内閣改造で、どうなる安倍内閣の政策運営
自民党総裁に3選された安倍晋三首相は、10月2日に内閣改造を行った。今後の政策運営はどうなるか。閣僚の顔ぶれから占う。
まず、これまでの内閣改造時と異なる特徴は、初入閣の閣僚が12人と第2次安倍内閣以降最多となったことだ。第2次安倍内閣以降、重要閣僚はできるだけ続投させて、政権の求心力を高めて、改革の持続性や政策の継続性を確立しようと腐心していた。
しかし、二階派と麻生派は早々に安倍3選を支持し、「論功行賞」を求める雰囲気を醸成していたのは、派内に「大臣待望組」の議員が多かったからなのかもしれない。通常、衆議院で6~8回当選すると大臣になれると思われているからだ。
とはいえ、毎年のように大臣が変われば、その部下たる官僚に舐められる。政権の求心力を高めるためには重要閣僚はできるだけ続投させる方がよい。ところが、そうすると、初入閣できる議員の数が減る。
今回の改造は、そのパワーバランスの結果、多くの大臣を交代させることを安倍首相が選択したといえそうだ。閣僚の出身派閥について、以前の内閣と比較すると、今回の改造では二階派と麻生派が増えた。それが、1つの証左といえよう。
石破派からも1名閣僚を出したのは、党内融和を印象付けるためだろう。ただ、石破派に属する山下貴司・新法相の入閣をもって、党内融和の象徴になるかどうかは未知数だ。憲法改正論議も控え、山下氏の入閣と引き換えに、見解の相違について矛を収めてくれるとは考えにくい。
初入閣がらみでいえば、総務相、文科相、防衛相が初入閣の大臣となったことは、予算編成上歳出増圧力を抑える効果にはなりそうだ。概して、財務相よりも当選回数が多い議員がこれらの大臣になると、歳出増を訴える大臣たちを財務相が抑えられず、歳出予算は全体的に膨張しがちである。
この内閣改造で、麻生太郎副総理兼財務相は、初入閣の大臣より数段格が高い大臣という位置づけになった。麻生財務相は、2019年度予算は、財政健全化目標が新たになってから初めての予算だから、歳出抑制を手ぬかりなくやると明言している。初入閣の大臣に、ちょっとした歳出増で初入閣の「手柄」を与えることはあっても、大きな歳出増をふるまう義理はなさそうだ。
今回の内閣改造後は、留任した麻生副総理兼財務相、菅義偉官房長官、世耕弘成経産相、茂木敏充経済財政担当相を中心に、これまでの経済政策を継承する形で進むだろう。重要閣僚が留任したことから、この1年は主要な経済政策の方向性に大きな変更はないといえよう。