SBI証券と楽天証券で国内株を買うなら完全無料へ 投資信託も含め個人の運用は超低コスト時代へ
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株を買うのは無料! ネット証券の上位2社が名乗り
先月、投資信託の運用コストが大幅に下がっている話をしました。世界中の株式に投資してくれる投資信託が、売買コストゼロ、運用の手数料が年間6円(1万円あたり)という時代になっているのです。
2023/8/29 Yahoo!ニュース(私の記事)1万円で世界中の株を運用する手数料は年間たった6円!投資信託運用コスト引き下げ合戦の勝者は誰か
私の記事掲載直後、8月の31日に「いつかはやる」と言われていた大きな動きがありました。株式の売買手数料を無料化する動きです。
SBI証券が発表、楽天証券がこれに追随し、ネット証券のトップ2社がそろって国内株式の売買手数料を無料とすることを発表したのです。
8/31 時事通信 SBI証券と楽天証券、国内株の手数料ゼロ
8/31 ロイター SBI証と楽天証、日本株売買手数料を無料に マネックスは維持
続報ではマネックス証券はとりあえず追随はしないこと、松井証券は米国株の手数料について新しいNISA制度(2024年スタート)で無料化することを発表したようです。
8/31 時事通信 マネックス証券、現行手数料体系を維持
9/1 時事通信 松井証、新NISAで米国株手数料無料に
現状でも相当の低コストが実現済みだが、さらに無料へ舵を切る
さて、株式の売買に当たって、証券会社が手数料を取ることは昔から行われていたごく普通のことです。実際に売買の手数料がかかるわけですから当たり前のことです。
この手数料、金融ビッグバンで急激に下がった「規制緩和の代表」だったのですが、値下がりどころか、ついに「無料」というところまでやってきました。
SBI証券と楽天証券は口座獲得数でもしのぎを削っています。同時に、手数料引き下げ合戦でも互いに譲らないことで知られています。両者が先行した株式売買手数料引き下げ競争の結果、現状でも相当の低コストになりました。
2023年9月1日現在で、100万円未満の株を買った場合の手数料は以下のとおりです。
SBI証券 楽天証券
10万円までの株 99円 99円
20万円までの株 115円 115円
50万円までの株 275円 275円
100万円までの株 535円 535円
※SBI証券はスタンダードプラン。アクティブプランを選択すると、1日あたりの約定代金合計額が100万円まで手数料0円
※楽天証券は超割コース。手数料の1%ポイント還元あり。いちにち定額コースの場合、1日あたりの約定代金合計額が100万円まで手数料0円
今でも、1日あたり100万円までの売買にとどめれば、手数料無料で株が買える状態まで両者の競争は続いているのですが、これが無料となるわけですから驚きです。
SBI証券 売買手数料のページ(閲覧時の情報が表示されることに留意)
楽天証券 売買手数料のページ(閲覧時の情報が表示されることに留意)
個別株は、保有し続ける限り、基本的にはコストがかからない運用でもある
投資信託と個別株の投資をコスト面で比較してみると、実は個別株を買うことには大きな魅力があります。まず手数料の名称で表を作ってみましょう。
タイミング 個別株投資 投資信託
購入時 取引手数料 購入時手数料
保有期間 かからない 運用管理費用が毎日発生し続ける
売却時 取引手数料 信託財産留保額
個別株の投資は「購入時」「売却時」に取引手数料がかかりますが、保有期間中はコストがかかりません。証券会社が口座管理手数料を取ることもありますが、普通はかかりません。
(例えば、大和証券の証券総合口座の管理手数料は、条件を満たさない場合、年1650円かかるとしているが、普通は無料が選択できる)
投資信託は、というと「購入時」「売却時」にかかる手数料がかかりますが、近年多くの投資信託では無料となっています。その代わり、保有期間はずっと、運用管理費用(信託報酬)がかかります。
近年、運用コストの強烈な引き下げ競争が加速していますが、さすがにゼロというわけにはいきません(野村アセットマネジメントが一定期間運用コストをゼロとする投資信託を販売しているが未来永劫に無料の意味ではない)
2020/2/26 QUICKマネーワールド 業界初!野村の「信託報酬ゼロ%投信」にネットでざわめき
改めて表にし直します。SBI証券もしくは楽天証券を利用すると、コスト比較表はこうなりました。
タイミング 個別株投資 投資信託
購入時 かからない ほぼかからない
保有期間 かからない かかる
売却時 かからない ほぼかからない
個人にとっては個別株を組み入れるチャンス 超低コスト運用が実現
運用において、コストを自覚することは重要です。リターン(利益)のほうには不確実性がありますが、コストは確実に生じるマイナスのリターンといえるからです。可能なら低くしたほうがいいでしょう。
その点では、近年の低コスト運用が可能な投資信託は個人投資において好ましい投資対象となってきました。売買時が無料で、年0.2%以下のコストで全世界の株式へ投資ができるような環境が実現しているわけですから(前回掲載記事参照。
2023/8/29 1万円で世界中の株を運用する手数料は年間たった6円!投資信託運用コスト引き下げ合戦の勝者は誰か )。
これに加え、個別の株式をいくつか保有することも魅力的な選択肢となってきます。コストでいえば投資信託よりも魅力的な面もあります。株主優待や配当金などの魅力もあります。
個別株投資は、企業を選ぶ魅力もあります。日本全体にインデックス投資をするよりも、「○×社の経営理念や新商品に期待して株主となる」のほうがおもしろいことは間違いありません。
一方で、特定企業へ資産が偏るリスクが個別株投資にはあります。投資銘柄の急上昇時には集中投資の魅力が勝りますが、自分が保有していた銘柄だけが急落した時には市場平均を大きく下回る下落に見舞われます。
「投資信託と個別株投資のバランス」を考えてみると、投資の選択肢はぐっと広がると思います。今回の「国内株売買手数料無料」をみなさんの投資戦略に活かしてみてください。
といっても今のところはSBI証券および楽天証券のみ、ということになりますので、他の証券会社に口座を持っている人たちは、追随をしてくれるか様子見かが気になります。動きがない場合、メインの証券口座を引っ越しするのか、この数カ月は検討のしどころでしょう。
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