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【高野町(高野山エリア)】昔ながらの焼もちの『貴重な焼き立て』は口の中で溶けるらしい

田中寛人地域のあしもとマイスター(橋本市・高野町)

「焼もち」は高野町花坂地区の名産品の和菓子です。

柔らかく薄い餅の中に餡が入っており、白餅とヨモギ餅の2種類あります。

写真では分かり辛いですが、白餅とヨモギ餅の2種類写っています
写真では分かり辛いですが、白餅とヨモギ餅の2種類写っています

祖父母が高野山にお参りに行った際には必ずお土産で買ってきてくれて、よく食べていました。

マンガ「美味しんぼ」にも掲載されているので知っている方はもうご存じと思われますが、リピーターも多い掛商店さんの焼もちのこだわりを72歳の三代目に伺ってきました。

店舗はメイン道路から離れて、目立たない場所にあります
店舗はメイン道路から離れて、目立たない場所にあります

現在は4代目が後を継がれています
現在は4代目が後を継がれています

伝統と風味を守り続ける作り方

その日の朝から作って、焼く。

餅の柔らかさを表現するための水分量の調節も難しい。もち米を蒸す時間が同じでも毎回蒸し上がりが違う。手の感覚が大事。

作りたての柔らかい餅は粉を付けていても手にくっつくので、手で餅を伸ばしながら、餡を包みながら、キレイに丸く、薄く、しかも皮が破けないように素早く成形するのは慣れないと難しい。

これで終わりではなく、このあと鉄板で焼かれて美味しい焦げ目がつきます
これで終わりではなく、このあと鉄板で焼かれて美味しい焦げ目がつきます

昔から材料は変わっていない。

全部はまかないきれていないが、自分たちでもち米から作っている。

しかも、昔からの作りづらいけど品質の良い古い品種を栽培(背丈が高く、災害の影響を受けやすい)。

自らも栽培されている、もち米の水田
自らも栽培されている、もち米の水田

昔からのもち米に使っている品種の稲
昔からのもち米に使っている品種の稲

ヨモギも春先に自家採集して、昔からのやり方で湯がいてアク抜きして、杵と臼で繊維を潰してから冷凍保存している。

今でも杵と臼でヨモギをつく
今でも杵と臼でヨモギをつく

こだわり

伝統と風味を守りながら、自分たちが食べて美味しい味を目指してきた。

餅の質も大事で、食べる時に餅が伸びすぎないようにしている。

変化

車のお客様だけでなく徒歩の観光客・参拝客も買って帰るが、最近は焼き立てを買いに来るお客さんが増えた。

焼き立ては『餅が口の中で溶けるような感じが味わえる』。

確約は出来ないが、

  平日は10時ごろと14時ごろ

  土日は随時作るので不定期 に仕上がり、

店内入って、商品に扇風機で風を当てて冷ましていたら焼き立てのサイン。

※時間通りに製造されているわけではないので、焼き立てが無くてもお店の方に迷惑をかけないこと。

焼き立てや家に帰るまで待てない方は、外の椅子に座って商品を頂けます
焼き立てや家に帰るまで待てない方は、外の椅子に座って商品を頂けます

今回は私の訪問時間の都合上焼き立ては買えませんでしたが、いつもの商品をご紹介。

左が白餅、右がよもぎ餅
左が白餅、右がよもぎ餅

白餅:薄くて柔らか。アンコはさっぱりした甘さ。焼き目が香ばしい。

よもぎ餅:ほのかな塩気が餡の甘さを引き出しつつ、ヨモギの香りとマッチして美味しい。

テイクアウト専門ですが、買った後に店内でも食べられます。お茶を出して頂きました。冬場は囲炉裏に火が入るそう
テイクアウト専門ですが、買った後に店内でも食べられます。お茶を出して頂きました。冬場は囲炉裏に火が入るそう

※「焼もち」と名前がついているものの、周辺他店では焼き目が薄すぎてただの平べったいあん餅になっているお店もあり、お店ごとの特徴だとは思いますが、個人的には焼き目のしっかり付いた掛商店さんの焼もちが好きです

※作ってから2日間は(少しずつ固くなるものの)柔らかく、食べきれない時は冷凍庫で保管して、食べる際に解凍してからトースターなどでサッと焼いて食べるのがオススメ

【地域イベント案内】

8/15の夕方から掛商店のある花坂地区で夏祭りが行われます。

出店や子供たちによる奉納太鼓、盆踊りなどに加えて、雨ごい神事「鬼もみ」、台風避け神事「風の祈祷」などがあります。

良かったらお立ち寄りください。

8/15 17時~ 花坂小学校グラウンドにて

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「掛商店」

住所:和歌山県伊都郡高野町花坂677

営業時間:8時30分~17時30分

定休日:なし

電話:0736564047

※電話対応のみですが通販もやられいます。

ちょっとしたお菓子も置いています
ちょっとしたお菓子も置いています

地域のあしもとマイスター(橋本市・高野町)

和歌山県高野町在住。現場のフィールドワークを通してその土地ならではの地域資源を掘り起こし、地域づくりにつながる高付加価値商品開発や体験プログラムの企画造成支援や実践を行っています。そのスキルも活かして皆さまのまだ見ぬ和歌山県をお届けしていきたいと思っています。民俗学と発酵と和の薬草と昆虫食と染色のイベントもしています。

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