新人王&MVP獲得と同じ道のりを辿った大谷翔平とコディ・ベリンジャーが年俸調停最終年で迎えた明と暗
【注目のベリンジャー選手がドジャースからノンテンダーに】
MLBは11月18日に、MLB在籍日数が6年未満の40人枠入り選手を対象に、来シーズンの契約をオファーするかどうかを決める最終日を迎え、実績を残した中堅選手らがノンテンダー(いわゆる戦力外)され、FA市場に回っている。
そうした中堅選手には、2020年に本塁打王を獲得したルーク・ボイト選手(ナショナルズ)、2021年にリーグ7位のセーブ数29を記録したアレックス・レイエス投手(カージナルス)らが含まれている。
中でも注目を集めたのが、ドジャースからノンテンダーされたコディ・ベリンジャー選手だ。2017年に新人王、2019年にMVPを獲得する華々しい活躍を見せながら、2020年オフに受けた右肩手術以降極端な打撃不振に陥り、今オフ年俸調停最終年を迎えたベリンジャー選手の年俸が1800万ドル程度になることから、ドジャースは高額年俸を保証する代わりにノンテンダーの結論を下すことになった。
FAとなったベリンジャー選手は廉価な契約でドジャースと再契約する道が残されているが、米メディアの報道を見る限り、ドジャースはFA市場で新たな中堅選手を獲得することも模索しているようだ。
いずれにせよベリンジャー選手はすべてのチームと契約交渉できる立場になったので、新しい所属先を探していくことになる。
【今やMLB在籍日数6年未満でFAになる選手が続出】
今回のベリンジャー選手が指し示しているように、現在のMLBでは。過去にどれだけの素晴らしい活躍、実績を残してもMLB在籍日数が6年に到達する前にノンテンダーされFAになってしまう危険性があるということだ。
その背景になるのは、年俸調停権を取得した選手たちの年俸が急上昇してしまうため、所属チームがそうした選手たちに対し、MLB在籍日数が6年に到達する前に年俸額に見合わないと判断するケースが増えているためだ。
昨オフ新しい統一労働協約を締結するためMLBと労使交渉に臨んだ選手会が、各チームが中堅選手たちをノンテンダーするケースが増えているため、選手の間で年俸格差が生じていることに危機感を表明しているほどだ。
現在のMLB選手にとって、ノンテンダーされずにMLB在籍日数6年に到達するのは、相当に困難な道になっているということだ。
【ごく一部の勝ち組になりスター街道を歩み続ける大谷選手】
こうした背景を考えると、大谷翔平選手がどれだけ幸運なのかが理解できるだろう。
すでにご承知のように、大谷選手は2017年オフにMLB挑戦を決めた際にMLBが定める「インターナショナルFA選手」の条件を満たしておらず、アマチュア選手と同じ扱いを受け、マイナー契約からスタートしている。
そのため他の新人選手たちと同様に、MLB在籍日数が6年に到達しないとFAになれない状況に置かれていた。
そんな中で年俸調停最終年を迎えた今オフも、ノンテンダーされることなくシーズン終了前に来シーズンの契約に合意。しかもその金額は年俸調停権下の選手としては史上最高額の3000万ドルを得ているわけだ。
まさにMLBのごく一部の選手しか辿り着けない“スター街道”を歩んでいるといっていいだろう
新人王とMVPを受賞するという同じ道を歩んできながら、現在のベリンジャー選手と大谷選手がまったく正反対の境遇に置かれてしまったことに、“契約世界”MLBの無慈悲さを感じているのは自分だけではないだろう。