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【モノ語り#12】ぼくが財布をやめてキーケースに現金とカードを入れるようになった日

ばんかデジタル型モノカキー

そのモノが良いとか悪いとか、そういう話はおもしろくない。そうではなく、そのモノがぼくにとってなんなのかを話したい。そんな一方的な「モノ語り」、どうぞお付き合いください。

今日の話はぼくのお財布の話。「財布」といっても、金銭事情のことを指しているわけではなく、お金をいれるための入れ物の話だ。

ぼくは長らく、このキーケースを財布の代わりとして愛用している。アクアスキュータムのもので、以前妻から誕生日プレゼントにもらったものだ。このネイビーカラーが気に入っている。

ぼくが、いわゆる「財布」と呼ばれるものを持たなくなってから、ずいぶん時間がたつ。おそらく5年ぐらいは持っていないかな。

その理由は、過去の苦い思い出にある。

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むかし、妻と娘、三人でディズニーシーに行ったときのことだ。当時は長財布を使っていて、右のお尻のポケットに入れて持ち歩くのが定番だった。

長財布なので、お尻のポケットから財布が顔をのぞかせていた。けれど、いままで落としたことがなかったし、なくした経験もなかったので、あまり気にもしていなかった。

しかし、こういう家族との大事なイベントのときに、やらかすのがぼくの定番。マーメイドラグーンを出たのち、「次はどこのエリアに行こうか」なんて、のんきに妻と話をしている途中で気がついた。……財布がなくなっている。

妻、怒るよりも先に呆れた様子。「なにやってんの…」という冷たい視線。痛いほど突き刺さる。

こんなときには、自分が日本人であることが悔やまれた。言葉にされずとも「1分1秒も無駄にしたくないこの日に、なんてことしてんの」という妻の心中を察することが容易だったからだ。

不幸中の幸いだったのは、ベビーカーの中の娘がご就寝だったことだ。「今日という一大イベントが台なしだよ」と残念がる娘の顔を見なくて済んだことに、ちょっとホッとしたのを覚えている。

そして財布の捜索。しかしこれは案外すんなりと済んだ。さすが夢の国。ハッピームードであふれるこの世界では、みんながやさしくしてくれるらしい。財布は忘れ物センターに届けられていた。

ただ「見つかったからよかった」ではない。結局、ディズニーシーの入口付近にあるセンターまでわざわざ足を運ばなければならず、家族との大事な時間でタイムロスをしたことに変わりはないのだ。

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そんな経験をしてから、ぼくは「ポケットからはみ出るようなサイズの財布をポケットに入れて持ち歩くべきではない」という、至極あたりまえの事実に気がついた。

気がついたのち、思考は飛躍する。

「ほんとうに財布が必要だろうか。支払いはすべてiPhoneに任せて、現金は万が一のために緊急用だけ残せばいい。カード類も厳選すれば、2〜3枚で収まるだろう」

「キーケースは、どんな事情があろうとも持ち歩かなくちゃいけないし、一番安全な左前ポケットにいれて持ち歩く。これは揺るがない」

「であれば、このキーケースに、財布としての役割も持たせてあげれば、荷物も減るうえに、安全性も高まるじゃあないか!」

かくして、ぼくは財布を持つことをやめた。その代わりに、キーケースにわずかな現金と数枚のカードを入れて持ち歩き、ほとんどの支払いをiPhoneでようになったのだった。

それからは、ポケットの所持品も「キーケース」と「iPhone」だけになり、この2つがあれば大概の外出で困ることもなくなった。もちろん、お尻のポケットを使わないので、落とす心配もない。非常に快適な毎日だ。

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今日もお付き合いいただきありがとうございます。

いまではディズニーランドに行くと、「今日は財布おとさないでね」と冗談と本気のハーフアンドハーフで責められる。たぶん、一生いわれつづけるんだろうなぁ。

デジタル型モノカキー

月間50万PVを達成する「あなたのスイッチを押すブログ」の中の人。Webディレクター・デジタルマーケターとしてサラリーマンをやりつつ、個人でメディアライターとして活動をするパラレルキャリア。 「フクザツを分解し、カンタンに再構築」をモットーに、ブログや企業メディアでライティングをしています。商品レビュー・記事制作・メディア運用のご依頼を承っていますので、お気軽にご相談ください。 お問い合わせは各種SNSからご連絡ください。

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