なぜ今までなかった?ディープラーニングによる類似図形商標検索サービス
五輪エンブレム問題の時にちょっと注目を集めた類似図形商標の検索ですが、通常は、ウィーン図形分類に基づいて特許情報プラットフォーム等のデータベースで検索することになります(参照過去記事)。図形分類で候補を絞った後は目視でひとつひとつ確認していくという結構面倒な作業です。図形の類似判断はAIの最も得意とする処理のひとつなので何とかならないものかと思っていました。
Googleの類似画像検索機能は写真を対象にしているのでロゴ等の検索にはほぼ無力です(参照過去記事)。ちなみに、Googleの類似画像検索機能は、昔は色合いや構図の似た画像(写真)を探してくれていたと思うのですが、最近は、ニューラルネット等で何が写っているかを認識してその写っているものの画像を検索する方法に変わったと思われます。たとえば、ネコが写っている画像の類似画像を検索すると、様々な構図のネコの写真が表示されます。ただし、いずれにせよ、類似図形商標の検索には全然使えないことには変わりありません。
特許庁(正確には、独立行政法人工業所有権情報・研修館)が、AI技術を使った画像意匠公報検索支援ツールを提供していますが、これは基本的に線画の意匠図面検索専用なので、やはりそのままではロゴ等には応用できなさそうです。
株式会社ALBERTというデータ分析テクノロジー企業が、ディープラーニング技術を応用した類似図形商標の検索サービス「Deepsearch Logo」を開始したというニュースがあったので、国内登録済商標を対象に検索してくれる無料トライアルを使用してみました。
例として懐かしい佐野研二郎氏のエンブレムを入力してみると以下のような結果が得られます(佐野研二郎氏のエンブレムの出願自体はまだ審査中で登録されていないので結果には出てこないものと思われます)。
従来技術として比較して、はるかに使える結果になっていると思います。リソースの問題もあると思いますが、審査中の商標、海外の商標、さらには、ネット上のあらゆる図形情報も検索対象に加わるとさらに価値が増すでしょう。