巨人ドラ1→鷹育成。再出発の鍬原拓也がキャンプ3連投のワケ。3度目支配下復帰への決意を語る
巨人からソフトバンクに移籍した育成枠・鍬原拓也投手がキャンプ初日から3日連続でブルペン入り。しかもうち2度が100球超えと、周囲と見比べると頭1つ抜けた“熱投”ぶりを見せた。
「初日110球、2日目が100球でした。今日は64球。今日は抑えめというか、3日間の中で一番バランスよく下(半身)を使って投げれたっていう感覚があって。でも下を使った分、体がまだ疲れてる状況でこれ以上投げて怪我に繋がってはいけないので、いいところで止めようっていうことで64球になりました」
プロ入りは巨人のドラフト1位
鍬原投手はもともとドラフト1位でプロ野球に飛び込んだ逸材だ。
しかし、故障に苦しむなどして2020年オフに戦力外通告を受けて育成選手に。2021年8月に支配下登録されるも、同年オフにまた育成降格を経験した。
それでも、2022年開幕前には再び支配下復帰。するとその年に一軍で自己最多の49試合に登板。
だがその後は振るわず、昨オフに3度目の“戦力外通告”となっていたところ、ソフトバンクから育成枠での獲得の声がかかった。「野球を出来る環境を作ってくださったホークスさんには感謝の気持ちでいっぱいです」と入団会見では喜びを口にしていた。
背番号は174。
またしても3桁背番号からの再出発だが、鍬原投手は「そこ」からの這い上がり方を知っている選手だ。
その意味も込めてのキャンプ3連投スタートだったのか。取材すると、ものすごく丁寧に応じてくれた(1対1で話したのは初めて)。
鍬原一問一答、這い上がり方を知る右腕
――もともと結構投げるタイプ?
「いや、僕が一軍で50試合近く投げたその年のキャンプが球数を多く投げて作り上げていったので。投げて感覚を戻すというか。体の使い方だったりバランスだったりをつかみたいなと思って、今年もしっかり投げようと思ってやっています」
――3桁番号から這い上がった経験がある。
「49試合登板の年も最初は育成スタートだった。キャンプでしっかり投げ込んでアピールできて、実戦もしっかり抑えて、そこから支配下勝ち取っての49試合でした。経験はあるにせよ、同じようにはいかないと思う。だけど、そこに近い強度とか練習できたらなっていう感じではいます。そして、あの時を超えられるように、今はやってます」
――アピールしなきゃという思いは?
「そうなんですけど、今、投げ込んでるのは、アピールのためとかじゃない。自分自身を作っていかなきゃいけないので。それが結果的にアピールになってるかもしれないですけど。今は自分のために悔いのないように投げ込んでいるという感じ」
――まだキャンプ3日目ですが、新しいチームには溶け込んでます?
「すごく雰囲気も良くて、とてもやりやすいです。そう言うとジャイアンツがやりにくいみたいになるんですよね(苦笑)。そんなことはないですが、周りにも変に気を遣うことなくできています」
――キャンプの目標はA組紅白戦登板とか?
「そういう実戦の場面でしっかり結果を残して。そして結果だけじゃなく内容も見ながら、やっていけたらなと」
――育成登録期限は7月末だけど、開幕前までになどの意識は?
「そうですね。初日の倉野コーチが『支配下62人で、開幕までに65人にしないといけない』みたいな話をされました(実際は7月末時点に65名以上だが、あるいは球団内で開幕までにはという意向があるのか??)。3人は絶対開幕前に上がるっていうのは仰ってたので、そこに必ず入れるようにしたいです」
藤井ロードに乗れるか
また、鍬原はソフトバンク入団会見でこんな言葉を口にした。
「ドラ1でしょぼい成績では終われない」
近年では藤井皓哉(広島戦力外→四国IL・高知→ソフトバンク育成入団)が入団してすぐの2022年の春季キャンプでアピールに成功して開幕前に支配下入りを掴むと、そのままチームに欠かせないセットアッパーの座を掴むまでに成り上がった。鍬原が理想とするのもそんな「藤井ロード」だ。
【写真はすべて筆者撮影】