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食事をしながらのテレビや新聞・雑誌の利用の年齢別実情をさぐる

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ テレビを見ながらの食事。行儀がよいようには見えないが。(写真:アフロ)

・食事をしながら新聞を読む人は20代までは少ない。中堅層では男女とも、高齢層になると男性の方が読む人は増える。しかし最大値の70代前半男性でも9.8%どまり(2016年、平日)。

・食事をしながらテレビを見る人は15~19歳で3割前後、20代から30代前半までは男性で2割強、女性では3割台。男性は50代前半、女性は40代後半から見る人の割合は大きく伸びる。

食事をする時の「ながら行動」は行儀が悪いとの指摘は多々あるが、一方でテレビを見たり新聞を読みながら食事をする人が多いのも事実。それら食事とともに行われている「ながら行動」の実情を、総務省統計局の社会生活基本調査(※)の結果から確認する。

次に示すのは食事(朝食・昼食・夕食を問わず)の際に、挙げられている行動を「ながら行動」(同時行動)としてしている人の割合。例えば70代前半の男性は9.8%と出ているので、平日において70代前半の男性で食事をする人のうち1割近くは、新聞や雑誌を読みながら食事をしている計算になる。

↑ 食事時の同時行動者率(新聞・雑誌)(2016年、平日、15歳以上)
↑ 食事時の同時行動者率(新聞・雑誌)(2016年、平日、15歳以上)

元々新聞や雑誌を読まない人は食事中に読むことも無いため、新聞や雑誌の閲読傾向とも浅からぬ関係が生じている。15~19歳では男性で1.2%、女性で2.5%の人が読んでいるが、20代はほぼゼロ(空欄部分はゼロ回答)。30代に入ると男性が大きく伸びるが、40代から50代前半ではむしろ女性の方が高い値を示す。50代後半以降は再び男性の方が高い値となり、60代後半から70代前半にかけては9%台にまで達する。食事をしながら新聞を読む行動は中堅層の男性がしていそうなイメージがあるのだが、実際には中堅層では男女とも、高齢層になると男性の方が一層読んでいるのが実情のようだ。

もっとも最大値を示す70代前半の男性でも9.8%。その年齢階層の1割にも満たないのが現状。

同じ食事時の「ながら行動」の対象としては、新聞(閲読)よりもむしろ多くの人が行っているであろうテレビ(視聴)はどうだろうか。

↑ 食事時の同時行動者率(テレビ)(2016年、平日、15歳以上)
↑ 食事時の同時行動者率(テレビ)(2016年、平日、15歳以上)

保護者などから行儀作法の点で指図を受けている可能性がある15~19歳では3割前後、20代から30代前半までは男性で2割強、女性では3割台。新聞や雑誌の閲読と比べればはるかに高い値だが、中堅層以降と比べて低めに留まっているのは、代わりにスマートフォンなどを操作しているからかもしれない(が、年齢階層別の食事時の同時行動に関しては、スマートフォンの操作も含まれる「コンピューターの使用」は該当データが確認できない)。また、テレビそのものを普段から見ているか否かも少なからず関係しているのだろう。

男性は50代前半、女性は40代後半から、大きく値を伸ばしていく。女性は5割前後、男性は4割後半から5割ぐらいの値でほぼ安定する。大雑把に表現すると、男性は50代、女性は40代後半以降において、半数ぐらいの人が食事をする際にテレビを見ている計算になる。

食事の際の「ながら行動」は行儀が悪いだけで無く、注力が分散するために料理をこぼしたり消化が悪くなるとの指摘もある。一方でテレビを見ることの実情から分かる通り、今や日常生活の上で浸透した様式となったものもある。どのように対処するかは個々の認識に任せるしかあるまい。

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※社会生活基本調査

5年おきに実施されている公的調査で、直近分となる2016年分は2010年時点の国勢調査の調査区のうち、2016年の熊本地震の影響を受けて調査が困難な一部地域を除いた、総務大臣の指定する7311調査区に対して実施された。指定調査区から選定した約8万8000世帯に居住する10歳以上の世帯員約20万人を対象としている。ただし外国の外交団やその家族、外国の軍人やその関係者、自衛隊の営舎内や艦船内の居住者、刑務所などに収容されている人、社会福祉施設や病院、療養所に入所・入院している人は対象外。2016年10月20日現在の実情について回答してもらっているが、生活時間については2016年10月15日から10月23日までの9日間のうち、調査区ごとに指定した連続する2日間についての調査となる。調査方法は調査員による調査世帯への調査票配布と回収方式。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

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(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更を加えたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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