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日本一の‶ぬる湯”の宝庫!「夏だから入りたい山梨県の温泉」5選

高橋一喜温泉ライター/編集者

暑い夏におすすめしたい温泉は、泉温が低い湯、いわゆる「ぬる湯」だ。39度以下のぬる湯は、ひんやりとして涼をとれるばかりか、じっくりと長湯を楽しむことができる。ぬる湯は、夏こそがベストシーズンなのだ。

とはいえ、ぬる湯は案外貴重である。通常の温泉は、日本人が好むとされる42度前後に設定されていて、ぬる湯をそのまま湯船に掛け流す温泉施設は多くはない。

そこで、おすすめしたいのが山梨県の温泉である。山梨はぬるめの温泉が多数存在する、ぬる湯のメッカ。これまで3800を超える全国の温泉をまわってきたが、山梨県ほどぬる湯が集まるエリアは他にない。今回は、夏に入りたい山梨県のぬる湯を5カ所紹介したい。

奈良田温泉・女帝の湯(早川町)

山梨の秘湯、奈良田温泉へと続く南アルプス街道、早川渓谷沿いには温泉が点在する。なかでも最奥にある奈良田温泉は秘湯感たっぷりで、ドライブ旅行に最適。日帰り入浴施設「奈良田の里女帝の湯」は、体感的には40度を切るぬる湯で、長湯を楽しむことができる。ちなみに、秘湯の宿として人気のあった「白根館」は現在は日帰り入浴のみだが、香りが強い個性的な源泉がかけ流しである。

岩下温泉・岩下温泉旅館(山梨県)

明治8年に建てられた風情ある浴室に注がれるのは、山梨最古の湯といわれる28.2度の冷泉。30度を切ると、もはや水のような冷たさであるが、暑い季節にはひんやり気持ちいい。ピュアで透明な源泉と加温された湯に交互につかると、気持ちよさが倍増する。

正徳寺温泉・初花(山梨市)

果樹園の中にポツンとある日帰り温泉施設「初花」。内湯には33.9度の源泉がそのままかけ流し。一度つかると出られなくなる気持ちよさだ。広々とした庭園露天風呂もリラックスできる。もともと鰻養殖用の井戸を掘っていたところ温泉が湧き出した経緯があり、併設された食事処では、本格的なうなぎ料理を楽しめる。夏バテ予防にいただきたい。

下部温泉(身延町)

山あいに佇む素朴な温泉地で、1200年の歴史をもつ古湯。ひっそりとしているが、どこか郷愁を誘われる温泉街は、ひとり旅にふさわしい。昔から湧く20~30度代のぬる湯が特徴で、温冷交互浴に励む湯治客も多い。源泉にこだわるなら足元湧出の古湯坊源泉館(宿泊のみ)がおすすめだが、他の旅館の多くで温冷交互浴を体験できる。

山口温泉(甲斐市)

住宅街にひっそりと佇む小さな日帰り温泉。36.2度の湯がかけ流し。体温とほぼ一緒なので、湯と体の境目があいまいになる感覚を楽しめる。貯湯槽を設けずに、直接源泉を浴槽に注いでいる。つかっていると全身に気泡がつくのは、新鮮な源泉である証拠だ。

温泉ライター/編集者

温泉好きが高じて、会社を辞めて日本一周3016湯をめぐる旅を敢行。これまで入浴した温泉は3800超。ぬる湯とモール泉をこよなく愛する。気軽なひとり温泉旅(ソロ温泉)と温泉地でのワーケーションを好む。著書に『日本一周3016湯』『絶景温泉100』(幻冬舎)、『ソロ温泉』(インプレス)などがある。『マツコの知らない世界』(紅葉温泉の世界)のほか、『有吉ゼミ』『ヒルナンデス!』『マツコ&有吉かりそめ天国』『ミヤネ屋』などメディア出演多数。2021年に東京から札幌に移住。

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