こわがりの子どもへの接し方:無理強いもせず、甘やかしもせず
■子ども達の心
子ども達は、大人よりも楽しい夢の世界に生きています。いつも、ワクワクしています。隣町に行くのも、まるで外国に行くような気分です。
けれども、子ども達は同時に大人よりも恐怖の世界に住んでいます。大人になればなんでもないのに、子どものころはとても怖かったこと、ありますよね。
恐怖や不安に打ち勝って、子ども達の心は強くなります。しかし、みんなが上手く行くわけではありません。そして大人は、子どもを支えるのが仕事ですが、なかなか器用にできない大人もいます。
■こわがりの子
小さな子どものころは、こわがりの泣き虫だったけれど、大きくなったらすっかり強い子になった。そんな子ども達は、たくさんいます。だから、不安がり、こわがる子を、必要以上に心配することはありません。
けれども、全てのこわがりの子が順調に強く成長するとは限りません。不安や恐怖を強く持ちやすい子は、園や学校生活全般での適応が低いこともあります。
水が怖いとか、虫が怖いとか、そのこと自体が本来は大問題ではないとしても、そのことによってほかの事まで上手くいかなくなることがあります。
また、一番目立つのは、水、虫、犬、高い場所などであったとしても、生活全般で不安や恐怖を持ちやすい子がいます。このような子ども達は、様々な場面でチャレンジができなくなります。またいつも不安や恐怖にさらされ続けているので、その結果として、心身に不調をきたすこともあります。
さらに、幼児期の不安や恐怖の対象、たとえば人形がこわいなどは治っても、思春期、成人期になって、様々に形を変えながら症状が出現することもあります。
不登校になった子どもが、思い返してみると幼児期から大きな音や暗い場所を怖がっていたということもあります。あるいは、大人になってから、パニク障害やうつにつながる人もいます。
心配しすぎはいけませんが、いずれにせよ、今困っている子がいれば、何とかサポートしてあげたいと思います。
■無理強いをせず、甘やかしもせず
大人の不適切な対応には、3種類あります。一つが、乱暴すぎる方法です。こわがりの子を治そうとして、無理強いをします。高いところがこわい子を、無理やりつり橋に連れて行くような方法です。これでは、かえってこわがりになってしまいます。
その逆が、子どもを甘やかしてしまう大人です。子どもが怖がるものすべてを遠ざけます。そうすれば、子どもは不安から開放されるかもしれませんが、強い子にもなれません。
必要なことは、少しずつ慣れていくことです。
大人の不適切な対応の3つ目は、大人自信の不安な行動です。
■不安が高すぎる大人
たとえば、様々ある認知行動療法的な方法の一つで、リラクセーションがあります。
「リラクセーションとは、子どもの年齢に応じて、抱きしめてあげたり、背中をさすってあげたり、優しい言葉をかけてあげたり、深呼吸をさせたり。高いところ、暗いところ、狭いところ、音や、水や、動物。子どもの不安や恐怖が高まり過ぎないように、リラックスさせてあげる方法です」(子どもの不安、こわがりを治そう:あなたにもできる認知行動療法からのヒント:Yahoo!ニュース個人有料)。
子どもを愛している優しい親達は、一生懸命子どもの心を落ち着けさせようとするでしょう。ところが、このときに親自身が不安と恐怖に負けてしまっていることがあります。
親自身の心の底に強い不安があり、こわがっている子どもを目の前にして、自分自身の不安を抑えられなくなっています。恐怖と不安に満ちた顔と声で、必死に子どもを守ろうとしてます。
親の気持ちはわかります。でも、これではなかなか子どもの心と体はリラックスできません。時には、子どもよりも先に親が不安がり、子どもの不安と恐怖を増幅させてしまうこともあります。
子どもがこれからさらに不安になるのではないか、このままではこの子の人生はおしまいだ。そんあ強い不安を親がもってしまい、不安の先回りをすると、子どもはさらに不安になっていきます。
まず、親自身が安心して、リラックスしましょう。大地震や火事が起きているわけではないのですから。現実的な命の危険はないのですから。子どもが不安がっていることに共感は必要ですが、現実に危険はないことを、伝えなければなりません(認知行動療法における心理教育、認知的再構成)。
不安や恐怖を全て記し去るのではなく、適度な不安や恐怖にできるように、子どもを支えましょう。
無理強いしても、説教しても、あるいは子どもと一緒にただおろおろしても、問題は解決しません。子どもの心の問題も、行動の問題も、子どもと一緒に楽しい気持ちで、少しずつ解決していくことを目指しましょう。