ChatGPTの出現から考えるHR業界の振り返りとAIの未来
こんにちは。アクシス代表の末永です。
中途の人材採用支援をしつつ、月50万人以上の読者を持つ「すべらない転職」という転職メディアや個人向けキャリアコーチング「マジキャリ」を運営している中で、Yahoo!ニュース上では2013年から「働き方3.0」というテーマでキャリアや雇用分野について発信させてもらっています。
また、すべらない転職エージェントというyoutubeチャンネルでもキャリアについてのノウハウをお届けてしています。
現在、IT/WEB業界では人工知能(AI)としてOpenAI が開発したChatGPTが毎日話題に挙がっています。ChatGPTは、人工知能を使って自然言語処理のタスクを解決するシステムです。自然言語処理とは、人間が使う自然な言葉をコンピュータが理解し、それに対する処理をすることです。
実はいまから8年前(2015年)に私は「転職エージェントは人工知能(AI)に代替されてしまうのか?」という記事をYahoo!ニュース上で書きました。ちょうどNHKクローズアップ現代「クローズアップ現代 人工知能社会の行方」が放映されたタイミングもあってか、SNSやNewsPicksで割とバズりました。
・転職エージェントは人工知能(AI)に代替されてしまうのか? | 2015/3/4(水)
今回hそのときの記事を振り返りながら、現在までにHR業界はどのような変化があったのか自分なりの考察をまとめました。
8年前(2015年)のHR業界
8年前(2015年)のHR業界では、人工知能(AI)とはレコメンド技術が中心でした。レコメンドとは、機械学習やディープラーニングの技術を利用して、商品やサービスを推薦するための技術です。
例えば、AmazonやNetflixなどのオンラインストアやストリーミングサービスでは、レコメンドエンジンと呼ばれるAIシステムが、ユーザーの履歴や好み、嗜好、その他のデータを分析して、商品やサービスを提案するために利用されています。
HR業界ではビズリーチ社がレコメンド型求人サイト「Careertrek(現キャリトレ)」を始めたことが話題になりました(2022年サービス終了)。2016年のユーキャン新語・流行語大賞に「AI」がノミネートされるなど、日本国内では2015年前後にAIブームが起きていたと言えます。
しかしながら、その後は現在に至るまでAIによって「職業が消えた」「日々の生活にまで浸透した」と言えるほどの革新的と呼べるサービスは生まれませんでした。皆さんもAIブームのときに「それってAIなの?」「思っていたのと違う」と思ったのではないでしょうか。
転職エージェントは人工知能(AI)に代替されてしまうのか
8年前は人材紹介ビジネスでも大量に希望しない求人を案内されるだけであれば、AIによる求人レコメンドのほうが便利ではないかと危惧しました。
一方で、優秀なリクルーティングアドバイザーによる企業担当者との「握り」と「信頼」はAIによる代替の難しさも指摘させていただきました。改めて考えてもこの考察は正しかったと思います。
8年前と比較して転職市場では大きな変化は起きていません。
いまだ地方ではハローワークの利用率が高く、首都圏でも転職サイトでの仕事探しが一般的な方法です。また、多くの転職エージェントが対面で面談し、求人票を紹介し、面接調整をおこなっています。
大きな変化と言えば、新型コロナウイルス感染対策の影響で対面式の面談からオンライン面談に変わったくらいで、就職・転職市場ともにツールや採用手法に多少の変化はありましたが、大きな部分では何も変わらなかったと言えます。
今回、ChatGPTの出現で、ようやく8年ごしに一歩進んだ印象を受けました。そして、まだまだ転職エージェントは人工知能(AI)に代替されてしまうのは遠いことも実感しました。
仮に代替されるには、表面的な職務経歴や適性検査だけでなく、幼少期からの体験や行動記録、判断基準など膨大なデータを解析し、行動予測する必要があると感じました。
一方で、単純に転職者の職務経歴データをヒアリングして、その経歴と相関の高い求人を紹介するだけのエージェントであれば、十分に代替されてしまうと思いますが・・。
また、求職者のデータだけでなく、求人企業側の従業員全員が同じように数十年分のデータを集め、分析することで初めて精度の高いマッチングが可能と言えます。
ただ、そのようなデータを集めるには脳インプラント(またはモニタリングデバイス)と呼ばれる人間の脳に直接マイクロチップなどの装置を幼少期に埋め込む必要があるように感じます。
転職活動でのChatGPT利用は慎重に
インターネット上の口コミを見ると、ChatGPTを面接対策の壁打ち相手や、志望動機作成に利用されている方が一部いました。
面接の質問に対して上手な回答方法のヒントをもらう分には価値がありますが、ChatGPTが考えた志望動機を面接でそのまま使うのは止めましょう。自分の言葉ではないため、面接で「なぜ?」を三回繰り返されると、ボロが出てしまう可能性が高いからです。
あくまでも助言としての活用や、自分の考えをまとめる方法として活用することをおすすめします。
優秀な面接官ほど、一般論的な回答ではなくその人個別の回答を求めて見極めを行っています。
なぜならば、その人独自の自社業務に対する動機づけや特性を持っているか否かが、入社後の定着活躍の度合いと相関があると考えているためです。
その人が持っている事実としての過去の原体験と独自の解釈をヒアリングする事で、その人の強みやアピールポイントが本当なのか、自社業務や風土とマッチするかを判断しているのです。
まとめ
今後はチャットボットとしての利用や、自然言語による問い合わせに対する応答、あるいはAIアシスタントとしての利用が期待されています。
近い将来、Yahoo!ニュースもAIが分析し、AI自ら記事にして配信される日が来るかもしれませんね。
一方で、ChatGPTも大量のデータをもとに学習しているものの、学習データの偏りやテキスト理解の限界で、まだまだ完璧とは呼べない間違いも多いとの口コミがあります。
自動運転やロボット分野など、これからテクノロジーがどんどん進化しますが、AIに判断を任せるのではなく、最終的にはヒトが自ら判断することが大切だと私は考えています。
※本記事の一部はChatGPTの回答を利用しましたが、気づきましたか?