散歩中に怖がられた→パパさんが子供になだめた言葉につられた
オランダ在住のひかさん。愛犬と散歩中、通りがかったオランダ人の親子連れ。その子供にワンコが怖がられてしまいました。
散歩道での出来事というのは、日々のちょっとした喜びや発見に満ちているものです。先日、愛犬と一緒に歩いていたら、そんなほっこりしたエピソードに出くわしました。
私たちの前方に、幼い少年とそのパパさんが立ち止まっています。どうやら少年は私たちのワンコを怖がっている様子。愛犬は人懐っこい性格で、尻尾をふりふりしていましたが、少年にとってはまるで巨大な冒険の前に立ちはだかるモンスターのように見えたのでしょう。
すると、パパさんがやさしく声をかけました。
「ワンコはかわいいよ。ホンチェリーフデ!」
ん?聞き慣れない言葉。オランダ語で「とってもかわいい」という意味だそうです。少年も少しぎこちなくですが「ホンチェリーフデ…」と復唱しました。その小さな声には、恐怖に立ち向かおうとする勇気の芽生えが感じられました。
パパさんはさらに「ほら、かわいい洋服着てるでしょ」と愛犬のリードについたささやかな装飾を指してアピール。少年も「洋服かわいい」と応じたものの、「ワンコもかわいいよ」と促されると、「ワンコは怖い」と小さな声で即答。そこは譲れないらしい。
でもその後が感動的でした。少年は何度も「ホンチェリーフデ…ホンチェリーフデ…」と呪文のように繰り返し始めたのです。その声には徐々に力がこもり、ついには私たちを追い越して、元気よく前へ進んでいきました。その背中には、ほんの少し成長した少年の姿がありました。
そして私も、気づけば「ホンチェリーフデ…」とつぶやいていました。なんだか元気をもらえる言葉じゃないですか?
きっとこれから、少年はワンコに出会うたびに「ホンチェリーフデ」を唱え、勇気を振り絞るのでしょう。もしかしたら大人になっても、この呪文がふと口をついて出てしまうのかもしれません。
散歩道で偶然出会った、少年とワンコとオランダ語の不思議な魔法。そんな小さな物語が、日常にやさしい彩りを添えてくれたひとときでした。