100億人突破はいつになる?…国連予想による世界人口推移
先日発表された人口動態調査では、日本の人口が4年連続で減少していることが確認された。日本に限らず先進諸国では、一部を除き人口が漸減傾向にある(いわゆる「先進国病」の一形態)。一方、新興国では今なお人口が増加を続けており、結果として世界全体の人口も増加を続けている。
現在では約70億人に届いているとされる世界人口。それではその人口が100億人に達するのはいつのことになるのだろうか。多数の国の情勢や社会の変化、飢饉や疫病、戦争や天災などによる増減を推し量るのは非常に困難で、予想も多種多様なものが存在する。今回は国連事務局経済社会局の人口部局が定期的に更新・発表している「World Population Prospects」の最新値(2012年公開版)を用いることにする。
次に示すのは主要世代構成別の世界人口推移。
先進諸国のように、人口を減らしていく国もあるが、新興国は人口増加の過程にある。結果として先進国の減少分より新興国の増加分の方が多く、2050年ぐらいまでは急激なスピードで世界の人口は増加していく。2065年には世界総人口は100億人を突破するが、その前後になると15-64歳の労働者人口(生産年齢人口)の増加が足踏み状態となるため、それ以降は高齢層の増加分だけ総人口が増える形となる。
これを世代別人口比率の推移でみたのが次のグラフ。
先進国の高齢化、さらには新興国でも社会衛生の普及や地域開発の進行で寿命が延びることにより、世界全体でも緩やかに高齢化は進行していく。上のグラフを見れば分かるように、年少人口(0-14歳)の絶対数そのものはさほど変わらないものの、生産年齢人口の増加率は緩やかになり、65歳以上の老人人口が一方的に増えるため、結果として比率も漸増していくことになる。世界規模で高齢化は進行している次第である。
今件データはあくまでも予想の範囲でしかない。人口変動要素に変化があれば、予想年数が先に行くほど数字はぶれていく。例えば「World Population Prospects」の2年前のバージョン、2010年版では、全世界人口が100億人を突破するのは2085年と試算していた。わずか2年のうちに、20年も前倒しになるほどの「ぶれ」が生じている。
見方を変えれば、特段変化が無ければ、これらの値が現実のものとなる可能性は高い。世界全体の人口動向、そして人口に絡んだ諸問題を占う上で、無視できない数字といえよう。
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