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初戦まで6日。なでしこJはパリ五輪初戦で世界王者の“リベンジ”をいなせるか? #専門家のまとめ

松原渓スポーツジャーナリスト
パリ五輪初戦は世界王者になったスペインとの再戦に(写真:ロイター/アフロ)

 7月26日(金)、パリ五輪が開幕する。なでしこジャパンは、その前日25日に初戦を迎える。相手はFIFAランク1位のスペイン女子代表だ。スペインは直近のU-17女子W杯とU-20女子W杯(2022)、そして女子W杯(2023)と、全世代で優勝する初の偉業を達成。第1回のUEFA女子ネーションズリーグでも頂点に立った。その現・絶対王者が1年前のワールドカップで唯一敗れたのが、日本だった。しかも、0-4の惨敗である。パリ五輪ではその屈辱を晴らすべく、初戦に照準を合わせてくるだろう。日本に勝機はあるのだろうか?

ココがポイント

▼3-4-3と4-3-3。2つのシステムを柔軟に使いこなせれば王者・スペインに勝機も

昨年のW杯で「4-0完封」勝ち、世界1位スペインとの初戦はベテラン熊谷紗希が統率「2つのシステム」が武器に【メダル獲得へ「なでしこジャパン」パリ五輪の戦い方】(3)(サッカー批評)

▼国内ラストマッチのガーナ戦で4バックは機能せず。鍵はアンカーの熊谷紗希「オプションの中でやれることを増やしたい」

熊谷紗希が感じた“手応え”と“反省”…『4-3-3』のビルドアップについて「1つのチャレンジだった」(サッカーキング)

▼4バックの課題は「受け手と出し手のタイミングや、共有の精度を上げること」「コンディションを上げて反応を高めていくこと」。

なでしこジャパンが国内ラストマッチで示した成果と課題。4-3-3のオプションは機能するのか?(Yahoo!ニュース エキスパート 松原渓)

エキスパートの補足・見解

 基本フォーメーションの3-4-3と、オプションである4-3-3(4-1-4-1)を使い分けること――。それは、3-4-3のフォーメーション一択だった1年前のW杯からの成長の証でもある。

 勝負のポイントは、やはり先制点だろう。その意味でも、どちらのフォーメーションでスタートするかは重要だ。

 3-4-3を使うメリットは、攻撃面では幅を使えること、守備時には5バックで、スペインが得意とするクロス攻撃を跳ね返しやすくなること。ただし、押し込まれて両ウイングバックが最終ラインに吸収されてしまうと厳しい。W杯のようにカウンターがはまれば強いが、逆に先制点を奪われるとかなり分が悪くなる。前から圧力をかけて、ショートカウンターから早い時間帯に得点できれば理想的だ。攻撃陣で調子を上げている浜野まいか、藤野あおばの20代コンビが先発すれば、その可能性は広がるのではないか。

 4-3-3は中央で人数をかけられるメリットがあり、攻守も安定しやすい。ポゼッション率を高めることも、日本が4バックをオプションにした理由の一つだった。ただし、4-3-3の表と裏を知り尽くしたスペインにミラーゲームを挑むのは、リスクの高いチャレンジにも思える。

 池田太監督の選択を注視したいが、14日のガーナ戦のようにスタートの形がうまくはまらなくても、焦らず、試合の中で柔軟に形を変えて対応したい。

 最終的な方向性は、19日に予定されている非公開のコロンビア戦で見えてくるだろう。

スポーツジャーナリスト

女子サッカーの最前線で取材し、国内のWEリーグはもちろん、なでしこジャパンが出場するワールドカップやオリンピック、海外遠征などにも精力的に足を運ぶ。自身も小学校からサッカー選手としてプレーした経験を活かして執筆活動を行い、様々な媒体に寄稿している。お仕事のご依頼やお問い合わせはkeichannnel0825@gmail.comまでお願いします。

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