Yahoo!ニュース

春は皮膚のトラブルがおきやすい!?

大塚篤司近畿大学医学部皮膚科学教室 主任教授
(写真:アフロ)

暖かい季節となりました。それに伴い、皮膚科には多くの患者さんが受診されます。季節が変わるごとに、皮膚トラブルの種類が変わります。春に多く見られる皮膚疾患は、花粉症に伴う皮膚症状、紫外線アレルギー、接触皮膚炎、乾燥肌などがあります。今回は、それぞれの症状と治療方法について説明します。

花粉症に伴う皮膚症状

春は花粉が飛散し、それによってアレルギー性鼻炎や結膜炎を引き起こす人が増加します。また、顔や目の周りにかゆみや湿疹が出ることもあります。皮膚のトラブルにつながる花粉には以下のものがあります。

スギ花粉

スギは日本で最も一般的な花粉アレルギーの原因です。飛散時期は2月から4月にかけてで、地域や気候によって多少の変動があります。スギ花粉症は、くしゃみ、鼻水、目のかゆみ、のどの痛みなどの症状を引き起こします。スギ花粉症がある患者さんが、目の周りに湿疹を訴えるケースが多くみられます。

ヒノキ花粉

ヒノキ花粉もまた、日本で一般的な花粉症の原因です。飛散時期は3月から5月にかけてで、スギ花粉と重なることがあります。ヒノキ花粉症の症状もスギ花粉症と同様に皮膚炎を引き起こすことがあります。

サルスベリ、柳

日本では問題となりませんが、海外では花粉アレルギーを引き起こすとの研究があります。特に柳は日本で多く見られる植物です。潜在的な患者さんが多い可能性があります。

以上のような花粉症に伴う皮膚炎は、治療として抗ヒスタミン薬やステロイド外用剤を用いることが一般的です。また、スギ花粉は舌下免疫療法が効果的です。花粉症は耳鼻科、花粉症に伴う皮膚炎は皮膚科で相談するのが良いでしょう。

写真:アフロ

紫外線アレルギー

春になると紫外線量が増えることで、紫外線に対するアレルギー反応が起こることがあります。皮膚が赤くなったり、かゆみや水疱ができることがあります。紫外線対策として、日焼け止めを使用したり、帽子や日傘を使って肌を守りましょう。症状がひどい場合には、ステロイド外用剤を使うこともあります。

紫外線アレルギーは内臓の病気の可能性も

紫外線に弱い人の中には、他の病気が隠れている場合があります。紫外線を浴びた後の赤みがなかなか引かない、熱が出る、など症状がある人は以下の病気に注意し、心配な場合は皮膚科専門医に相談してください。

SLE(全身性エリテマトーデス)

SLEは、自己免疫疾患の一種で、体内の健康な細胞や組織に対する自己免疫反応が原因で様々な症状が現れます。皮膚の症状も現れることがあり、紫外線に対する感受性が高まることが知られています。SLE患者の場合、紫外線による皮膚の炎症は、他の症状を悪化させることがあるため、紫外線を避けることが推奨されます。

ポルフィリン症

ポルフィリン症患者は、特定の酵素の欠損によりヘム合成経路が阻害され、ポルフィリンという物質が体内に蓄積します。この蓄積により、皮膚や神経系の症状が現れることがあります。一部のポルフィリン症(特に皮膚ポルフィリン症)の患者さんは、紫外線によってポルフィリンが活性化し、皮膚の光線過敏症が引き起こされることがあります。これにより、皮膚の痛み、かゆみ、発赤、水疱などの症状が現れることがあります。

写真:イメージマート

接触皮膚炎(かぶれ)

春には植物に触れる機会が増え、アレルギー性接触皮膚炎が起こることがあります。皮膚が赤く腫れたり、かゆみが生じることが特徴です。原因となる植物は以下の通りです。

ウルシ

ウルシ科の植物で、春から夏にかけて活動が活発化します。ウルシの樹液に含まれるウルシオールという成分が接触皮膚炎の原因となります。皮膚に触れるとかゆみ、発疹、水ぶくれなどの症状が現れることがあります。ウルシのなかでも、とくにツタウルシに注意が必要です。ツタウルシは、ウルシと同様にウルシオールという成分を含んでいます。ツタウルシの茎や葉に触れると、このウルシオールが皮膚に付着し、かゆみ、発疹、水ぶくれなどの皮膚炎の症状を引き起こすことがあります。症状の程度は個人差があり、特に敏感な人は軽い接触でも強い症状が出ることがあります。

ハゼノキ

ハゼノキはハゼ科の植物で、日本各地に自生しています。春に花が咲くことで知られており、花粉症の原因になることがあります。また、ハゼノキの樹液には刺激性のある成分が含まれており、皮膚に触れるとかゆみや発疹を引き起こすことがあります。ただし、ツタウルシやウルシほどの強い刺激性はありません。

乾燥肌

乾燥肌も春に増える皮膚トラブルの一つです。春は気温の変化が激しく、皮膚が乾燥しやすくなります。乾燥肌の対策として、保湿クリームやローションを使用して肌の水分を保ち、適度な湿度を維持することが大切です。また、入浴後の保湿ケアも重要です。

まとめ

今回は春に増える皮膚疾患や皮膚のトラブルをまとめました。花粉症による皮膚症状には抗ヒスタミン薬やステロイド薬を使用し、紫外線アレルギーには日焼け止めや帽子、日傘を用いて予防策を行います。接触皮膚炎の場合は、原因となる植物に注意し、症状が出たら適切な治療を受けましょう。乾燥肌に対しては保湿クリームやローションを使用し、適切なスキンケアを心がけることが大切です。気持ちの良い春を過ごせるよう、春の肌トラブルに気をつけましょう。

近畿大学医学部皮膚科学教室 主任教授

千葉県出身、1976年生まれ。2003年、信州大学医学部卒業。皮膚科専門医、がん治療認定医、アレルギー専門医。チューリッヒ大学病院皮膚科客員研究員、京都大学医学部特定准教授を経て2021年4月より現職。専門はアトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患と皮膚悪性腫瘍(主にがん免疫療法)。コラムニストとしてAERA dot./BuzzFeed Japan/京都新聞「現代のことば」などに寄稿。著書に『心にしみる皮膚の話』(朝日新聞出版社)、『最新医学で一番正しい アトピーの治し方』(ダイヤモンド社)、『本当に良い医者と病院の見抜き方、教えます。』(大和出版)がある。熱狂的なB'zファン。

大塚篤司の最近の記事