Yahoo!ニュース

散歩中に怖がられた→パパさんが子供になだめた言葉につられた

樫山ひか漫画家/イラストレーター

オランダ在住のひかさん。愛犬と散歩中、通りがかったオランダ人の親子連れ。その子供にワンコが怖がられてしまいました。

散歩道での出来事というのは、日々のちょっとした喜びや発見に満ちているものです。先日、愛犬と一緒に歩いていたら、そんなほっこりしたエピソードに出くわしました。

私たちの前方に、幼い少年とそのパパさんが立ち止まっています。どうやら少年は私たちのワンコを怖がっている様子。愛犬は人懐っこい性格で、尻尾をふりふりしていましたが、少年にとってはまるで巨大な冒険の前に立ちはだかるモンスターのように見えたのでしょう。

すると、パパさんがやさしく声をかけました。
「ワンコはかわいいよ。ホンチェリーフデ!」
ん?聞き慣れない言葉。オランダ語で「とってもかわいい」という意味だそうです。少年も少しぎこちなくですが「ホンチェリーフデ…」と復唱しました。その小さな声には、恐怖に立ち向かおうとする勇気の芽生えが感じられました。

パパさんはさらに「ほら、かわいい洋服着てるでしょ」と愛犬のリードについたささやかな装飾を指してアピール。少年も「洋服かわいい」と応じたものの、「ワンコもかわいいよ」と促されると、「ワンコは怖い」と小さな声で即答。そこは譲れないらしい。

でもその後が感動的でした。少年は何度も「ホンチェリーフデ…ホンチェリーフデ…」と呪文のように繰り返し始めたのです。その声には徐々に力がこもり、ついには私たちを追い越して、元気よく前へ進んでいきました。その背中には、ほんの少し成長した少年の姿がありました。

「ホンチェリーフデ」を唱えられた愛犬ぷらむちゃん
「ホンチェリーフデ」を唱えられた愛犬ぷらむちゃん

そして私も、気づけば「ホンチェリーフデ…」とつぶやいていました。なんだか元気をもらえる言葉じゃないですか?

きっとこれから、少年はワンコに出会うたびに「ホンチェリーフデ」を唱え、勇気を振り絞るのでしょう。もしかしたら大人になっても、この呪文がふと口をついて出てしまうのかもしれません。

散歩道で偶然出会った、少年とワンコとオランダ語の不思議な魔法。そんな小さな物語が、日常にやさしい彩りを添えてくれたひとときでした。

漫画家/イラストレーター

オランダ在住のエッセイ漫画家。日本人夫婦目線によるオランダでの日常生活や海外で出会ったネタなどをクスっと笑える漫画で紹介。ライブドア公式ブロガー。ブログ、Twitter、インスタで毎日漫画を更新中!

樫山ひかの最近の記事