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SHEINが日本初のリアル店舗、ポップアップストアで5都市巡回、超高速・超低価格のビジネスモデル

松下久美ファッションビジネス・ジャーナリスト、クミコム代表
SHEINのポップアップストアのイメージ画像   SHEIN提供

 今、世界で最も急成長しているアパレルブランド「SHEIN(シーイン)」の日本初のリアル店舗が登場する。「H&M」や「ZARA」などのファストファッションブランドの商品投入スピードを大きく上回り、価格もさらに安いことから、超ファストファッションブランドと呼ばれることも。オンラインストアやアプリを通じて販売するD2C型で販売してきたが、「SHEIN POPUP ~JAPAN TOUR 2022~」として、名古屋、広島、大阪、福岡、新潟の5都市を巡回し、2日間限定のポップアップストアを開催していくもの。期間は6月18日から7月17日までの各週末となる。

 プレスリリースでは「SHEIN」はROADGET BUSINESS PTE. LTD.(ロードゲットビジネス社)が展開する「アメリカ発ファッションブランド」としているが、ロードゲットビジネス社はシンガポールが本社。もともとクリス・シュー(許仰天)氏が中国で2008年に創業した南京希音電子商務のブランドだ。

 ウェブマーケティング事業から始まり、2012年に海外向けの越境ECブランド「SheInside(シーインサイド)」をスタート。2014年に「SHEIN」に名称を変更してリブランディングを図ってから快進撃を遂げることに。

 「ブルームバーグ」はSHEINの時価総額を1000億ドル(10兆円)と見積もり、英ファッションビジネスメディア「Business of Fashion」ではSHEINの売上高は2018年度で2億ドル(1ドル130円換算で260億円)、2019年度で3億ドル(同390億円)、2020年度に急成長し100億ドル(同1兆3000億円)、直近の2021年度では157億ドル(同2兆410億円)と推計する、超急成長ブランドだ。「ZARA」を擁するインディテックス社や「H&M」のH&Mヘネス&マウリッツ社、「ユニクロ」「GU」を手がけるファーストリテイリングに肉薄し、追い越す勢いだ。

 人気の秘訣は、安さ、トレンドの速さ、そして、バラエティの豊富さとデジタル巧者であることだ。洋服やアクセサリー、ランジェリー、靴、鞄、美容グッズ、生活雑貨、ペット関連など幅広いジャンルの商品を60万点以上展開し、毎日6000点以上の新商品を投入。バラエティの豊富さと、トレンドを反映した最先端ファッションを数百円から数千円という低価格で提供している。

 サプライチェーンをデジタル化し、企画から調達までのスピードが速く、在庫ロスや過剰在庫が少ないことや、個人輸入扱いで関税がかからないような配送の仕組みなどによって、超低価格を実現するなど、ビジネスモデルも斬新だ。2点目無料など大胆なプロモーションも実施している。

 しかも、創業がウェブマーケティング事業であったことから、デジタルマーケティングが得意で、SEO対策、リスティング広告、SNSやインフルエンサーの活用などに秀でており、Z世代を中心にファン層を拡大している。当初から創業の地・中国ではなく、米国や欧州、そして中東など、グローバル展開を志向し、ブランディングもうまく進んだ。

 日本では2020年12月から日本語サービスの提供を開始している。2021年秋と2022年春には「KANSAI COLLECTION(関西コレクション)」、2022年春には「TOKYO GIRLS COLLECTION(東京ガールズコレクション)」に参加。

8月27、28日には、ダンスミュージックに特化した音楽フェスティバル「MUSIC CIRCUS ‘22」への協賛も決定している。

KANSAI COLLECTION 2022 SPRING&SUMMERに登場した「SHEIN」。みちょぱ(池田美優)や堀末央奈らがセクシー系からモード系、エレガンス系まで幅広い服を紹介した 公式写真
KANSAI COLLECTION 2022 SPRING&SUMMERに登場した「SHEIN」。みちょぱ(池田美優)や堀末央奈らがセクシー系からモード系、エレガンス系まで幅広い服を紹介した 公式写真

 ちなみに、ポップアップストアは2019年5月に英国ロンドンにオープンしたのを皮切りに、米国ニューヨークやロサンゼルス、オーストラリアのメルボルンやシドニーなどでも開催。今年6月には「ZARA」のお膝元スペイン・マドリッドでもオープンして話題を呼んでいる。

 秋冬シーズンにかけて、原価や調達コストの高騰や円安の影響で値上げをするブランドも多い中で、「SHEIN」がどこまで日本で浸透するのか、どのパイを奪っていくのか。リアルで商品を見て触って着られる好機になりそうだ。

 なお、ポップアップストアでは、ファッション誌「CanCam(キャンキャン)」のスタイリスト たなべさおりさんが、“SHEIN FOR ALL”をテーマに都市ごとにご当地コーディネートしたマネキンを展示。メンズ、ウィメンズだけでなく、ファミリー、マタニティ、プラスサイズ、ペットなど、性別や体型を超えて、全ての人が自由にファッションを楽しめることをコーディネートを通じて表現する。来場者特典として、無料で1回参加できるSHEINガチャを用意。SHEINのアイテムやギフトカード(5000円分、1万円分)が当たる。世界観をリアルに表現した特設フォトブースも用意。撮影写真をSNSに投稿した人にはSHEINガチャ2回分のコインを提供するなどエンタメ的な仕掛けも用意している。

『SHEIN POPUP ~JAPAN TOUR 2022~』

名古屋会場:ユニモール イーストプラザ(愛知県名古屋市中村区名駅4丁目5-26 )

日程:6月18日(土)・ 6月19日(日)

広島会場:シャレオ 紙屋町ベース(広島県広島市中区基町地下街100号)

日程:6月25日(土)・ 6月26日(日)

大阪会場:ビックマン前広場(大阪府大阪市北区芝田1丁目1−4 阪急大阪梅田駅 1階)

日程:7月2日(土)・ 7月3日(日)

福岡会場:ライオン広場(福岡市中央区天神2丁目1番1号 ソラリアターミナルビル 1階)

日程:7月9日(土) ・ 7月10日(日)

新潟会場:CoCoLo新潟(新潟県新潟市中央区花園1丁目1−21 新潟駅ビル CoCoLo新潟南館 1階)

日程:7月16日(土)・ 7月17日(日)

開催時間

1日目:11:00~20:00、2日目:10:00~20:00

「SHEIN」からのメッセージ

アメリカ発のグローバルファッションブランド「SHEIN(シーイン)」は、Webサイトおよびアプリにおいて、米国や欧州を中心に約150以上の国と地域(※2022年3月時点)にてサービスを提供しています。「SHEIN」は”Wear Your Wonderful”というブランドタグラインのもと、トレンドやスタイル問わず、すべての人に自分自身を自由に表現できるファッションを提案しつづけております。

「SHEIN」はこれまで国内でWebサイトおよびアプリのみでお届けしてまいりましたが、「SHEIN」の世界観をより多くの人にお届けするため、このたび日本初となるPOPUPイベント『SHEIN POPUP ~JAPAN TOUR 2022~』の開催が決定いたしました。毎日6,000点以上もの新製品が常に更新され、日々60万点以上の商品ラインナップを展開する圧倒的な品揃えと幅広いカテゴリーを活かし、名古屋、広島、大阪、福岡、新潟の全国5都市でリアル体験を通じて「SHEIN」のリアルな世界観をご体験いただきます。

ファッションビジネス・ジャーナリスト、クミコム代表

「日本繊維新聞」の小売り・流通記者、「WWDジャパン」の編集記者、デスク、シニアエディターとして、20年以上にわたり、ファッション企業の経営や戦略などを取材・執筆。「ザラ」「H&M」「ユニクロ」などのグローバルSPA企業や、アダストリア、ストライプインターナショナル、バロックジャパンリミテッド、マッシュホールディングスなどの国内有力企業、「ユナイテッドアローズ」「ビームス」を筆頭としたセレクトショップの他、百貨店やファッションビルも担当。TGCの愛称で知られる「東京ガールズコレクション」の特別番組では解説を担当。2017年に独立。著書に「ユニクロ進化論」(ビジネス社)。

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