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遂にMLBと選手会が新労使協約に合意!通常の162試合制で開幕は4月7日に

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
ようやく2022年シーズンの開幕が決定した。(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

【選手会が投票によりMLB最新案を承認】

 12月2日にMLBがロックアウトを実施してから99日目となった3月10日、選手会がMLBから提示された最新案に同意し、遂に労使交渉が妥結されることになった。

 米メディアが報じたところでは、選手会はMLB最新案を受け取った後に投票を行い、38人中26人の同意票を得て、MLB最新案を承認した(20票以上で可決)。

 ちなみに投票は労使交渉に直接参加していた選手部会に所属する8選手と、各チームの代表者30選手で行われ、選手部会の8人は全員反対だったが、各チーム代表のうち26人が賛成に回ったようだ(米メディアによると、反対したのはヤンキース、メッツ、アストロズ、カージナルスの代表者)。

 この選手会の回答を受けたMLBも最新案に同意したため、正式に新労使協約は承認されるとともに、ロックアウトが解除されることになった。有効期間は2026年の12月1日までとなる。

【開幕は4月7日で通常通り162試合制に】

 MLBは前日に、4月13日までの全試合キャンセルを発表していたが、この日も選手会と162試合を実施する方向で交渉を続けており、新労使協約が合意したことで、通常の162試合が実施されることが決定した。

 そのためサービスタイム(MLB在籍日数)も影響を受けることがなくなり、大谷翔平選手も予定通り2023年シーズン終了後にFA権を取得できることになった。

 シーズン開幕は4月7日で、米メディアによれば、公式戦最終日を従来のスケジュールより3日間引き延ばし、10月5日となる。とりあえずオフ日を削って試合が組み込まれることになるが、調整できなかった試合に関しては9イニング制のダブルヘッダーで消化することになる。

【争点となった国際ドラフト制度とFA補償制度の結論は7月に持ち越し】

本欄でも報告しているように、3月9日の時点で交渉が決裂する経緯となった国際ドラフト制度とFA補償制度に関しては、改めて両サイドで協議した結果、このまま7月まで協議を継続することで合意。7月25日までに国際ドラフト制度(2024年から実施予定)に合意できた場合は、それと同時にFA補償制度が撤廃され、合意できなかった場合はFA補償制度が継続されることで決着した。

 残りの争点だったぜいたく税制度の限度額、最低年俸、年俸調停権取得前の選手を対象にしたプール金に関しては、MLBの最新案は以下のようなものだった。

 ・ぜいたく税制度限度額:2億3000万ドル(2022)→2億4400万ドル(2026年)

 ・最低年俸:70万ドル(2022)→78万ドル(2026年)

 ・プール金:5000万ドル

【鈴木誠也選手を含めFA市場も10日夜に再開】

 ロックアウトの解除に伴い、FA市場も10日夜から再開されることになった。これによりずっと契約交渉ができなかった菊池雄星投手らFA選手らの所属先が決まっていきそうだ。

 これに伴い、ポスティングシステムでMLB移籍を目指していた鈴木誠也選手も、12月2日で一旦打ち切られていた30日間の交渉期間の残り分が10日夜から復活することになり、一気に交渉を加速化していくことになる。

 スプリングトレーニングは3月18~20日からスタートすることになるので、鈴木選手としても早めに所属先を決定したいところだろう。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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