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現役夫婦世帯の負債額と住宅ローンの負担の実情をさぐる(2020年公開版)

不破雷蔵グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  
↑ 負債の一種類であるローンは住宅ローンがほとんど。(写真:GYRO PHOTOGRAPHY/アフロイメージマート)

就業者がいる夫婦世帯の負債額や住宅ローンの負担はどのような状況なのだろうか。世帯主の年齢でどこまで違いが生じているのか。その実情を総務省統計局の調査の一つ「家計調査」の貯蓄・負債編における公開調査結果から確認する。

今件における「勤労者世帯」とは、世帯主が就業者の世帯を意味する。ただし社長などの役員は「勤労者以外」と定義されている。例えば世帯主が会社役員、個人営業、無職(年金生活を営み、世帯主が働いていない場合も含む)などの世帯は今件では勘案されていない。

次に示すのは世帯単位での負債額。2007年において複数の年齢階層、特に29歳以下・30代が負債を大きく増やしているのが確認できる。

↑ 負債額(二人以上世帯のうち勤労者世帯、世帯主年齢階層別、万円)(2019年)
↑ 負債額(二人以上世帯のうち勤労者世帯、世帯主年齢階層別、万円)(2019年)
↑ 負債額(二人以上世帯のうち勤労者世帯、世帯主年齢階層別、万円)
↑ 負債額(二人以上世帯のうち勤労者世帯、世帯主年齢階層別、万円)

2007年の全体的な貯蓄の減少・負債の増加は、景気の急激な悪化(いわゆる「金融危機」)に対する影響が一端にある。そして2010年においては再び似たような状況が生じている。2011年には40代でやや改善されたが、2012年には30代とともに再び跳ねる形で上昇。これが全体平均値をも底上げしている。さらに2013年に入ると元々高い額を維持していた40代以外で有意な上昇の動きが確認できる。

これは主に住宅ローンによるもの。2013年は消費税率の引上げが2014年4月に開始されるため、それをひかえて住宅の駆け込み需要が発生している。その影響で住宅をローンで購入する人が増え、結果として平均的な負債も増えた次第。

さらに2014年に限ると29歳以下で急激な負債額の増加が確認できる。これは調査対象母集団における29歳以下の持家率が1年で約1.5倍に増加したのに伴い、住宅ローンによる負債額が増えたのが主要因。2013年と2014年における、年齢階層別持家率を比較すると、その実態がよくわかる。また30代も持家率が漸増の動きにあり、負債額を増加させている主要因であることが確認できる。

↑ 持家率(二人以上世帯のうち勤労者世帯、世帯主年齢階層別)
↑ 持家率(二人以上世帯のうち勤労者世帯、世帯主年齢階層別)

2014年における持家率の急上昇について調査の報告書では特に説明は無い。上記のように消費税率引き上げに伴う駆け込み需要なのか、景況感の回復によるものなのか、単なるイレギュラーな動きなのか。色々と理由は想像できる。また30代の長期的な・20代でも2014年以降に見られる持家率の増加傾向は、住宅取得願望の高まりによるものだろう。

その住宅ローンに該当する、住宅・土地のための負債額動向を示したのが次のグラフ。

↑ 住宅・土地のための負債額(二人以上世帯のうち勤労者世帯、世帯主年齢階層別、万円)(2019年)
↑ 住宅・土地のための負債額(二人以上世帯のうち勤労者世帯、世帯主年齢階層別、万円)(2019年)
↑ 住宅・土地のための負債額(二人以上世帯のうち勤労者世帯、世帯主年齢階層別、万円)
↑ 住宅・土地のための負債額(二人以上世帯のうち勤労者世帯、世帯主年齢階層別、万円)

額こそ異なるものの「負債額」と「住宅・土地のための負債額」は、各年齢層毎の挙動がほぼ一致している(2011~2013年の30~40代の動き、そして2014~2015年の29歳以下が顕著)。これらの動きから、29歳以下・40代の層が2006~2007年に、少々背伸びをして住宅を購入したのが推測できる。2014~2015年の29歳以下の動きもまた、住宅購入によるものと考えるのが道理である。

見方を変えると、各世帯における負債の大部分は住宅ローンで占められていると考えても間違いでは無い。グラフ化は省略するが、実際その通りの値が調査結果から示されている。例えば年齢的にほとんど住宅ローンを返済し終えた(あるいはいるはずの)60歳以上世帯は、負債をあまり抱えていないのが実情ではある。

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(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。

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グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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