知らないと理解不能。映画『ダム・マネー』に必要な株の知識とは?
映画『ダム・マネー ウォール街を狙え!』を楽しむには、株の知識が必要です。といっても、難しい話ではありません。
あなたの鑑賞の準備ができているか否かは、たった1つの質問でわかります。
この言葉を知っていますか?
「空売り」
知っている人は真っ直ぐ上映館にGO!で大丈夫。以下の話は、無知な男の与太話として聞き流してください。
私は知りませんでした。
で、サン・セバスティアン映画祭で撃沈。ちんぷんかんぷんで、周りが爆笑なのに笑えない、屈辱の104分間を過ごした。日本語で理解できないことをスペイン語で理解できるわけがない。
■「空売り」とは何か?
以下、そんな馬鹿な私の二の舞にならないよう、映画は大好きだが株にはまったく興味がない、という私が、私と同じ様な人たちに書いた『ダム・マネー』を楽しんでもらうための記事です。
※株の専門家の記事ではありません。以下に出てくる用語を正確に詳しく知りたい人は専門家のみなさんの記事へ。
さて、「空売り」とは何か?
ザックリ言います。
「株価が下がっている時に、株を売り買いして儲ける方法です」。
そんな方法あるの!ってのが私の反応でした。
持っている株が上がる。で、売る。儲かる。これが私の知識のすべてでしたから。
下がっている時に儲かる仕組みは?
さらにザックリいきますよ。
「株を借りて、借りた途端に売る。で、株の返済時に買い戻す。すると下がる前に売った値段と下がった後に買った値段の差額が儲かる」。
こういうことです。
売った時に1000円だった株を半年後に500円で買い戻す。すると500円の儲けが出る。借りた人に株を返却してレンタル料を差し引いた額が、手元に残る。レンタル料50円なら450円の利益が出る。
■借りた株を売り、買い戻すの驚愕
これ、無知な私には驚愕でした。
普通は、「買った株を売る」という順番なのに、これは「まず売って次に買う」と順番が逆。確かに、買った株を売って儲けるには株価が上がっていないといけないけど、借りた株を売って買い戻して儲けるには、株価が下がっていないといけない。
借りたものを売るって発想も斬新だった。
一般社会の道徳には反している。私がレンタルしたDVDを売ったら犯罪者になる。
でも、株式売買の世界では、期日にレンタル料を上乗せして返却する、という約束の下に普通に行われているんです。
で、よく考えると、これ、借りた株じゃないとダメなんですよね。自分で買った株を下がった時に売ったら損するだけですから。
■株をめぐっての攻防の構図
ここまでわかると、以下の対立構図が理解できます。
「株価が下がった方が儲かる人(=空売り勢)VS株価が上がった方が儲かる人」
です。
オフィシャルサイトには「みんなでウォール街の強欲エリートをぶっつぶせ!」とあります。
そこから、
「強欲エリートVS庶民」
という構図も導き出されます。
言い換えれば、
「ヘッジファンドVS個人投資家」
です。
ここまで来ると、作品を貫く骨子が理解できます。
「株価が下がった方が儲かる人=強欲エリート=ヘッジファンドVS株価が上がった方が儲かる人=庶民=個人投資家」
です。
■私を完全に殺した「短い首絞め」
あと知らなくても多分支障はないけど、知っていた方がいい用語がもう一つあります。
「ショートスクイーズ」(英語Short Squeeze。ショートスクイズという表記も)です。
これ、多用されていました。
意味は作品内で解説があったかもしれませんが、みなさんで検索して調べておいた方がベターです。
スペイン語ではRestangulamiento Corto。
直訳すると「短い首絞め」??????
この用語に首を絞められ、私は完全に理解不能に陥りました。
その他、オフィシャルサイトには、「前代未聞の“ゲームストップ株騒動”がまさかの映画化!」とありますが、ゲームストップ株騒動の内容は知らない方がいい。
ネタバレになるから。
以上。
これであなたも『ダム・マネー』を楽しむ準備ができました。
あとは上映館にGO!です。
※写真提供はサン・セバスティアン映画祭