米海軍、電磁レールガンの洋上試験へ
米海軍は2016会計年度に電磁レールガンを高速輸送艦(JHSV)に搭載して試験を行うことを発表しました。試験砲は既に地上試験を済ませており、重量約10kgの砲弾を射程200km超まで届かせて弾速はマッハ7を予定しています。(アメリカの2016会計年度は2015年10月から2016年9月まで)
※米海軍公式動画。電磁レールガンJHSV搭載試験の予定紹介。
なお米海軍は2014年会計年度から艦載レーザー砲をペルシャ湾に実戦配備する予定です。これは退役揚陸艦「ポンス」を暫定的な海上前進中間準備基地(AFSB)として運用するもので、小型ボートと無人機を撃墜する目的の出力の弱いものです。既にレーザー砲やレールガンといった未来兵器は試験を経て現実の実用兵器となりつつあり、これから艦載兵器は大きな革新の時代を迎える事になるでしょう。
米海軍は電磁レールガンを弾道ミサイル対策に活用することを考えており、その発射弾体の射程の長さと高速性で、敵の弾道ミサイル移動式発射機が発射準備を行っても直ぐに対応出来ることを目指しています。敵の弾道ミサイル移動式発射機への攻撃は、速度の遅い巡航ミサイルでは間に合わず、弾道ミサイルでは大きく高価で数が用意出来ませんが、電磁レールガンならば砲弾は小さく単純な構造で一発あたりは安く数を用意することが出来ます。
電磁レールガンの弾体は炸薬を搭載しない運動エネルギー弾が計画されており、一塊の単弾頭と子弾を詰めた拡散弾頭の二種類が予定されています。拡散弾頭ですが炸薬は搭載されていないのでクラスター爆弾禁止条約には抵触せず、将来の戦場では超高速のタングステン・ロッドの雨が降って来る事になるのかもしれません。