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創業90年! 渋谷・のんべい横丁が誇る老舗で大ぶり焼鳥を頬張って、食べ比べて【鳥福/東京】

今回、冒険するのは東京都・渋谷の「鳥福」。昭和レトロの匂いを色濃く残すのんべい横丁で、長らく焼鳥通に愛されてきた。あるのは「焼鳥だけ」とシンプルそのもの。比内地鶏をはじめとした地鶏の食べ比べも見逃せない名店だ。

一度見たら忘れられないネタケース
一度見たら忘れられないネタケース

ネタを眺めながら、焼鳥を組み立てる喜び

のんべい横丁の「鳥福」を訪ねるのは、かれこれ3年ぶりだ。変わらず手狭な店内。目の前にはL字カウンターに沿うようにネタケースが置かれている。今どきはネタケースがない焼鳥屋の方が多いけれど、このずらりと並んだネタを見ながら「さぁ、今日は何から食べていこう」と思いを巡らすのが、楽しいんだ。

高原比内地鶏
高原比内地鶏

あれこれ悩んだ末、まず選んだのは「高原比内地鶏」と「採卵 比内地鶏」の正肉。いずれも秋田県の比内地鶏ではあるけれど、「高原比内地鶏」は肉質がやわらかく、脂がしっとりのっていて、誰にも食べやすい。

採卵 比内地鶏
採卵 比内地鶏

一方、「採卵 比内地鶏」はいわゆる親鶏だ。ギュギュッ! と締まった肉は噛めば噛むほどにうまみが洪水のように溢れてくるよう……。記憶を辿ってみても、これを食べられる焼鳥屋はここ以外では思い浮かばない。

3代目店主の村山さん。物腰柔らかで話しやすい
3代目店主の村山さん。物腰柔らかで話しやすい

この「採卵 比内地鶏」、3代目店主の村山さんによると1年飼育ものなのだとか。スーパーに並ぶ若鶏が50日程度の飼育日数と考えれば、じつに7倍以上。そのぶん、筋肉もしっかりと発達するし、うまみもぐんと上乗せされるわけだ(硬い、と感じる人はいるだろうけれど)。

うーん。これはいい出だし。手元のビールもくいくい進むというもの。

皮

続いては、焼鳥定番の皮。これは地鶏ではなく、銘柄鶏「伊達鶏」の皮だ。この串元までたっぷりと打たれた皮のカリジュワ感がもう、たまらない! もちろん、タレ皮という選択もあるけれど、ここはやっぱり塩。ケチらずに口いっぱいに頬張って、溢れる甘い脂を独り占め。

ハツ
ハツ

さらに、ぶりぶりのハツに、シャクッとした砂肝でいい流れ。そうそう、焼鳥は流れが大事だ。緩急を生む内臓ネタも欠かせない。肉だけでなく、内臓ネタもしっかりめの火入れだけれど、硬さを感じさせないのはさすがの一言。

砂肝
砂肝

鶏もいいけれど、せっかく来たなら合鴨も。

ちなみに「鳥福」の焼鳥は合鴨もうまい。じつは時季によってはジビエの青首鴨が入ることもあるのだけれど、焼鳥にして食べるなら肉質がやわらかく、たっぷりと脂を蓄えた合鴨の方が好みだったりする。それに、合鴨なら一年中食べられるのも、嬉しいところ。

見るからにむっちりとして、いい色。鶏にはない、鉄分を感じさせる赤味。ネタケースの中の合鴨の存在感といったらもう……。

合鴨は厚めにカット・串打ちされたネタが大好物だ。焼けたねぎの香ばしさが合鴨の濃い風味と相まって、いい具合。これだけボリュームをもたせた合鴨串を食べられる焼鳥屋は、都内でもそうそうないだろうな……。そんなことを考えながら頬張った。

合鴨
合鴨

うーん、うまい。堪えきれず、つい「タレ」も追加だ。こっくりとしたコクが合鴨のうまみを包み込んで至福の味わい。まさに「鳥福」の〆にふさわしい1本だと思う。地鶏の食べ比べと合鴨。これだけは、譲れないなあ。

合鴨(タレ)
合鴨(タレ)

たっぷり食べて満たされたなら、鶏スープを飲んで帰り支度だ。これだけのボリューム、これだけの数の串を毎日仕込むのはさぞかし大変だろうと聞いてみれば、「先代には今も仕込みを手伝ってもらっているんです。頼もしいですよ」と微笑む村山さん。

ただ実直に、ただシンプルに焼鳥を焼き続けて90年。技も思いもこうして引き継がれている。あぁ。「鳥福」は安泰だ。

店舗情報

【店名】鳥福
【最寄り駅】渋谷駅
【住所】東京都渋谷区渋谷1-25-10
【予約】03-3499-4978
【定休日】日曜、祝日
【串のアラカルト】あり
【鶏メモ】比内地鶏、色丸ロードアイランドレッド、媛っこ地鶏、伊達鶏、合鴨ほか

毎週、焼鳥三昧! 焼鳥を斜めに逆さ撮りする〝ヤキトリスト撮り〟は元祖にして名刺代わり! 「焼鳥は串柄、人柄」をテーマに、大衆的で気兼ねない町焼鳥から、鶏にこだわり1本1本に心血を注ぐ専門店まで焼鳥まみれの日々を送っています。焼鳥好きの方、フォローよろしくお願いします!

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