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NFLレッドスキンズとMLBインディアンズが相次いでチーム名変更を検討へ 更に拡大の可能性も

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
アメリカ先住民をモチーフにしたレッドスキンズのロゴ(写真:ロイター/アフロ)

【レッドスキンズがチーム名変更を検討へ】

 NFLのレッドスキンズが現地時間の7月3日、声明を発表し、昨今の社会情勢を考慮し、徹底的な再検討を行う旨を明らかにした。この声明はツイッター上にも投稿されている。

 レッドスキンズは、前日にメインスポンサーの1つで、本拠地スタジアムの命名権を持っているフェデックス(旧フェデラルエキスプレス)がチームに対し、チーム名の変更を要請していており、それに即座に対応したものだ。

 フェデックスは、87に及ぶ投資家グループと株主の連名で、レッドスキンズがチーム名を変更しなければスポンサー関係の解消を求める書状を受け取った、スポンサー3企業の1つ。それを重く受け止め、レッドスキンズに対しチーム名変更を求めていた。

 NFLのロジャー・グッデル・コミッショナーも声明を発表し、チームオーナーのダン・スナイダー氏と前向きな話し合いを続けていることを明らかにしており、米メディアによれば、早ければ2020年シーズン開幕前にもチーム名が変更されることになりそうだ。

 ちなみにレッドスキンズというチーム名は、まだチームがボストンを本拠地にしていた1933年から使用してきたものだ。

【米国社会全体に広がる反人種差別運動】

 今回の動きは、ミネソタ州で起こった白人警察官による黒人男性暴行死事件に端を発し、米国各地に広がり、今も活発な反人種差別運動が根底にある。

 すでにスポーツ界にも人種差別と対峙する動きが広がり、過去に人種差別的な発言を行ったレッズのマージ・ショット前オーナーを冠したシンシナティ大学の野球場の名称が変更されることが決定し、ツインズとパンサーズも過去に人種差別発言を行ったカルビン・グリフィス元オーナーとジェリー・リチャードソン元オーナーの銅像を本拠地スタジアムから撤去する措置をとっている。

 レッドスキンズは、その名称とロゴからも明らかなように、アメリカ先住民をモチーフにしたもので、以前からそのチーム名が問題視されてきた。今回もフェデックスのように留まらず、ナイキが同社公式サイトからレッドスキンズの商品を排除する措置を講じていた。

 こうした時代の流れから、以前はチーム名変更に否定的だったスナイダー・オーナーも翻意させざるを得なかったようだ。

【インディアンズも追随】

 レッドスキンズと同様に、ずっとチーム名が問題視されてきたインディアンズも、レッドスキンズに追随することになった。インディアンズも声明を発表し、1915年から使用してきたチーム名の変更を検討していくことを表明している。

 インディアンズはすでに2018年の段階で、人種差別的な判断からアメリカ先住民をモチーフにしたチームロゴの使用を全面的に禁止しており、今回も現在の社会情勢を鑑み、更なる措置が必要だと判断した模様だ。

 これら2チームに留まらず、MLBのブレーブスとNFLのチーフス、NHLのブラックホークスも、アメリカ先住民や彼らが使用していたトマホークや槍をモチーフにしたデザインを使用している。さらに大学や高校スポーツでもアメリカ先住民関連のニックネームを使用したチームが多数存在しており、そうしたチームにも今後影響が広がっていくことになりそうだ。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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