現役夫婦世帯の持ち家率は77%…持ち家・賃貸住宅の割合をさぐる
家計のお財布事情を推し量る指標の一つが住宅に関わる支払い。住まいが持ち家か賃貸か、持ち家ならばローンを支払っている最中か否かで、大きな違いが生じる。その実情を総務省統計局の調査の一つ「家計調査」の公開調査結果から確認する。
賃貸住宅の場合は毎月家賃の支払いがあり、更新時には家賃に加えて更新料の支払いが必要になる。一方持ち家の場合はローンを組んで購入した場合には月々・ボーナス払いでのローン返済の負担がある。持ち家でも一括購入をしたり遺産などで取得した場合、そしてローンを完済した場合はローンの負担は無いが、固定資産税や修繕費などが発生するため、負担がゼロではない(ただし同規模の場合、やはり家賃と比べれば負担は軽い)。
そこでまずは、世帯主の年齢階層別に見た持ち家率をグラフ化する。ローン完済組・支払い途中組を合わせた、単純な持ち家率。年金生活者などの状況を含めて確認する際には全世帯を対象に検証すべきではあるのだが、家計調査では「住宅ローン支払い世帯比率」が値として計上されているのは二人以上世帯のうち勤労者世帯(原則として現役夫婦世帯)のみ。そこでその世帯に限って精査を行う。例えば年金の受給と貯蓄の切り崩しで生活を営んでいるような年金生活世帯は対象外となる。
若年層世帯の方が持家率は低い。世帯主が34歳以下の夫婦世帯では持ち家率は半数に満たない。一方、定年退職後の世帯で多少持ち家率が落ちているが、これは資産を整理して子供などに譲渡し身軽になった上で、賃貸住宅などに住むケースが少なからずあることを意味する(勤労世帯であることから、その上で生活費の補てんなどのために働いているのだろう)。
持ち家に居住していない世帯としては、親の住居に間借りする形で住む場合もあるが(親と同一世帯を構成している場合は今件精査対象にはならない)、多くは賃貸住宅での生活となる。家賃・地代を支払っている賃貸世帯の全体的な傾向としては当然、持ち家世帯とは正反対の形になる。
世帯主が34歳までの勤労者夫婦世帯では半数が賃貸住宅に住んでいる。ところが50代以降になると賃貸住まい率は1割前後にまで減少する。高齢者になるとやや値が上がるのは上記の通り、手持ちの資産の売却・賃貸住まい組の増加によるものだろう。
次のグラフは持ち家世帯のうち、ローンを支払い中の世帯と、支払い済み・支払い不必要世帯に分けた積上げ型の棒グラフ。結果としては世帯主の年齢が上がるほど、ローン返済の必要が無い・終えた持ち家世帯率が増えている。
世帯主の年齢階層別に、生活の苦しさ・楽さを見る際には単なる収入の額(可処分所得ではない)だけではなく、いかなる住まいに住んでいるか、ローンの支払いは済んでいるのかも考慮しなければならない。住宅ローンの観点でも、やはり若年層世帯はふところ事情が厳しい、と判断せざるを得まい。
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(注)本文中の各グラフは特記事項の無い限り、記述されている資料を基に筆者が作成したものです。