最近話題のFIREは実現可能か考えてみる。
FIREという言葉を聞いたことがあるでしょうか。この言葉は、経済的に自立し若くして仕事をやめても生活できる立場を指します。経済誌やウェブメディアでも特集が組まれるほど注目されています。
FIREとはどんな状態のこと?
FIREとは、金融資産(預金、保険、株式、社債、投資信託など)を保有し運用益だけで生活できる状態です。
毎月の支出が10万円、年間の支出が120万円だと仮定した場合。
運用利回りが2%だと6000万円の金融資産が必要です。FIRE関連の書籍では4%ルールという言葉があります。海外では4%程度の運用は現実的なのかもしれません。4%の運用が可能であれば3000万円の金融資産が必要になります。
この金額が多いと感じるか、少ないと感じるかは人それぞれですが、資産運用から得られる収入だけで生活できるのであれば、働く必要はありません。
お金を貯めるにはどうすればいいの?
FIREを実現するには3つの方法があるとされています。
(1)倹約する
最も日本人に合っている方法と言えるでしょう。稼いだお金を使わないようにするのです。コロナ禍にあって、経済を回すという表現がありますが、真逆の発想です。お金を極力使わないようにします。
本気でFIREを目指す人の中には収入の7割~8割(年収の0.7~0.8年分)を投資する人もいます。収入の7割を貯蓄に回すことができれば、15年続ければ0.7年分×15年=10.5年分の金融資産が貯まります。
会社員や公務員の場合は、倹約によるFIREが現実的でしょう。定年まで働くことで、悠々自適の生活を送ることはできそうですが、早期退職までの道のりは遠いでしょう。
(2)投資する
最近はiDeCo、NISA、つみたてNISAなど年金制度や投資優遇制度があります。いろいろと投資を始めている人もいるでしょう。
一部の投資家の中には先見の明や銘柄の目利き、流れを読む力などで数千万円から数十億円の資金を運用している元会社員や元公務員もいるようです。
毎年の収入の7割(年収の0.7年分)を貯蓄ではなく投資した場合はどうなるでしょう。15年間投資を継続し、運用利回りが常に2%であれば12.2年分(元手10.5年分)に増えます。15年間の運用利回りが常に4%であれば、14.3年分(元手10.5年分)になります。
https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/moneyplan_sim/index.html
15年後に年収12.2年分貯まった場合に2%の運用益が得られたとすると、年収の24.4%の収入を得ることができます。これではFIREすることはできませんが、今の仕事でなくても、収入を落として仕事を続ければ生活することができます。
15年後に年収14.3年分貯まった場合に4%の運用益が得られたとすると、年収の57.2%の収入を得ることができます。これでもFIREはできませんが、フルタイムで働かなくても生活ができそうです。副業しながら生活できる計算です。
アメリカの株式指数は毎年9%平均で増えてきたと言われており、運用利回り9%で15年間運用を続けられた場合は、15年後に22.1年分の資産になります。収入22.1年分(元手10.5年分)を9%で運用できれば、1.99年分の収入が得られますから、完全に仕事をやめても生活ができます。それどころか、毎年過去の年収分のお金が余りますから、資産がどんどん増えていくことになります。
(3)事業を興す
自分で事業を興すという方法もあります。自分や仲間で事業を起こし、株式を上場させたり、M&Aで事業を売却するなどして資産を手にする人もいます。
筆者が過去に相談を受けた人ですと、30代で事業を数十億で売却し、シンガポールに移住した人がいます。他には、創業した会社が上場し、数億円から数百億円の資産を持っている人もいます。勤務先が上場し、ストックオプションで数千万円から数億円の資産を持っている社員や元社員の人もいます。
事業を自分で興す人は、早期退職というよりも、好きなことを仕事として続けている印象です。
現実的なFIREの目指し方
上述のように、それぞれ一長一短あり実現のハードルは高そうです。宝くじが当たれば、いきなりFIREできるかもしれませんが、お金の扱いに困るかもしれません。
結局のところ、無駄遣いせずに浮いたお金を投資に回し、会社に頼らずに稼ぐ手段を準備するしかないでしょう。もし、月数万円の副収入があれば、ストレスの多い今の会社から離れられるのに、と考えている人もいるでしょう。
倹約タイプの人は、副収入の稼ぎ方を学ぶといいでしょう。投資タイプの人は投資の種類を広げてみるといいでしょう。事業家タイプの人は、アイデアを形にするような人的ネットワークや資金調達を検討すると良さそうです。