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やはりダルビッシュ有が必要? メッツ新オーナーが明らかにしたチームが必要とする実績あるベテラン投手

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
オンライン会見を実施したメッツのスティーブ・コーヘン新オーナー(筆者撮影)

【メッツの新オーナーがオンライン会見を実施】

 先月30日にMLBからメッツ買収が承認されたスティーブ・コーヘン新オーナーが現地時間の11月10日、チームの編成部門の責任者に任命されたサンディ・アルダーソン球団社長とともに、メディア向けにオンライン会見を実施した。

 新生メッツに関しては、ニューヨークの地元メディアが今オフに積極的な選手補強をすると予想し、獲得候補の1人としてダルビッシュ有投手の名前を挙げたことで話題になっている。

 会見に臨んだコーヘン新オーナーは、具体的な名前こそ出さなかったが、実績あるベテラン投手の必要性を明らかにしており、改めて投手獲得に動く姿勢を明確にしている。

【「3~5年以内にワールドシリーズ制覇できなければ失望」】

 会見の内容については、スポーツ専門サイトの「the Score」が、トピックごとにコーヘン新オーナーの発言をまとめた記事を公開している。

 同記事によると、新オーナーは即座に結果を残せるチームを目指しており、「すぐにでも成し遂げたい。もし3~5年以内にワールドシリーズを制覇できないとしたら、自分は失望するだろう」と述べている。

 そうなれば、やはり今オフの選手補強は必要不可欠になってくる。

【主要マーケットチームに相応しい予算を計上】

 すでに本欄でも報告しているように、新型コロナウイルスの影響により大幅減収を余儀なくされたMLB各チームは、今オフで予算削減を強いられている。

 だがコーヘン新オーナーはメッツを買収したばかりで、今シーズンの被害を被っておらず、潤沢な資金を有していると指摘されている。

 この会見でも年俸総額について聞かれ、具体的な数字は明らかにしていないが以下のように発言し、十分な予算を用意する姿勢を明確にしている。

 「予算について話をするつもりはないが、我々は主要マーケットチームの1つだ。それに相応しい資金を用意すべきだと考えている。

 我々は皆さんに、主要マーケットチームらしく行動していくことを約束する。しっかり計画を立て、今後5年間を見据え、多くの資金を投入することができるだろう」

【必要としているのはベテラン投手】

 現在の在籍選手に関してコーヘン新オーナーは、「チームの中心となるとても素晴らしい選手がいる」としながらも、現状戦力に満足しているわけではない。

 「我々は捕手と投手を必要としている。現時点で球界一番の投手(ジェコブ・デグロム投手)がチームを支え、さらに多くの若手選手たちが台頭してきている。しかしチーム成績がすべてを物語っている」

 コーヘン新オーナーが改めて指摘しているように、今シーズンのメッツは26勝34敗でナショナルズとともに地区4位(つまり地区最下位)に沈んでいる。現有勢力のままで、優勝争いできるチームになるのは至難の業だ。

 そこでデグロム投手とともにチームを支え、若手選手たちをサポートできるベテラン投手と捕手を必要としていると発言したわけだ。

【新オーナーの計画実現にはダルビッシュ投手が最適】

 もちろんベテラン投手の必要性を明らかにしているだけで、コーヘン新オーナーの口から、ダルビッシュ投手の名前が出てきたわけではない。

 ただコーヘン新オーナーの「3~5年以内にワールドシリーズ制覇」という計画を実現するためには、実績十分で、しかも3~5年先まで主力投手として活躍が期待できる投手が必要になってくる。

 そうした視点から、現在34歳ダルビッシュ投手は最適の存在だろう。まず彼を獲得できれば、契約が残る2023年シーズンまでは移籍の心配をする必要はない。

 また2015年にトミージョン手術を受けた後、なかなか期待通りの投球をできていなかったが、昨シーズン後半から安定した投球を披露し始め、遂に今シーズンは日本人初の最多勝のタイトルを獲得するなど、選手として充実期を迎えたように見える。

 さらにポストシーズンの経験も豊富で、メッツが求めるすべての条件を兼ね備えている。

 とりあえずメッツが今オフに、積極的に選手補強を行っていくことは明らかになった。果たしてメッツが必要としているベテラン投手は、ダルビッシュ投手になるのだろうか。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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