「慰安婦合意は公式のもの」韓国次期政権側の発言 韓国の反応は"かなり静か"
20日に日本の主要メディアで伝えられた「韓国次期外相候補、2015年の日韓慰安婦合意を”公式のもの”と認める発言」の報。
慰安婦合意は「公式合意」 韓国次期外相、相互努力訴え(日経新聞)
これに対する韓国の反応はどういったものだったのか。
「かなり静かだが、関心を持つ層は強く反応」という傾向が見られる。
翌21日(きょう)の国内主要媒体の朝刊社説でこれを報じる主要媒体はなし。尹次期政権の外交問題としては「米韓首脳会談の場所が決まらない」という点をハンギョレ新聞が報じたのみだった。
最大のポータルサイト「NAVER」の各媒体のアクセスランキングでも上位に入るものはなかった。日本関連でいうと、韓国経済紙では「韓国でポケモンパン大人気」の記事が1位に入った。
20日の発言後の「NAVER」の掲載記事数も、30本前後と多くはない。
一方で関心のある層は強く反応、という傾向がある。
ソーシャルメディアなどの反応をビッグデータで提供する「Sometrend」では以下の結果が出た。
調査したワード:「慰安婦(위안부)」
期間:2022年4月20日の1日
テータ抽出対象:Twitter、ブログ、Webニュース
国内で影響力の強いネット掲示版(コミュニティ)のデータが入っていないものの、該当SNSでの同日の言及量は「250%UP」だった。ただし数値で記すと「2607」と決して多いものではない。
一方で「Sometrend」ではAIを用いてSNS上での発言の傾向が「ポジティブかネガティブか」を記すことできる。こういった結果だった。
結果は「肯定23.1%」「否定76.4%」。
最も多い関連ワードは「妄言」ついで「屈辱的」だった。
このデータを眺める限りではやはり国内には根深い反発がある、というところか。
日本メディアではあまり大きく報じられなかったが、さる4月10日に尹新政権側は対日関係についてアメリカ側に公式的に「意気込み」を伝えていた。
「日韓関係を改善する」
訪米中だった尹次期大統領の代表団(米韓政策協議団)が現地で米側にこう宣言していたのだ。米韓の同盟関係を考えても重要なものであると。
ただしここでの内容は「日本側との正しい歴史認識を共有する」というものだった。現文在寅政権と変わらないもの。そんな印象もあったが、今回の発言はひとつ踏み込んで「変わった点」を示したかたちだ。
尹次期政権は連日、韓国でさかんに記者会見を行っており、これがオンライン中継されている。連日スポークスマンは「この政権は国民に不利益になることはしない」との言葉を繰り返す。公正・透明性・政策実行力といった「正しさ」に比重を置いているように感じさせる。
ましてや大統領選で歴史的僅差の勝負を繰り広げた李在明の最大の売りがソウル近郊の城南市庁時代の「公約実現率」だっただけに、この点で劣っていると受け取られたくはないだろう。逆に自身の最大の弱点は「政治家経験がゼロ」という点なのだから。
日韓交渉、果たして今後の進展はどうなるだろうか。