フランス 放射性廃棄物処理場の人間の入れない危険な場所の点検や調査に犬型ロボット導入の試験
フランスのビュールにはフランス全土の原子力発電所から集められた大量の放射性廃棄物を貯蔵する予定の地下処分場が建設されようとしている。その地下処分場で、ボストン・ダイナミクス社製のスポットと呼ばれる犬型ロボットが点検用として使えるかどうかの試験が始められた。
フランスの放射性廃棄物の処分場で働く犬型ロボットは「スカール(Scar)」と呼ばれており、フランスのナンシーにある鉱業学校(Ecole des Mines engineering school)の研究チームが2020年9月から開発を始めている。スカールは人間が立ち入るのは危険な被ばくリスクの高い場所の点検を行ったり、定期的なデータ収集や調査とレポートを行うなどの訓練を受けている。また遠隔から人間が操作することも可能だし、スカール自身が自律して作業を行うこともできる。今後は大型のマシンが入れない場所で事故が起きた時にもスカールが代わって作業を行うことも予定。
フランスの放射性廃棄物管理当局ANDRAのギヨーム・エルマン氏は「AI技術を活用して、地底の貯蔵施設の監視ができることが非常に興味深いです。この地下の研究施設は素晴らしい環境です」と語っている。鉱業学校のディレクターのフランコ・ロゼー氏は「現時点では、まだ開発初期段階です。今後、このようなリスクの高い業務のデジタル化が大きく発展していくと思います」と語っている。
3D業務(Dangerous:危険な、Dirty:汚い、Dull:退屈な)に適切なロボット
AI技術の発展とロボット技術の向上によって、様々な分野でのロボット活用は進んでいる。ロボットは人間よりも3D業務(Dangerous:危険な、Dirty:汚い、Dull:退屈な)に優れている。疲れることもないし24時間稼働できるし、壊れたら代わりのロボットを持って来ればよい。特にこのようなリスクの高い場所での業務や軍事分野でのミサイル除去や国境警備などは人間よりもロボットの方が適している。
▼スカールの様子を伝えるフランスメディアのニュース