バイデン大統領との首脳会談を前に韓国系の共和党女性議員から「冷水を浴びせられた」文在寅大統領
米国を公式訪問している文在寅大統領は現地時間で21日午後(日本時間22日未明)にバイデン大統領と初の首脳会談を行う。
ワシントン滞在中の文大統領は昨日、ペロシ下院議長ら議会執行部と懇談し、訪米の目的の一つである北朝鮮の核問題の解決に向けたバイデン政権の対北政策への支援を表明する一方で、朝鮮半島の恒久的な平和と南北関係改善を目指す韓国政府の努力への米国の支援を要請したようだ。
米議事堂で開かれたこの懇談会にはペロシ下院議長のほかに民主党のチャック・シューマー上院院内総務、タグ・ホイヤー下院院内総務、共和党のスティーブ・スカリス下院院内幹事、グレゴリー・ミークス下院外交委員長、それにアダム・シフ米下院情報特別委員長らが顔を揃えたが、昨年11月の中間選挙で当選した韓国系のアンディー・キム(民主党)、マリリン・ストリックランド(民主党)、ミッシェル・パク・スティール(共和党)、ヤング・キム(共和党)の4人の下院議員も出席していた。
再選を果たしたニュージャージー出身のアンディー・キム議員を除く3人は初当選の新人議員であるが、カリフォルニア州出身の共和党のヤング・キム議員は文大統領が4月にニューヨークタイムズとのインタビューで、トランプ前大統領の対北政策を「思わせぶりだけで、成功を収めることはできなかった」と批判したことを意識したのか、米韓首脳会談を前に文大統領の対北融和政策にブレーキを掛けるような寄稿文を保守系の週刊誌「ワシントン・エグザミナー」(5月20日付)に載せていた。
家族とともに1975年に米国に移民したヤング・キム議員はバイデン大統領に対して駐韓米軍撤収に繋がるような言動は「金正恩政権に誤った判断を与えかねない」として北朝鮮との関係を重視する文大統領に対して米韓同盟関係の強化、駐韓米軍の維持の重要性について強調すべきであると促していた。
共和党の重鎮・エドワード・ロイス前下院外交委員長の補佐官を21年間務めたヤング・キム議員はバイデン政権が核問題解決のため外交による実用的な打開策を模索していることについても「韓国は核を保有していないのに朝鮮半島の非核化という表現を使うのは過去の政権の対北政策、立場とは相当な開きがあり、金正恩には相当なテコ入れとなっている」と批判していた。
さらに、同議員は北朝鮮の人権問題をないがしろにしている文政権のスタンスを念頭にバイデン政権に対して「北朝鮮の非核化の前提条件として人権問題への立場を明白にすべきである」とも提言していた。
なお、トランプ前大統領は文大統領の批判に対してEメールで「文大統領、指導者として弱かった。金正恩も文大統領を尊重したことがなかった」と応酬していた。