですねえ。12日は風がほとんどなかったにもかかわらず、曇っていたせいか試合中も震えていました。選手も「寒い寒い」と言っていたそうです。さて大阪ガスを迎えて行われた交流(育成)試合は、以下のような結果でした。まず負傷退場した小豆畑選手のことを書いておきます。

小豆畑選手は5回の守備中にホームクロスプレーで走者と激突。倒れたまま担架で運ばれ、救急車に乗って病院へ。スタンドのお客様もかなり心配されたと思いますが、試合後には戻り普通に歩いていました。山下トレーナーによれば「頭が痛いと言っていたのでCTも撮りましたが、大丈夫です。ヘルメットが当たったみたいですね。本人もよく覚えていないとか。ムチ打ちの症状があす出るかもしれません。首の痛みと相談しながらになります。動かせなければ無理なので」とのこと。問題がなくて、ひとまず安心しました。

では試合結果と経過です。野手成績のところで同じ選手の名前があちこちにありますが、これは小豆畑選手のアクシデントにより一時的な処置が行われ、のちほど相手の了解を得て打順を入れ替えたものです。

《交流試合》4月12日

阪神-大阪ガス(鳴尾浜)

ガス 000 010 012 = 4

阪神 000 000 100 = 1

◆バッテリー

【阪神】白仁田-西村-藤原-田面-島本 / 小豆畑-原口(5回途中~)

【大阪ガス】緒方(5回)-青木(1回)-小畑(1回)-猿渡(1回)-平川(1回) / 土井

◆三塁打 藤原

◆二塁打 荒木(阪神)、近藤、山地、金附

◆打撃(打-安-点/三振-四死球/盗塁/失策)

1]右:緒方    ( 3-0-0 / 0-1 / 1 / 0 )

2]三:荒木    ( 2-1-0 / 0-0 / 0 / 0 )

〃一:原口    ( ――― )

〃三左:荒木   ( 2-0-0 / 1-0 / 0 / 0 )

3]二:西田    ( 3-0-0 / 0-0 / 0 / 0 )

4]指:中谷    ( 3-1-1 / 1-0 / 1 / 0 )

5]一三一三:陽川 ( 2-0-0 / 1-1 / 0 / 0 )

6]遊:北條    ( 3-0-0 / 1-0 / 0 / 0 )

7]左一:阪口   ( 3-0-0 / 2-0 / 0 / 0 )

8]中:横田    ( 3-0-0 / 0-0 / 0 / 0 )

9]捕:小豆畑   ( 1-0-0 / 1-0 / 0 / 0 )

〃三:荒木    ( ――― )

〃捕:原口    ( 2-0-0 / 1-0 / 0 / 0 )

◆投手(安打-三振-四死球/失-自) 最速キロ

白仁田 3回 32球 ( 1-2-0 / 0-0 ) 140

西村  2回 33球 ( 3-3-0 / 1-1 ) 140

藤原  2回 48球 ( 1-2-3 / 0-0 ) 142

田面  1回 22球 ( 2-0-1 / 1-1 ) 139

島本  1回 22球 ( 2-2-1 / 2-2 ) 142

静かなゲームがアクシデントで…

白仁田は1回、1死から2番の近藤に右翼線二塁打を浴びますが後続を断ち無失点。2回と3回は三者凡退で予定イニングを終えました。次いで西村が登板。4回は先頭の近藤に左前打され、犠打で二塁へ進めたものの後続をビシッと断ち0点。ところが5回、6番の亀山に右前打、続く山路の当たりはセンターの頭上を越え…横田が下がって手を伸ばすも届かず、落ちたボールを一度取り損ねますが、すぐに拾って内野へ。中継の西田がバックホーム!

一塁から走ってきた走者と返球が同じタイミングでホームへ到達してクロスプレーとなり、2人が激突。小豆畑が倒れます。一度くるりと体を反転させたのですが、そのまま動けなかったため担架で運ばれました。やがて救急車がやってきて病院へ。この回からファーストの守備についていた原口が急いで防具をつけキャッチャーに、一度下がっていた荒木がまた出てサード、陽川が再びファーストへと移動します。

1点先取され、タイムリー二塁打(記録はヒット)の山路は送球の間に進んで無死三塁の場面。アクシデントでの中断にめげず西村は8番の土井を空振り三振、今塩屋は見逃し三振、そして青柳も中飛に打ち取って最少失点にとどめました。

3人目は藤原。いきなり連続四球を与え、4番・加嶋は三振で1死としたあと暴投、さらに四球で1死満塁。それでも後続を断って0点に抑えています。7回は先頭の土井に左前打され犠打で1死二塁、ここも遊ゴロ2つで無失点。

7回以外は全部3人ずつで終わった打線

打線は1回1死から荒木が左中間二塁打を放つも、西田の遊ゴロで三塁封殺。西田がけん制でアウトとなり、3人で片付けられました。以降も打線は3人ずつで攻撃を終えます。2回から4回までは三者凡退。5回は1死から陽川が四球を選び、久しぶりに走者を出したと思いきや…北條の遊ゴロで二塁封殺、残った北條も盗塁失敗。6回は青木の前に三者凡退です。

そして7回、大阪ガス3人目の小畑から先頭の緒方が四球で出て盗塁成功!荒木は三振に倒れるも西田の二ゴロで2死三塁として、中谷がの打球は右前にポトリ。これが同点タイムリーとなりました!中谷が盗塁を決め2死二塁としますが、逆転はならず。

8回に登板した田面は、簡単に2死を取りながら代打・茂山に中前打を許し、次は四球で一、二塁。またしても7番・山路の左前タイムリーを浴びました。9回は約1か月ぶりに投げる島本が先頭に四球を与え、犠打で二塁へ。代打・金附のタイムリー二塁打に続き、3番・藤原の右中間三塁打でもう1点。しかし、そのあとは連続三振で終えています。

なお打線は8回、大阪ガス4人目の猿渡に対して北條、阪口、横田が三者凡退。9回は左腕・平川の140キロ代後半の真っすぐや、キレのある変化球に原口、緒方、荒木が三者凡退で試合終了。一時は追いついたものの結局、荒木と中谷の2安打のみ。他は陽川と緒方が四球で出ただけです。よく得点できましたよねえ。

調子が戻ってきた白仁田、西村

というわけで、試合後のコメントは投手陣しか聞けていませんが…まず白仁田投手から。キャンプ中に右手指から腕にかけての違和感があり、試合復帰は先月半ば。さらに雨の影響などで、これが今季初先発でした。「きょうは無四球とリズムを大事にして投げた」と白仁田投手。まだ球速が140キロ止まりで「自分の中では弱い感じがしています」という真っすぐの復活待ち。

「フォーム的には、まだ腕とかを気にしている感じですね。去年みたいに足を優先的に使えたら戻ってくると思います。ブルペンでもまだ感覚のずれている部分があるので、しっかり下半身を使えるようにしていきたい」と話しています。

西村投手は「いろいろ考えてやっていますが、マウンドでもブルペンみたいな感覚になって…。バッターを抑える前に、いい球を投げようとしてしまう。性格的に。我慢できなくて投げ急ぎ、いい球を投げようとしてフォームがバラバラになってしまうんです。少し間を取れるようにしないと。考えること、やることが多すぎてゴチャゴチャになっていたので、きょうは“ここをこうしよう”というワンポイントを考えてやった」そうです。

5回に失点したあと、連続三振などでの3人斬りは素晴らしかった!「最初は力んでいたけど、後半は何とか。最後はランナー三塁で、ベンチから“ワインドアップで投げていいよ”と言ってもらって。セットになった時は自分のやりたいタイミングでいけていたけど、ランナー三塁で逆によかったかも」。球速は、昨年の秋季キャンプで出た143キロが右ひじ手術後の最速だそうですが、この日の140キロは今季最速。

「ここで落とさないよう徐々に上げていきたい。スピードも少しずつ上がっているし、きょう投げてやりたいことをまた見つけたし。無意識でそういう球を投げられるように」と前を向く西村投手。手応えを感じたのでしょう。この日はとても雄弁でした。

田面、島本も久々の登板

田面投手は10日ぶりの実戦登板で、2死を取った後にヒット、四球でタイムリーを浴びています。でも「打たれはしたけど、自分の感覚としては徐々によくなっている」と言っていました。間隔が空いて、つかんだものが継続しにくいのでは?「それはないです。前回よりも良くなっているので」とのこと。

内転筋を痛めていた島本投手が、3月16日の教育リーグ・中日戦(ナゴヤ)以来の登板。四球、二塁打、三塁打で2点を失いますが、最後は4番を124キロのチェンジアップで空振り三振、ついで136キロの真っすぐで見逃し三振!「内容は悪かったけど、投げられたので。投げて問題がなかったのでよかったです。練習するだけ」と少しホッとした様子です。

ちなみに5回のアクシデントと失点を招いた1つの要因でもある、センターの守備について横田選手は「ちょっと打球を見失っていて、そのあとフェンスが気になり捕れなかった…。捕れる打球です。もっと練習しないと」と肩を落とします。試合後の練習で、横田選手が中村守備走塁コーチのノックを受け続けたことは言うまでもありません。

そうそう、捕球といえば試合が終わったあと一二三選手が、レフトの位置で打撃練習のボールを処理していました。右ももの張りでまだ別メニューですけど、もうボールを追って結構走っていますね。

最後にプレーの話ではないですが、大阪ガスには緒方選手の知り合いが多数。「ピッチャーの小畑は同い年で試合もしたと思います。平川さんは1つ上で対戦はないですね。でも平川さんと(巨人の新人捕手の)小林さんには、大学の時に招待されて参加したセガサミーのキャンプで会ったことがあります。1番を打っていた青柳さんは1つ上で亜細亜大のキャプテン。挨拶したら“覚えてる?”って言われた」と話してくれました。

きょう13日は紅白戦が行われる予定です。ただし練習の一部なので、変更になるかもしれません。ご了承ください。

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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