マイクロソフト、ブラッド・スミス社長:キラーロボット登場を懸念「国際社会で新たな規範が必要」
「あっというまに世界中に広がるだろう」
マイクロソフトの社長(President)のブラッド・スミス氏(Brad Smith)が2019年9月に、英国「The Daily Telegraph」のインタビューでキラーロボットにおける新たな規範が必要と強調。キラーロボットは自律型殺傷兵器(Lethal Autonomous Weapon Systems:LAWS)のことで、AI(人工知能)が発展し、人間の判断を介さないでロボットが自身の判断で攻撃をしかけてくることで、新たな脅威として懸念されている。
スミス氏は「キラーロボットの登場に対しては政府が早急に真剣に対応策を検討すべきだ」と語った。また「急速な科学技術の発展によって、ミサイルや爆弾、銃など致死性のある兵器を備えて空、海、陸からキラーロボットが攻撃をしかけてくる可能性がある。自律的に作動するようにプログラムされた兵器技術は世界中にあっという間に広がっていくだろう」と懸念を表明。
ある程度自律化された兵器はアメリカ、中国、イスラエル、韓国、ロシア、英国などで開発が進んでいる。まだ完全に自律したキラーロボットは登場していないが、多くの国やNGOがキラーロボットの登場を懸念しており、国連でも議論になっている。またスミス氏以外にも多くの著名人らがキラーロボットの出現を懸念し反対を表明している。
「共通のルールが必要」
人間の判断を介さないで、ロボットだけの判断で標的を攻撃してくることは、銃と核兵器に次ぐ「戦争における第3の革命」とも言われて警告されいる。特に人間の判断を介さないで、標的に攻撃し、人間がキラーロボットに殺害されたり、大怪我をした時に、誰が責任を取るのかが明確になっていない。つまりキラーロボットの開発者なのか、メーカーなのか、使用した軍なのか、もしくはロボットそのものなのか、責任の所在が不明瞭なままだ。
スミス氏は「キラーロボット自身に戦場で誰を殺すかの判断を許可させるべきではない」と強調。続けて「このような技術の使用には、新たな国際社会での条約や規範が必要になる。市民の安全が今日では危機に晒されている。我々はキラーロボットの開発に対して、早急なアクションが必要だ。また兵士と市民をキラーロボットの攻撃から守るための新たな規範が必要だ」と語った。
さらに「顔認証技術などAIの新たな技術領域については国際社会での共通のルールが求められる。キラーロボットに悪用されないためにもAI技術での新たな規制や法律も必要だろう」とコメント。Googleでもエンジニアらが、自らが開発したAI技術がキラーロボット開発のために使われないように訴えていた。